ウェブ ベンチャー・リンク
WEB VENTURE LINK

経営情報誌「月刊ベンチャー・リンク」の週刊ウェブマガジンです
自ら人生を、ビジネスを、明日を切り拓こうという人を応援します

2008年04月17日更新

<3月号特集>地域に感動を与える

ジィ・シィ企画 千葉県佐倉市
清掃活動で地域の人々に支持され
社長・職場体験で学生に愛される


企業が愛されるべき対象は、顧客や社員だけではない。周辺地域の人たちが支持し応援するような社会的存在になることも重要だ。情報システム開発・構築業のジィ・シィ企画は1995年の創業以来、様々な社会・地域貢献活動に取り組んできた。地域の人々に評価されたほか、社員の士気向上や新卒社員の採用面でも有利に働くなどの副次的効果も得られている。
仕事の手があく夜中に清掃休日には手弁当で水質浄化

日が沈み、照明灯のあかりが駅前を照らす。そこでスーツ姿の男女数人が腰をかがめてゴミを拾っている。情報システム開発・構築業のジィ・シィ企画(千葉県佐倉市)の社員たちだ。
ジィ・シィ企画は地域貢献活動の一環として、毎週1回、当番制で会社近くの京成臼井駅前の清掃にあたっている。本社機能を移転してきた2006年6月から現在まで継続し、金子哲司社長も率先して参加する。

「決して楽な作業ではありませんが、職場近くの公共の場からゴミが減ることは、地域の人たちだけでなく社員にとっても気分がいいものです」と金子哲司社長。
日中は仕事で忙しいため、夜中に行なうことも多い。当初、警察官に職務質問を受けた社員もいたと言う。今ではすっかり定着し、影響を受けた近隣の銀行が同じような取り組みを行なうまでになった。

07年からは「NPOいんば」などが取り組む印旛沼(千葉県)の浄化活動にも法人として参画。佐倉市経済環境部環境政策課の主催で昨年10月に行なわれた「平成19年度印旛沼浄化推進運動」には、約半数の社員が手弁当で参加し、印旛沼や鹿島川周辺の清掃などを行なった。


(左)週に1度、京成臼井駅前で清掃活動を行なっているジィ・シィ企画の社員たち。(右)昨年10月に行なわれた印旛沼浄化推進運動の際には、約半数の社員が手弁当で参加した。

地域の大学生に喜ばれる「究極のインターンシップ」

地域貢献活動は環境浄化だけにとどまらない。地域にある大学に通う学生たちを関連会社の経営陣として招き、企業経営を体験してもらう取り組みも行なっている。ジィ・シィ企画の主要事業は、クレジットカード決済システムの開発で、深夜営業をしている顧客もいる。そのため、ユーザーからの要望や苦情を受け付けるコールセンターは、24時間365日の稼働を要する。

ジィ・シィ企画の関連会社に、夜間のコールセンター業務を請け負うハッシュシステムがある。同社は社長をはじめ、全社員が東京情報大学(千葉市若葉区)や東京電気大学情報環境学部(千葉県印西市)に通う大学生で、女性も少なくない。授業のない夜間に働けるため、学業に差し支えのない範囲内で仕事に従事できる。

99年に初めて“大学生社長”が誕生して以来、現在まで大学生が同社の社長を引き継いでいる。ジィ・シィ企画の金子社長は大学生に経営を任せた経緯についてこう説明する。
「以前、当社が運営していたパソコン教室でインストラクターのアルバイトとして大学生を雇っていました。ところが、授業を直前にキャンセルする学生がいて、お客さんに迷惑をかけることがありました。これではまずいと思い、学生に仕事に対する自覚と責任を持たせるため、当時のリーダーに社長になるかクビになるかを選ばせたのです」

今でこそ、学生が在学中に企業へ体験入社する「インターンシップ」は盛んに行なわれている。だが、ジィ・シィ企画は10年近く前から、単なる職業体験のみならず企業経営を学ぶ場も提供するという「究極のインターンシップ」(金子社長)を地域の大学生に行なってきた。

ハッシュシステムでの試みは、ジィ・シィ企画にとって思いも寄らぬ利点ももたらした。毎年、社長経験者を含めて数人が新卒社員として入社するようになったのだ。ジィ・シィ企画の現在の営業課長もハッシュシステムの初代大学生社長である。現在、大学生は空前の売り手市場といわれ、中小企業、とりわけIT系企業は「仕事がきつい」という理由で新卒採用が難しくなっている。そんななかでジィ・シィ企画は、人材採用面ではまったく苦労していないという。金子社長は「社員への給与支払いに苦慮した経験のある新卒生など、日本中を探してもそう多くいませんよ」と豪快に笑う。




社員の愛社精神が高まり他社よりも離職率が低下

ジィ・シィ企画は、地域貢献活動のほかにも、税引き後利益の5%を原子力発電所の事故に見舞われたロシアのチェルノブイリの子供たちを支援する団体や「ギニアの赤ちゃんに産着を贈る会」などのボランティア団体に給付するといった社会貢献活動も行なっている。

これらの地域・社会貢献活動がジィ・シィ企画にもたらした最大の利点は、社員の士気が向上したことだ。同時に愛社精神も高まり、離職率が高いIT系企業にあって、ここ2年間で1人も退職者が出ていない。「士気や愛社精神が高まったのは偶然の産物です。地域清掃や印旛沼の浄化にしても、スタートは環境管理システムの国際規格であるISO14001を取得するために始めたことですから」(金子社長)

継続は力なり。これらの活動が認められ、07年9月には千葉県から「平成19年度千葉のちから中小企業表彰」を受賞した。今後の目標は、自社のクレジット決済システムを全国に広め、国内標準となることだ。「企業は、自社の事業を通して社会貢献できることが理想です」と金子社長はほほえむ。その姿に気負いは見られない。

文・百瀬崇

会社概要Company Data
ジィ・シィ企画

【所在地】〒285-0837 千葉県佐倉市王子台1-28-8 ちばぎん臼井ビル3F
【TEL】043-464-3348
【創業】1995年9月
【資本金】1億8386万円
【売上高】5億3000万円(07年6月)
【従業員数】40人
【事業内容】クレジットカード決済システムをはじめとする情報システムの開発・構築
【URL】http://www.gck.co.jp/

特集TOPへ


関連記事

このページのTopへ

月刊ベンチャー・リンクとは?

定期購読のご案内

メールマガジン

毎週、記事が更新されると、目次とアウトラインをメールでお知らせします。

Mail Magazine

好評!連載記事