2008年04月10日更新
<ビジネスワイド>名門白馬人気リゾート
“常に黒字”のリゾート経営
海外客も急増するシェラリゾート白馬

(右)海外客の心を掴んだシェラリゾート。写真のフランス人、アルノー氏一家もお気に入りのようだった。(左)友人の挙式に参加し、自分もここで挙げようと思ったというお二人。
海外客も急増するシェラリゾート白馬

名門白馬人気リゾート、健全経営の秘訣
長野冬季五輪開催地のひとつでもあるスキーリゾート、長野県北安曇野郡白馬村。バブル景気、スキーブームの折には大変な活況を呈したが、バブルが崩壊し、スキーブームも過ぎ去り、90年代にはロストジェネレーション(失われた10年)と呼ばれる社会的に低成長の時代となり、ここ白馬からも客足は遠のいた。
各地のリゾート施設が倒産し、ペンションブームにわいたペンションも続々と店じまいをするなか、大手資本でもなく苦しい時代を一度も赤字を出すことなく切り抜け、人気を博すリゾート施設がシェラリゾート白馬だ。
1994(平成6)年に開業、開業当時日本最大だったという洋風の木造建築で、安曇野・白馬の自然との調和を重視して作られた。広い客室が特長のひとつで、ツイン36平方メートル、ジュニアスイートは54平方メートル(2ベットルーム)ある(後者で食事付き15000円)。延べ泊数は3万泊である。
予想以上だったインバウンド効果
スキーシーズンにあわせて昨年10月1日に英語のホームページを開設するなどしたところ、昨季はほぼゼロだった海外客が3月中旬までの3カ月弱で延べ3000泊と急増した。海外からのスキー客は白馬村全体でも大幅に増加しており、今シーズンは4万人以上が訪れ、白馬の重要な顧客となりつつある。
道路補修から建物リフォーム、大木の植え替えまでこなす支配人、金澤邦隆氏。
インバウンド受け入れの充分なノウハウがなかったためトラブルも心配されたが、実際にはトラブルは「ほとんど皆無」であるという。金澤支配人はこう語る。「私どものリゾートに来て下さる海外からのお客様のほとんどは欧米人で、日本人にくらべ圧倒的に長い休暇をとり、スキーリゾートを楽しんでいかれました。白馬は雪質もよく非常に高い評価が得られ、12月に初めて10泊された方などは、2月の10泊分の予約を入れて帰られました」
「白馬村では10年も前から、インバウンドの誘致に努力してこられ、当ホテルは後発なのですが、幸運にも地域の地道な活動が実を結びつつあると感謝しております。海外で白馬の知名度が予想以上に高いこと、WEBの進歩によって広告から予約までがネットで簡単にできるようになったことも大きな変化です。そしてなにより、ホスピタリティーあふれるアメリカ人がゲストリレーションマネージャーとして着任し、当ホテルのインバウンドに大きな貢献をしてくれました。
「また、当リゾートの部屋の広さや設備、サービスや料理なども気に入っていただけているようです。じつは昨季のゼロから今季3000泊には私自身も驚いているのです。海外営業担当にいわせると、このリゾートは内容からいって料金が安すぎるくらいだといわれるのですが、これだけの数字は想像していませんでした」
設備投資関連で大幅なコスト削減
シェラリゾート白馬は、毎年施設をリフォームするが、CADを活用した意匠図や詳細図、職人の手配から現場監督まで自社で行なう。これにより、外部への発注にくらべ大幅なコスト削減を実現しているという。
「低コストでの頻繁なリニューアル、リフォームが可能なのは自社に技術があるから」(金澤邦隆支配人)とのことで、建物ばかりではく、木の植え替えなども同様だ。取材時にもアスファルト道路の補修を支配人自らが行なっており、「この補修ひとつとっても自社でできれば確実なコスト削減になる」(同支配人)とのコメント。こういった技術は人材教育により育てており、建築の専門家を雇用するといった人件費はない。
広大な自然のなかに、日本にはほとんどない環境にやさしい木造の温かみのあるホテルを作りたいという目標をもって、自分たちで設計・建築を模索しているうちに、デザイン力や技術力が自社に養われたという。それが、結果としてコスト削減という大きな果実を生み出した。
こうして設備投資で削減されたコスト分を大きく振り向けているのは、料理の質の向上である。料理長の金澤光久氏は、全日本司厨士協会主催の第16回トックドール料理コンテストにおいて第2位を受賞した腕前。第1位、第3位など前後が超一流シティーホテルであったことからも高い実力がうかがえる。
設備投資のコスト削減分を振り向けることにより、こうした質の高い料理をリーズナブルな価格で提供できる経営体質を実現しているのだ。
自社にもつ建築やリフォームの技術は、金澤支配人も入社前からもっていたわけではなく、シェラリゾートホテルズの伝統的なもので、入社後に身につけたという。単にコスト削減にとどまらず、社員の自社への愛着も呼び起こし、やりがいにも繋がっているという。

輸入木材による大型の木造建築。自然との調和が自慢だ。
ウエディング事業も展開
敷地内には教会も備えており、質の高い料理を活かしたウエディング事業も積極的に行なっている。年間100件ほどで、高原のイメージを活かしたウエディングは、クチコミで広がった。2分の1強が地元客で、取材時に挙式したお二人も隣接する大町市在住で、友人のシェラリゾート白馬での挙式に参加し、好印象をもったとのことだった。
ウエディング事業、毎年の設備投資、海外顧客の誘致など次々と時代に即した戦略を低コストで実現する力が、開業以来の黒字経営を可能にしているのだろう。
【データ】
シェラリゾート白馬
〒399-9301 長野県北安曇野郡白馬村落倉高原
電話:0261-72-3250
FAX:0261-72-4250
ホームページ:http://www.sierra.ne.jp
長野冬季五輪開催地のひとつでもあるスキーリゾート、長野県北安曇野郡白馬村。バブル景気、スキーブームの折には大変な活況を呈したが、バブルが崩壊し、スキーブームも過ぎ去り、90年代にはロストジェネレーション(失われた10年)と呼ばれる社会的に低成長の時代となり、ここ白馬からも客足は遠のいた。
各地のリゾート施設が倒産し、ペンションブームにわいたペンションも続々と店じまいをするなか、大手資本でもなく苦しい時代を一度も赤字を出すことなく切り抜け、人気を博すリゾート施設がシェラリゾート白馬だ。
1994(平成6)年に開業、開業当時日本最大だったという洋風の木造建築で、安曇野・白馬の自然との調和を重視して作られた。広い客室が特長のひとつで、ツイン36平方メートル、ジュニアスイートは54平方メートル(2ベットルーム)ある(後者で食事付き15000円)。延べ泊数は3万泊である。
予想以上だったインバウンド効果
スキーシーズンにあわせて昨年10月1日に英語のホームページを開設するなどしたところ、昨季はほぼゼロだった海外客が3月中旬までの3カ月弱で延べ3000泊と急増した。海外からのスキー客は白馬村全体でも大幅に増加しており、今シーズンは4万人以上が訪れ、白馬の重要な顧客となりつつある。
道路補修から建物リフォーム、大木の植え替えまでこなす支配人、金澤邦隆氏。インバウンド受け入れの充分なノウハウがなかったためトラブルも心配されたが、実際にはトラブルは「ほとんど皆無」であるという。金澤支配人はこう語る。「私どものリゾートに来て下さる海外からのお客様のほとんどは欧米人で、日本人にくらべ圧倒的に長い休暇をとり、スキーリゾートを楽しんでいかれました。白馬は雪質もよく非常に高い評価が得られ、12月に初めて10泊された方などは、2月の10泊分の予約を入れて帰られました」
「白馬村では10年も前から、インバウンドの誘致に努力してこられ、当ホテルは後発なのですが、幸運にも地域の地道な活動が実を結びつつあると感謝しております。海外で白馬の知名度が予想以上に高いこと、WEBの進歩によって広告から予約までがネットで簡単にできるようになったことも大きな変化です。そしてなにより、ホスピタリティーあふれるアメリカ人がゲストリレーションマネージャーとして着任し、当ホテルのインバウンドに大きな貢献をしてくれました。
「また、当リゾートの部屋の広さや設備、サービスや料理なども気に入っていただけているようです。じつは昨季のゼロから今季3000泊には私自身も驚いているのです。海外営業担当にいわせると、このリゾートは内容からいって料金が安すぎるくらいだといわれるのですが、これだけの数字は想像していませんでした」
設備投資関連で大幅なコスト削減
シェラリゾート白馬は、毎年施設をリフォームするが、CADを活用した意匠図や詳細図、職人の手配から現場監督まで自社で行なう。これにより、外部への発注にくらべ大幅なコスト削減を実現しているという。
「低コストでの頻繁なリニューアル、リフォームが可能なのは自社に技術があるから」(金澤邦隆支配人)とのことで、建物ばかりではく、木の植え替えなども同様だ。取材時にもアスファルト道路の補修を支配人自らが行なっており、「この補修ひとつとっても自社でできれば確実なコスト削減になる」(同支配人)とのコメント。こういった技術は人材教育により育てており、建築の専門家を雇用するといった人件費はない。
広大な自然のなかに、日本にはほとんどない環境にやさしい木造の温かみのあるホテルを作りたいという目標をもって、自分たちで設計・建築を模索しているうちに、デザイン力や技術力が自社に養われたという。それが、結果としてコスト削減という大きな果実を生み出した。
こうして設備投資で削減されたコスト分を大きく振り向けているのは、料理の質の向上である。料理長の金澤光久氏は、全日本司厨士協会主催の第16回トックドール料理コンテストにおいて第2位を受賞した腕前。第1位、第3位など前後が超一流シティーホテルであったことからも高い実力がうかがえる。
設備投資のコスト削減分を振り向けることにより、こうした質の高い料理をリーズナブルな価格で提供できる経営体質を実現しているのだ。
自社にもつ建築やリフォームの技術は、金澤支配人も入社前からもっていたわけではなく、シェラリゾートホテルズの伝統的なもので、入社後に身につけたという。単にコスト削減にとどまらず、社員の自社への愛着も呼び起こし、やりがいにも繋がっているという。

ウエディング事業も展開
敷地内には教会も備えており、質の高い料理を活かしたウエディング事業も積極的に行なっている。年間100件ほどで、高原のイメージを活かしたウエディングは、クチコミで広がった。2分の1強が地元客で、取材時に挙式したお二人も隣接する大町市在住で、友人のシェラリゾート白馬での挙式に参加し、好印象をもったとのことだった。
ウエディング事業、毎年の設備投資、海外顧客の誘致など次々と時代に即した戦略を低コストで実現する力が、開業以来の黒字経営を可能にしているのだろう。
【データ】
シェラリゾート白馬
〒399-9301 長野県北安曇野郡白馬村落倉高原
電話:0261-72-3250
FAX:0261-72-4250
ホームページ:http://www.sierra.ne.jp



