2007年09月27日更新
莫邦富的視点~21世紀の大国・中国を見つめる 地方にも~
中国の地方にもビジネスチャンスあり
●莫 邦富(Mo Bang-Fu): 1953年中国・上海生まれ。上海外国語大学卒業後、同大学講師を経て、85年に来日。知日派ジャーナリストとして、政治経済から文化にいたるまで幅広い分野で発言を続け、「新華僑」や「蛇頭(スネークヘッド)」といった新語を日本に定着させた。
『蛇頭』『中国全省を読む地図』、翻訳書『ノーと言える中国』がベストセラーとなり、話題作には『日本企業がなぜ中国に敗れるのか』『これは私が愛した日本なのか』『新華僑』などがある。
現在、朝日新聞be(土曜版)にて「mo@china」を連載中。博報堂スーパバイザ。東京経営者協会評議委員。東京メトロポリタンテレビジョン放送番組審議委員。中国山東省青島市開発区顧問。
http://www.mo-office.jp/
●莫 邦富(Mo Bang-Fu): 1953年中国・上海生まれ。上海外国語大学卒業後、同大学講師を経て、85年に来日。知日派ジャーナリストとして、政治経済から文化にいたるまで幅広い分野で発言を続け、「新華僑」や「蛇頭(スネークヘッド)」といった新語を日本に定着させた。『蛇頭』『中国全省を読む地図』、翻訳書『ノーと言える中国』がベストセラーとなり、話題作には『日本企業がなぜ中国に敗れるのか』『これは私が愛した日本なのか』『新華僑』などがある。
現在、朝日新聞be(土曜版)にて「mo@china」を連載中。博報堂スーパバイザ。東京経営者協会評議委員。東京メトロポリタンテレビジョン放送番組審議委員。中国山東省青島市開発区顧問。
http://www.mo-office.jp/
炎天下の屋外に置かれたヨーグルト
8月中旬、太陽が燦燦と照りつけるなか、河南省のある乳製品会社を視察した。屋外の気温はとても高い。しばらく立っていると、汗が吹き出るように流れてくる。しかし、驚いたことに、この乳製品会社が生産した紙パックのヨーグルトが、太陽光が容赦なく照りつける炎天下の屋外に山と積まれていた。商品を手にとってみると、賞味期限が80日間となっている。
それを見て驚愕した私が、「こんな環境の中に商品を置いて大丈夫なのですか」と質問した。「真空パックだから、大丈夫だ」との回答に、腑に落ちない思いだったが、商品包装の専門知識がない私にはそれ以上切り込むことはできない。
そこで質問を変えてみた。
「大手メーカーである蒙牛や伊利などの代表的なライバル会社に勝てると思いますか」
「彼らと私たちが狙う市場は違うので、正面衝突はしない」
「どこが違うのですか」
とさらに聞いた。
「一線都市を中心にビジネスを展開する蒙牛などの大手メーカーと違って、私たちは二、三線の都市を狙う。もちろん、販売価格もその分安い」
それを聞いた私は無言のまま、視察現場を去った。
中国の「二線都市」「三線都市」も狙うべきだ
中国の都市を行政ランクにしたがって見てみると、すこし古いデータになるが中国国家統計局の発表によれば、2003年度中国全土には660の都市があり、その内訳は、直轄市4、副省級市15、地級市267、県級市374、だという。
また、商業的には、「一線都市」「二線都市」「三線都市」というランク分けがある。上海、北京、天津、広州、武漢、南京、瀋陽、西安などは「一線都市」。その他の長沙、合肥、南昌、長春などは「二線都市」とされ、その他地級市のほとんどは「三線都市」になる。さらにランク外の多くの県級市は「四線都市」と呼ばれることもあるが、言葉としては定着していない。
上海や北京などの一線都市は、経済的に発達していて競争が激しいばかりでなく、消費レベルが高く、商品の品質などに対する消費者の目も厳しい。そこに供給される商品は販売価格が高くなるが、品質もそれなりに保証されていないと売れない。しかし、消費力がそこまでいかない二、三線の都市は低価格が求められている。その分、商品の品質が落ちてしまうケースが多い。
河南省で見た乳製品会社はまさにその路線を突っ走っている。河南省を視察した後、私はその足で雲南省と寧夏回族自治区の山奥に行き、20日間にわたる取材をした。訪問先は市場的に見れば、間違いなく「四線都市」とその農村地帯だ。そこのスーパーで目にした、食品を含む商品のほとんどのブランドは私が知らないものだった。
価格設定は非常に低い。メーカー名も賞味期限も記入されていないビスケットが販売されているのを見て、怖くなった。河南省の視察したあとであっただけに、滞在中は乳製品を一切口にしなかった。
しかし、こうした消費力の低いところにも、食の安全を求める消費者意識の波は打ち寄せつつある。中国最貧困県とされる寧夏回族自治区西吉県に、値段は比較的高いが、品質の保証はされているという評価を得たスーパーがある。覗いてみて、なるほどと思った。同時に、外資企業も中国の二、三線の都市をそろそろ市場として捉えておかないとビジネスチャンスを逃してしまう恐れがある。
8月中旬、太陽が燦燦と照りつけるなか、河南省のある乳製品会社を視察した。屋外の気温はとても高い。しばらく立っていると、汗が吹き出るように流れてくる。しかし、驚いたことに、この乳製品会社が生産した紙パックのヨーグルトが、太陽光が容赦なく照りつける炎天下の屋外に山と積まれていた。商品を手にとってみると、賞味期限が80日間となっている。
それを見て驚愕した私が、「こんな環境の中に商品を置いて大丈夫なのですか」と質問した。「真空パックだから、大丈夫だ」との回答に、腑に落ちない思いだったが、商品包装の専門知識がない私にはそれ以上切り込むことはできない。
そこで質問を変えてみた。
「大手メーカーである蒙牛や伊利などの代表的なライバル会社に勝てると思いますか」
「彼らと私たちが狙う市場は違うので、正面衝突はしない」
「どこが違うのですか」
とさらに聞いた。
「一線都市を中心にビジネスを展開する蒙牛などの大手メーカーと違って、私たちは二、三線の都市を狙う。もちろん、販売価格もその分安い」
それを聞いた私は無言のまま、視察現場を去った。
中国の「二線都市」「三線都市」も狙うべきだ
中国の都市を行政ランクにしたがって見てみると、すこし古いデータになるが中国国家統計局の発表によれば、2003年度中国全土には660の都市があり、その内訳は、直轄市4、副省級市15、地級市267、県級市374、だという。
また、商業的には、「一線都市」「二線都市」「三線都市」というランク分けがある。上海、北京、天津、広州、武漢、南京、瀋陽、西安などは「一線都市」。その他の長沙、合肥、南昌、長春などは「二線都市」とされ、その他地級市のほとんどは「三線都市」になる。さらにランク外の多くの県級市は「四線都市」と呼ばれることもあるが、言葉としては定着していない。
上海や北京などの一線都市は、経済的に発達していて競争が激しいばかりでなく、消費レベルが高く、商品の品質などに対する消費者の目も厳しい。そこに供給される商品は販売価格が高くなるが、品質もそれなりに保証されていないと売れない。しかし、消費力がそこまでいかない二、三線の都市は低価格が求められている。その分、商品の品質が落ちてしまうケースが多い。
河南省で見た乳製品会社はまさにその路線を突っ走っている。河南省を視察した後、私はその足で雲南省と寧夏回族自治区の山奥に行き、20日間にわたる取材をした。訪問先は市場的に見れば、間違いなく「四線都市」とその農村地帯だ。そこのスーパーで目にした、食品を含む商品のほとんどのブランドは私が知らないものだった。
価格設定は非常に低い。メーカー名も賞味期限も記入されていないビスケットが販売されているのを見て、怖くなった。河南省の視察したあとであっただけに、滞在中は乳製品を一切口にしなかった。
しかし、こうした消費力の低いところにも、食の安全を求める消費者意識の波は打ち寄せつつある。中国最貧困県とされる寧夏回族自治区西吉県に、値段は比較的高いが、品質の保証はされているという評価を得たスーパーがある。覗いてみて、なるほどと思った。同時に、外資企業も中国の二、三線の都市をそろそろ市場として捉えておかないとビジネスチャンスを逃してしまう恐れがある。



