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2008年04月17日更新

<3月号特集>感動させる商品を作る

アールエフ 長野県長野市
錠剤のように飲み込むカメラで
世界中の医療関係者を驚かせた



飲む内視鏡「Sayaka」は予価1万円前後。地域医療にあたる開業医に喜ばれる価格設定だ。

管状のカメラを飲むのは苦痛を伴う。しかし、がんや潰瘍(かいよう)など様々な病気の早期発見には欠かせない。ごく自然にカメラを飲むことができれば言うことない。その商品ニーズに応える「飲み込むカメラ」を開発したアールエフは、直接の顧客である医師と治療を受ける患者に大きな感動を与え続けている。
町の開業医の声から斬新な製品を開発

2001年にアールエフ(長野県長野市)が発表した世界初のバッテリーレス・カプセル型内視鏡「NORIKA3」は世界の医療関係者の耳目を集めた。いわゆる「飲み込むカメラ」である。主に小腸と大腸の検査用の内視鏡だ。

管状のカメラを口から入れて食道を通し胃に押し込んでいく従来型の内視鏡は心身ともに苦痛を伴い、患者から敬遠されることが多かった。ましてや、体が小さな子供には負担が大きい。医師の側からも、内視鏡を挿入すると内臓が緊張して委縮するので、本来の消化管の壁面とは見え方が異なる場合があるという意見もあった。同社は93年、大手メーカーを退職した後、故郷に戻った丸山次郎氏が創業した研究開発型企業である。

丸山社長は、小型CCDカメラと無線技術を核に研究開発に没頭した。そして生まれたのが、バッテリーを内蔵しないカプセル型内視鏡「NORIKA3」である。「NORIKA3」は直径9mm、長さ23mmと超小型。カプセル状の薬を飲み慣れている人にとっては、さほど苦痛に感じない大きさだ。バッテリーがないカメラで、真っ暗な腸の内部を撮影できるのはなぜか。それは、無線による電力伝送を行なっているからだ。検査時に患者が着るベストにはコイルが
入っており、体内にあるカプセルが動力源と照明用の電力を受け取る。また、カプセルが撮影した映像は、無線で体外の受信機に送られてくる。患者は、撮影している間も自由に動き回れる。

撮影し終わった「NORIKA3」は、排泄により体外に出されるが、万が一、トイレに流してしまってもバッテリーが入っていないので、環境への影響は最小限に抑えられる。この「NORIKA3」は世界中の医療関係者を驚かせ、丸山社長のもとに期待の声が続々と寄せられた。

「内視鏡検査を嫌がって手遅れになる人もいます。カプセル内視鏡の普及で救われる命が多くあると期待しています」と医師からも絶賛された。一方で、医療現場からはさに充実した機能を望む声もあった。「『NORIKA3』のように前方に広角レンズを付けた撮影方式では、画面の周囲に歪みが生じてしまう。そのため、医師が最も見たい部分がぼやけることがあるという意見がありました。そこで、次世代型の『Sayaka』の研究開発を進めたのです」(丸山社長)

研究を重ねた結果、カプセルを二重構造にして、内部でカメラを横向きに360度回転させながら撮影するという斬新な仕組みを考案した。技術面の開発を含めて4年を費やしました。消化器官の側面をくまなく撮影することができ、合計約87万枚の画像を撮影可能です。画像を合わせれば、パイプ管を切り開いたような1枚のつながった画像になるので、消化管の内部をぐるりと見渡すことができます。

また、17インチのモニターに映せば、75倍ほどの拡大画像で観察することも可能です」(同)。
アールエフは08年中に「Sayaka」を1個約1万円と、競合製品の5分の1程度の値段で発売する予定だ。地域の町医者がすぐに使える商品として浸透することを願った価格で、将来的に6000円まで下げていく。社会保険の適用になれば、患者の負担も少なく、手軽に利用できるようになる。


(左)多いもので240個のCCDセンサーを内蔵する「NAOMI」は、メンテナンスも低コストで済む。(右)歯科医向けの口腔内カメラを改良した「MIHARU」。一般家庭向けの製品も開発する。


「安くなければ普及しない」世界のへき地で役立つ商品を

アールエフは、さらに医療機器業界に新風を巻き起こす。非常に高価で、大病院でなければ導入が難しかったデジタル式レントゲンを独自の技術によって開発。他社に比べて価格を下げた商品化に成功。06年に発表して以来、着実に出荷量を伸ばし続けているデジタルX線センサーデジトゲン「NAOMI」だ。「開業医にとって、高額なレントゲン機器の購入は非常に悩みどころです。医院によっては、毎日のように診察で使うわけではない。しかし、急を要する患者の診察には、どうしても必要となります。『NAOMI』は、町の開業医の悩みを解消する画期的な製品だと思っています」(丸山社長)

汎用性と生産性が高い小型CCDセンサーを高密度に並べ商品化した「NAOMI」の価格は350万円。「NAOMI」を導入したすごうクリニック(青森県弘前市)の須郷貴和医師が、感激の表情を浮かべて同製品の魅力を語る。「デジタル式レントゲン機器の価格は普及型で700万~2000万円。高機能型ともなれば1億円を超えます。そのうえ、もし壊れると、高額な修復費用がかかる。町の開業医にはおいそれと買えません。低価格のデジタルX線センサーの開発は本当に助かります」

この製品は、医師と患者のメリットを追求する同社の経営方針の結晶ともいえる。「当社では技術者が、地域で情熱をもって診察にあたっている開業医の意見や要望を直に聞きながら商品開発を進めています。地域の開業医と二人三脚で進める商品開発は、医療機器メーカーとしては極めて異例です。大多数は、大病院や大学病院と大手メーカーの主導によって商品開発されていますから」(丸山社長)

「こんな医療機器があればいいのに」という医療現場の声を反映するのが、アールエフの強みだ。同社の商品が、顧客と患者に感動を与える理由のひとつである。丸山社長は国内だけではなく、世界中のへき地で診察にあたる医師と患者の役に立つ医療機器の開発を思い描き続けている。アールエフでは、今後も「感動する商品」の開発を進めていく構えだ。

文・橋口義彦(ハリーフッド)


会社概要Company Data
アールエフ

【所在地】〒380-0935 長野県長野市中御所3
【TEL】026-225-7700
【創業】1993年
【資本金】9億110万円(資本準備金8億8110万円)
【売上高】48億300万円
【従業員数】165人
【事業内容】工業用内視鏡/歯科口腔内カメラ/医療・工業用X線センサー/放送・業務用CCDカメラ・開発・製造・販売/カプセル内視鏡等の開発
【URL】http://www.rfsystemlab.com/

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