2008年07月10日更新
<上場ベンチャー 成長の秘密>トレジャー・ファクトリー
納得価格で買い取って販売する
リサイクルショップを多数展開
野坂英吾社長
1972年神奈川県生まれ。大学時代は起業サークル活動に没頭。プラザクリエイトの大島康広社長やワタミの渡邉美樹社長らの話に感銘を受ける。ホノルルマラソンに3回出場した経験も持つ。95年トレジャー・ファクトリー設立。
リサイクルショップを多数展開
野坂英吾社長1972年神奈川県生まれ。大学時代は起業サークル活動に没頭。プラザクリエイトの大島康広社長やワタミの渡邉美樹社長らの話に感銘を受ける。ホノルルマラソンに3回出場した経験も持つ。95年トレジャー・ファクトリー設立。
宝探し感覚で買い物が楽しめる。そんなワクワク感を抱かせるリサイクルショップが、1号店開店の2年後にPOS(販売時点情報管理)システムを構築した。買い取り価格の標準化、売れ筋商品の特定、商品を素早く売り切る在庫管理を実現させるためだ。「廃棄から活用へ」という消費者意識の変化を追い風に多店舗展開を推進し、マザーズに上場した。
経験不足の従業員も即座に値踏みができる
ブランド物のバッグや衣類などの中古品が、整然と陳列されたトレジャー・ファクトリー西新井店(東京都足立区)。春を迎えると、冬物衣料を抱えた客が訪れる。レジカウンターに歩み寄った30代のOL風の女性は、ブランド衣料を差し出して「いくらで買い取ってもらえますか」と聞く。従業員は品物を吟味し、すぐに買い取り価格を伝える。女性は満足して代金を受け取ると、店の奥に向かった。
同社の各店では、持ち込まれた品を従業員の経験を問わず即座に査定して買い取る。これを可能にしたのが独自開発のPOSシステムとそれに連動した査定支援システムだ。過去の売買実績のデータを蓄積、それをもとに買い取り価格を素早く弾き出す。
1995年、大学を卒業したばかりの野坂英吾社長(35)が設立したトレジャー・ファクトリーは、08年2月までに首都圏を中心に29店舗(うち2店はフランチャイズチェーン店)を展開するにいたった。家電や家具、貴金属、趣味の品まで扱う総合リサイクルショップである。

2号店を出した直後に700万円をかけてPOSシステムを構築
野坂社長は中学生の頃から社長になると決め、大学時代は経営の勉強に明け暮れた。家具や家電製品の量販店でアルバイトをした時、まだ使える品が廃棄される様子を目の当たりにしたことで、処分したい人と買いたい人の橋渡しをするリサイクルショップの開業を思いつく。「モノを大切にする時代が必ず来る」との読みもあった。「トレジャー・ファクトリー」という社名には、中古品に新しい価値を再注入する「宝物の工場」という意味を込めている。
事業計画を練るために、既存のリサイクルショップを48軒もまわった。当時は個人経営店が多く、店主たちは多店舗展開に興味がほとんどない。そもそも中古品は、持ち主の使い方によって傷や汚れなどの状態が千差万別で、この世でただ1つしかない「一品モノ」であるうえに、買い取りの査定は人によってバラツキがある。このため、多店舗で同一基準のもとに値踏みして買い取り、販売するのは不可能と考えられていた。
「たとえ扱う商品が一品モノでもPOSシステムを導入して商品管理を徹底すれば、多店舗展開は可能だと考えました」(野坂社長)そして95年、東京都足立区に1号店をオープン。格安賃料の物件紹介で若手起業家を支援する不動産会社に事業計画書を持ち込み、友人や知人宅の押入れに眠っている品々をかき集め、開業した。事業の元手は少ないが、店舗は異例の大きさだった。倉庫を改装した売り場面積150坪の店内に、ていねいに磨き上げて値札をつけた商品をきれいに並べた。20坪程度の店が標準だったリサイクルショップ業界で、欧米のような大型店は非常に珍しく客は集まった。ていねいな接客と明るく入りやすい店づくりも、顧客から好感を得た。
97年には、POSシステムを導入。1号店の年商が6000万円で、2号店を出店したばかりの時期に、システム開発費に700万円を投じた。POSシステムによって、売れ筋商品を的確につかめるほか、買い取り価格や売価設定を標準化できるようになった。
多店舗展開で課題となる店舗運営の平準化も、野坂社長は果敢な挑戦で克服してきた。150坪の1号店に対して、2号店は50坪の小型店、3号店は300坪の超大型店と、あえて規模を変えて出店したのだ。そして、それぞれの規模の店舗ごとに店舗面積、間口の広さに始まり、商圏人口、道路に対する店舗の位置、看板の見え方まですべて測定。売り場面積などの諸条件によって、売り上げ、来客数、客単価などがどう変化するかを数値化し、店舗モデルのパッケージ化を図った。「様々なパターンを試してみたかった。多様な店舗形態に通用する店舗管理手法の構築を図りたかったのです」(同)

6カ月の返品保証と耳寄り情報の配信で多くの再来客を獲得
盤石の体制を固めた後、野坂社長は出店攻勢に打って出る。2000年には4店、06年には19店となり、徐々に店舗網を拡大した。並行して、事業の効率化にも取り組む。POSシステムを活用して半年に1度、滞留商品を洗い出し、陳列方法の変更や値引きなどで売り切った。その結果、現在では商品在庫回転率は年8回とリサイクル店としては、かなりの高率を実現した。
サービスの充実も図った。ほとんどのリサイクルショップが、リサイクル品だから故障しても仕方ないと保証をしない中、当時では珍しい6カ月の返品保証もつけた。一方、リピーター(再来客)獲得のため、携帯電話やパソコンに新着の目玉商品情報をメールで送信する「GO・即・急」サービスを展開。また、ほしい商品を登録しておけば、その商品が入荷するとメールで通知する「メルカム」サービスも開始した。
今後の課題は、買い取りの強化だ。現在は顧客による店舗への持ち込みが主だが、出張買い取り、宅配便を利用した買い取りを充実させていく。出張買い取りでは、店長経験があるベテラン社員から成る専門部隊を07年10月に結成。宅配便の利用では、顧客から料金着払いで品物を受け入れ、査定額を伝えて了承を得たうえで買い取る。
トレジャー・ファクトリーは07年12月、マザーズに上場した。08年2月期は1年間に5店舗を出店したが、上場で得た資金を投じて、まずは首都圏を網羅し、将来的には全国展開、そして海外展開も目指す。野坂社長が舵を握る宝船は、追い風に乗って前に進んでいる。
【会社クレジット】
社 名:トレジャー・ファクトリー
所在地:東京都足立区梅島3-32-6第8矢野新ビル8F
電 話:03-3880-8822
設 立:1995年5月25日
資本金:2億3145万円
事業内容:家庭用電化製品、家具、雑貨、ブランド品、衣料などの買い取り、および販売など
社員数:130人
売上高:33億3000万円(08年2月期見込み)
ブランド物のバッグや衣類などの中古品が、整然と陳列されたトレジャー・ファクトリー西新井店(東京都足立区)。春を迎えると、冬物衣料を抱えた客が訪れる。レジカウンターに歩み寄った30代のOL風の女性は、ブランド衣料を差し出して「いくらで買い取ってもらえますか」と聞く。従業員は品物を吟味し、すぐに買い取り価格を伝える。女性は満足して代金を受け取ると、店の奥に向かった。
同社の各店では、持ち込まれた品を従業員の経験を問わず即座に査定して買い取る。これを可能にしたのが独自開発のPOSシステムとそれに連動した査定支援システムだ。過去の売買実績のデータを蓄積、それをもとに買い取り価格を素早く弾き出す。
1995年、大学を卒業したばかりの野坂英吾社長(35)が設立したトレジャー・ファクトリーは、08年2月までに首都圏を中心に29店舗(うち2店はフランチャイズチェーン店)を展開するにいたった。家電や家具、貴金属、趣味の品まで扱う総合リサイクルショップである。

2号店を出した直後に700万円をかけてPOSシステムを構築
野坂社長は中学生の頃から社長になると決め、大学時代は経営の勉強に明け暮れた。家具や家電製品の量販店でアルバイトをした時、まだ使える品が廃棄される様子を目の当たりにしたことで、処分したい人と買いたい人の橋渡しをするリサイクルショップの開業を思いつく。「モノを大切にする時代が必ず来る」との読みもあった。「トレジャー・ファクトリー」という社名には、中古品に新しい価値を再注入する「宝物の工場」という意味を込めている。
事業計画を練るために、既存のリサイクルショップを48軒もまわった。当時は個人経営店が多く、店主たちは多店舗展開に興味がほとんどない。そもそも中古品は、持ち主の使い方によって傷や汚れなどの状態が千差万別で、この世でただ1つしかない「一品モノ」であるうえに、買い取りの査定は人によってバラツキがある。このため、多店舗で同一基準のもとに値踏みして買い取り、販売するのは不可能と考えられていた。
「たとえ扱う商品が一品モノでもPOSシステムを導入して商品管理を徹底すれば、多店舗展開は可能だと考えました」(野坂社長)そして95年、東京都足立区に1号店をオープン。格安賃料の物件紹介で若手起業家を支援する不動産会社に事業計画書を持ち込み、友人や知人宅の押入れに眠っている品々をかき集め、開業した。事業の元手は少ないが、店舗は異例の大きさだった。倉庫を改装した売り場面積150坪の店内に、ていねいに磨き上げて値札をつけた商品をきれいに並べた。20坪程度の店が標準だったリサイクルショップ業界で、欧米のような大型店は非常に珍しく客は集まった。ていねいな接客と明るく入りやすい店づくりも、顧客から好感を得た。
97年には、POSシステムを導入。1号店の年商が6000万円で、2号店を出店したばかりの時期に、システム開発費に700万円を投じた。POSシステムによって、売れ筋商品を的確につかめるほか、買い取り価格や売価設定を標準化できるようになった。
多店舗展開で課題となる店舗運営の平準化も、野坂社長は果敢な挑戦で克服してきた。150坪の1号店に対して、2号店は50坪の小型店、3号店は300坪の超大型店と、あえて規模を変えて出店したのだ。そして、それぞれの規模の店舗ごとに店舗面積、間口の広さに始まり、商圏人口、道路に対する店舗の位置、看板の見え方まですべて測定。売り場面積などの諸条件によって、売り上げ、来客数、客単価などがどう変化するかを数値化し、店舗モデルのパッケージ化を図った。「様々なパターンを試してみたかった。多様な店舗形態に通用する店舗管理手法の構築を図りたかったのです」(同)

6カ月の返品保証と耳寄り情報の配信で多くの再来客を獲得
盤石の体制を固めた後、野坂社長は出店攻勢に打って出る。2000年には4店、06年には19店となり、徐々に店舗網を拡大した。並行して、事業の効率化にも取り組む。POSシステムを活用して半年に1度、滞留商品を洗い出し、陳列方法の変更や値引きなどで売り切った。その結果、現在では商品在庫回転率は年8回とリサイクル店としては、かなりの高率を実現した。
サービスの充実も図った。ほとんどのリサイクルショップが、リサイクル品だから故障しても仕方ないと保証をしない中、当時では珍しい6カ月の返品保証もつけた。一方、リピーター(再来客)獲得のため、携帯電話やパソコンに新着の目玉商品情報をメールで送信する「GO・即・急」サービスを展開。また、ほしい商品を登録しておけば、その商品が入荷するとメールで通知する「メルカム」サービスも開始した。
今後の課題は、買い取りの強化だ。現在は顧客による店舗への持ち込みが主だが、出張買い取り、宅配便を利用した買い取りを充実させていく。出張買い取りでは、店長経験があるベテラン社員から成る専門部隊を07年10月に結成。宅配便の利用では、顧客から料金着払いで品物を受け入れ、査定額を伝えて了承を得たうえで買い取る。トレジャー・ファクトリーは07年12月、マザーズに上場した。08年2月期は1年間に5店舗を出店したが、上場で得た資金を投じて、まずは首都圏を網羅し、将来的には全国展開、そして海外展開も目指す。野坂社長が舵を握る宝船は、追い風に乗って前に進んでいる。
【会社クレジット】
社 名:トレジャー・ファクトリー
所在地:東京都足立区梅島3-32-6第8矢野新ビル8F
電 話:03-3880-8822
設 立:1995年5月25日
資本金:2億3145万円
事業内容:家庭用電化製品、家具、雑貨、ブランド品、衣料などの買い取り、および販売など
社員数:130人
売上高:33億3000万円(08年2月期見込み)
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