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2008年05月01日更新

<教育業界>食育関連ビジネスが花盛り

料理教室からマーケティングまで
食育関連ビジネスが花盛り



料理は、食に対する関心を高めると同時に、ガスや包丁といった危なものの扱い方や作業の段取りなどを学ぶ機会にもなるため、子ども向けの料理講座への関心が高まっている

食の乱れが学力や体力の低下といった問題につながるという指摘から、政府は、2005年6月、「食育基本法」を制定した。これをキッカケに、各地で食育の取り組みが行なわれるようになり、さまざまな関連ビジネスも登場している。
子ども向け料理教室、CSRや顧客囲い込みを狙った取り組みも

食育関連の取り組みで目立つのが、子ども向けの料理教室だ。
料理は、包丁やガスなどを使うため危険をともなうが、一方で、危ない道具を安全に扱う方法を学ぶ貴重な機会にもなる。また、自分で料理を作ることで嫌いなものが食べられるようになったり、物事の段取りを考えられるようになったりするなど、さまざまな効果も報告されていることから、最近とくに関心が高まっているようだ。

子ども向け料理教室は、自治体やNPOが主催するもののほか、企業が取り組むものも多い。東京ガスでは、92年から自社の運営する料理教室で子供向けの料理教室「キッズインザキッチン」を開催しており、年間1万人以上の子どもが参加している。カゴメも、05年から、3歳児を対象とした料理教室「ミニシェフクラブ」を年3回開催している。京セラも、08年度から全国の私立保育園での料理教室を計画している。

企業の場合、CSR(企業の社会的責任=社会貢献)の一環として取り組むケースが多いが、とくに家庭向けの商品やサービスを扱う企業にとって、子ども向け料理教室は、社会的な企業イメージの向上に加え、顧客の囲い込みといった営業面での効果も狙える。そのため、積極的に取り組む企業も多いようだ。

関連商品や指導者育成講座も多彩に

食育関連の商品も増えている。子ども向けや子どもと一緒に作れる料理を集めた料理本や楽しい食事を演出する箸や食器などに加え、最近は、子ども向けの調理器具なども人気が高い。

前出の京セラでも、子ども用のセラミックナイフを販売しているが、岐阜県関市の刃物メーカー、川嶋工業では、「台所育児シリーズ」として、包丁やボウルなど、約20種類の子ども用調理器具を93年から販売している。

これは、料理研究家の坂本廣子氏監修のもと、子どもの動作や体格に合わせて開発したもので、サイズが小さいこと以外は、大人向けと変わらない本格的な造りが特徴だ。発売当初は、子どもに刃物を持たせるのは危険という声も多かったようだが、食育がブームとなった現在は、逆に人気商品となっている。

子どもを対象としたものばかりではない。食育を行なう指導者を養成するビジネスも増えている。「フードインストラクター」、「食育アドバイザー」、「食育マイスター」、「フードコーディネーター」など、食育に関連するさまざまな資格が続々と登場し、その資格認定講座も相次いで開設されている。ただし、これらはいずれも民間資格で、栄養士などの国家資格とは異なる。


左/内閣府の食育推進会議のサイト。「食育基本法」の規定に基づき設置された食育推進会議で「食育推進基本計画」が決定された。右/ 「おいしいハート」では、食育を企業のマーケティングに活かすビジネスを展開している。


食関連企業に向けた食育ビジネスも登場

食育を切り札に、食を提供する企業向けのビジネスを展開する企業もある。
大阪市の「おいしいハート」は、関連会社が販売する無添加の離乳食を購入する顧客をネットワーク化し、そこで行なったマーケティング調査の結果をもとに食品メーカーや流通業に対する提案や情報発信を行なっている。

「無添加の離乳食を求める消費者は、食に対する意識が高い。そうした顧客の声を拾って流通業や食品メーカーに提供することで、食品を提供する側の食に対する意識を高める」(石原奈津子社長)のが狙いだ。

また、同社では、食育を企業のマーケティングに活用する方法も提案している。
たとえば、食品スーパーなどの売り場で、新鮮な野菜の見分け方から料理方法、栄養面のアドバイスまで、食についての詳しい情報が提供できれば、消費者の店に対する信頼は高まり、競合店との差別化にもつなげやすい。

こうした観点から、同社では、“食を通じて消費者と企業をつなぐ存在”として「食育コミュニケーター」の育成にも取り組んでおり、食品スーパーや食品メーカーを中心に、育成講座を提供しており(注)、これまでに、1000人を超える「食育コミュニケーター」を社会に送り出している。
(注:「食育コミュニケーター」の資格認定講座は、「おいしいハート」と菱食が共同で設立した「日本食育コミュニケーション協会」が実施している)

このように、食育に関するビジネスは、対象者も子どもから大人までと幅広く、また、提供するものもグッズからノウハウまで、多岐にわたっている。加えて、相次ぐ食品の安全性を揺るがす事件やこの4月からメタボリック症候群の健診が義務化されたことなども加わり、食に対する関心はさらに高まると予想されることから、“食育”関連のビジネスが拡大する可能性は大きい。



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