2008年04月03日更新
<雨ニモ負ケズ>カネミヤ/ビニール袋再資源化事業に成功
食品包装材の分別・洗浄処理機を開発し
国内初のビニール袋再資源化事業に成功
間瀬隆夫社長
1947年愛知県生まれ。いすゞ自動車勤務を経て、金属加工機械製造のアマダに勤務後、89年にカネミヤを設立。
国内初のビニール袋再資源化事業に成功
間瀬隆夫社長1947年愛知県生まれ。いすゞ自動車勤務を経て、金属加工機械製造のアマダに勤務後、89年にカネミヤを設立。
カネミヤは、食品の製造過程で出る汚れたビニール袋を自動的に洗浄する処理機を開発し、従来は産業廃棄物として処理されていた廃プラスチックのリサイクルシステムを構築した。半導体分野の下請けで磨き上げた技術力を活用し、「環境」に狙いを定めて半導体不況のどん底からはい上がってきた。
半導体不況で売り上げ9割減
「環境」で起死回生を図る
コンビニエンスストアでは、弁当など食品の消費期限が1分でも過ぎると棚から取り去られて廃棄処分に回される。この光景を見て、「もったいない」とため息をつく人も多いだろう。カネミヤの間瀬隆夫社長は、そこにビジネスチャンスを見いだした。
愛知県半田市の本社社屋(99年竣工)。国内3カ所と台湾に営業所がある。
半導体の製造に必要な精密板金加工で業績を伸ばしていたカネミヤが経営の危機に直面したのは、2001年のこと。急成長した半導体業界を不況が襲い、9億円の売り上げが9割減にまで落ち込んだ。創業12年目のことだった。
「初心に戻り、自社製品の開発に取り組もう。12年かけて構築した超精密機械板金の技術力は、ほかの分野でもきっと応用が効くはずだ」間瀬社長は自らにそう言い聞かせ、気持ちを奮い立たせた。社員は半減し、開発陣は若手技術者ばかり20人での再出発だった。
技術開発のターゲットとして浮上したのが「環境」だ。間瀬社長が決意を新たにした01年は、「資源有効利用促進法」が施行され、循環型社会に向けて国が大きく舵を切った年だった。廃棄物の再資源化に加え、その発生抑制と再利用が求められるようになったのだ。
コンビニ弁当の廃棄処分や製造不良の加工食品の処理で困るのは、生ゴミと包装材の分別だ。間瀬社長は自動的に分別する機械を開発すれば、廃棄物の減量と再資源化に大きく貢献すると考えた。プラスチックは再資源化でき、生ゴミは家畜の飼料にできるからだ。

ビニール袋自動分別洗浄処理機「ブンセン」。使用水量は毎時20Rと家庭用食器洗い機と同程度。専用洗剤はイオン化水が主成分で、油脂やたんぱく質の汚れにも高い洗浄力を発揮し、環境への負荷も小さい。
貴重な資源として
汚れたビニール袋に注目
リサイクルをビジネスとして成立させるには、数多くの困難な壁がある。間瀬社長の体当たりの挑戦も、予期せぬ壁にぶつかった。
超精密機械板金の技術を結集して開発した包装自動分別処理機「ブンブン」の第1号を03年に世に出したものの、受注は38台で頭打ちとなってしまう。当時の技術では、生ゴミを一定品質の飼料にするには廃棄処分よりもコストがかかるうえ、再生飼料は安定供給が難しいなど、リサイクルの行く手が阻まれた。それでも間瀬社長は決してあきらめず、問題点を1つずつ整理していった。
まず、導入する側にメリットがなければ、いい機械を作っても売れない。そこで顧客の声に耳を傾けたところ、「ソースや肉汁で汚れたポリ袋をきれいにできれば資源化しやすい」「空き缶回収袋を洗いたい」といった要望が上がってきた。分別した生ゴミではなく、包装材を再資源化できれば需要が見込めると手ごたえをつかんだ。
食品業界では材料や製品の搬送などに多種多様なビニール袋が使われるが、汚れているため産業廃棄物としてコストをかけて処理するしかなかった。これが、資源として売れれば収支が逆転する。カネミヤはさっそく、自動洗浄機の開発に取り組んだ。
技術面で試行錯誤を繰り返す一方、「ブンブン」1号と同じ轍てつを踏まないよう市場調査も重ねた。そこで得た製品の条件は、「小型」「処理を早く」「使用水量を少なく」の3つであった。翌年、ビニール袋自動分別洗浄処理機「ブンセン」が誕生。高速回転の遠心分離と摩擦力によりビニール袋を洗浄・脱水する方式で、処理に要する時間は1枚当たりわずか2秒、1時間当たりの洗浄水使用量は20Rという高効率・低コストを実現した。
まず地元の空き缶リサイクルセンターから2台の注文を得た。この導入事例が販売促進に大いに貢献し、ハム、乳製品、水産加工など、大手食品メーカー10社が続々と導入を決定。中小の食品工場や産業廃棄物処理業者にも採用され、04年の発売から2年弱で80台を販売した。導入先の評判も良好だ。例えば、愛知県の大手ハムメーカー。原料の入っているポリ袋を1kg当たり80円かけて廃棄処理していたが、ブンセンの導入により、洗浄後は再生資源として同10円で売却できるようになり、年間1000万円もの経費削減に成功した。「現場ですぐ処理するので腐敗による臭気の心配もない」と担当者も大喜びだ。
さらに、行政の支援も得て、汚濁廃プラスチックのリサイクルシステムの構築まで成し遂げた。06年に中部経済産業局から新連携事業の認定を受け、再生樹脂メーカーの秋葉樹脂と提携。洗浄後のビニール袋を秋葉樹脂が買い取り、再原料化してボールペンなどの材料として販売するシステムだ。ビニール袋のリサイクルは商業ベースで国内初の取り組みである。
洗浄後の引き取り先を確保したことで、ブンセンの需要が伸び、原料不足に悩んでいた秋葉樹脂の生産力向上にもつながった。
費用対効果を考慮した製品で
循環型社会の形成に貢献
間瀬社長は、大手の金属加工機械メーカーを脱サラし、89年にカネミヤを創業した。職人の勘に頼ることの多い板金加工の現場に、いち早くコンピューターを導入。超精密機械板金(シートメタル)技術を確立し、機械板金の常識だった許容誤差の10分の1となる0.05mmという高い技術を打ち立てた。
現在も超精密機械板金による電子機器部品などの設計・製造・販売を手がけているが、その売り上げは全体の3割程度。前年度(07年9月期)の売り上げは6億円で、ブンセンとブンブンが7割を占める。ブンセンは今年度単年で100台の販売を目指している。
事務所にある3次元CADと、工場の3次元測定器、工作機械を光ファイバーで結び、コンピューターシステムで職人技を超える高精度の板金加工を実践。夜間無人作業により稼働率を上げ、コストダウンと納期短縮を実現している。
「商品開発の鍵は、まずユーザーの立場で考え、提案することです。自社ブランド品を開発したからといってうぬぼれず、ユーザーのニーズに敏感になることが重要です」(間瀬社長)
ブンブンにも新たな需要が生まれると見ている。07年3月に「食品リサイクル法」が改正されて生ゴミの絶対量削減が急務となり、国際的な穀物価格の高騰で食品残ざん渣さの飼料化に関心が寄せられているからだ。また、紙パック専用の破砕・洗浄・脱水機も新発売した。
覚悟の再出発から6年。「今後も、誰も歩んでこなかった道を行きます」。間瀬社長は力強く言い切った。
【会社概要】
■設立 1989年4月1日
■所在地 〒475-0807
愛知県半田市八軒町128
■TEL 0569-23-2871(代)
■FAX 0569-23-2872
■URL http://www.kanemiy.co.jp
■資本金 2500万円
■売上高 6億円
■従業員数 30人
■事業内容 包装自動分別処理機ブンブン、ビニール袋自動分別洗浄処理機ブンセンの開発・設計・製造・販売など
「環境」で起死回生を図る
コンビニエンスストアでは、弁当など食品の消費期限が1分でも過ぎると棚から取り去られて廃棄処分に回される。この光景を見て、「もったいない」とため息をつく人も多いだろう。カネミヤの間瀬隆夫社長は、そこにビジネスチャンスを見いだした。
愛知県半田市の本社社屋(99年竣工)。国内3カ所と台湾に営業所がある。半導体の製造に必要な精密板金加工で業績を伸ばしていたカネミヤが経営の危機に直面したのは、2001年のこと。急成長した半導体業界を不況が襲い、9億円の売り上げが9割減にまで落ち込んだ。創業12年目のことだった。
「初心に戻り、自社製品の開発に取り組もう。12年かけて構築した超精密機械板金の技術力は、ほかの分野でもきっと応用が効くはずだ」間瀬社長は自らにそう言い聞かせ、気持ちを奮い立たせた。社員は半減し、開発陣は若手技術者ばかり20人での再出発だった。
技術開発のターゲットとして浮上したのが「環境」だ。間瀬社長が決意を新たにした01年は、「資源有効利用促進法」が施行され、循環型社会に向けて国が大きく舵を切った年だった。廃棄物の再資源化に加え、その発生抑制と再利用が求められるようになったのだ。
コンビニ弁当の廃棄処分や製造不良の加工食品の処理で困るのは、生ゴミと包装材の分別だ。間瀬社長は自動的に分別する機械を開発すれば、廃棄物の減量と再資源化に大きく貢献すると考えた。プラスチックは再資源化でき、生ゴミは家畜の飼料にできるからだ。

貴重な資源として
汚れたビニール袋に注目
リサイクルをビジネスとして成立させるには、数多くの困難な壁がある。間瀬社長の体当たりの挑戦も、予期せぬ壁にぶつかった。
超精密機械板金の技術を結集して開発した包装自動分別処理機「ブンブン」の第1号を03年に世に出したものの、受注は38台で頭打ちとなってしまう。当時の技術では、生ゴミを一定品質の飼料にするには廃棄処分よりもコストがかかるうえ、再生飼料は安定供給が難しいなど、リサイクルの行く手が阻まれた。それでも間瀬社長は決してあきらめず、問題点を1つずつ整理していった。
まず、導入する側にメリットがなければ、いい機械を作っても売れない。そこで顧客の声に耳を傾けたところ、「ソースや肉汁で汚れたポリ袋をきれいにできれば資源化しやすい」「空き缶回収袋を洗いたい」といった要望が上がってきた。分別した生ゴミではなく、包装材を再資源化できれば需要が見込めると手ごたえをつかんだ。
食品業界では材料や製品の搬送などに多種多様なビニール袋が使われるが、汚れているため産業廃棄物としてコストをかけて処理するしかなかった。これが、資源として売れれば収支が逆転する。カネミヤはさっそく、自動洗浄機の開発に取り組んだ。
技術面で試行錯誤を繰り返す一方、「ブンブン」1号と同じ轍てつを踏まないよう市場調査も重ねた。そこで得た製品の条件は、「小型」「処理を早く」「使用水量を少なく」の3つであった。翌年、ビニール袋自動分別洗浄処理機「ブンセン」が誕生。高速回転の遠心分離と摩擦力によりビニール袋を洗浄・脱水する方式で、処理に要する時間は1枚当たりわずか2秒、1時間当たりの洗浄水使用量は20Rという高効率・低コストを実現した。
まず地元の空き缶リサイクルセンターから2台の注文を得た。この導入事例が販売促進に大いに貢献し、ハム、乳製品、水産加工など、大手食品メーカー10社が続々と導入を決定。中小の食品工場や産業廃棄物処理業者にも採用され、04年の発売から2年弱で80台を販売した。導入先の評判も良好だ。例えば、愛知県の大手ハムメーカー。原料の入っているポリ袋を1kg当たり80円かけて廃棄処理していたが、ブンセンの導入により、洗浄後は再生資源として同10円で売却できるようになり、年間1000万円もの経費削減に成功した。「現場ですぐ処理するので腐敗による臭気の心配もない」と担当者も大喜びだ。
さらに、行政の支援も得て、汚濁廃プラスチックのリサイクルシステムの構築まで成し遂げた。06年に中部経済産業局から新連携事業の認定を受け、再生樹脂メーカーの秋葉樹脂と提携。洗浄後のビニール袋を秋葉樹脂が買い取り、再原料化してボールペンなどの材料として販売するシステムだ。ビニール袋のリサイクルは商業ベースで国内初の取り組みである。
洗浄後の引き取り先を確保したことで、ブンセンの需要が伸び、原料不足に悩んでいた秋葉樹脂の生産力向上にもつながった。
費用対効果を考慮した製品で
循環型社会の形成に貢献
間瀬社長は、大手の金属加工機械メーカーを脱サラし、89年にカネミヤを創業した。職人の勘に頼ることの多い板金加工の現場に、いち早くコンピューターを導入。超精密機械板金(シートメタル)技術を確立し、機械板金の常識だった許容誤差の10分の1となる0.05mmという高い技術を打ち立てた。
現在も超精密機械板金による電子機器部品などの設計・製造・販売を手がけているが、その売り上げは全体の3割程度。前年度(07年9月期)の売り上げは6億円で、ブンセンとブンブンが7割を占める。ブンセンは今年度単年で100台の販売を目指している。
事務所にある3次元CADと、工場の3次元測定器、工作機械を光ファイバーで結び、コンピューターシステムで職人技を超える高精度の板金加工を実践。夜間無人作業により稼働率を上げ、コストダウンと納期短縮を実現している。「商品開発の鍵は、まずユーザーの立場で考え、提案することです。自社ブランド品を開発したからといってうぬぼれず、ユーザーのニーズに敏感になることが重要です」(間瀬社長)
ブンブンにも新たな需要が生まれると見ている。07年3月に「食品リサイクル法」が改正されて生ゴミの絶対量削減が急務となり、国際的な穀物価格の高騰で食品残ざん渣さの飼料化に関心が寄せられているからだ。また、紙パック専用の破砕・洗浄・脱水機も新発売した。
覚悟の再出発から6年。「今後も、誰も歩んでこなかった道を行きます」。間瀬社長は力強く言い切った。
【会社概要】
■設立 1989年4月1日
■所在地 〒475-0807
愛知県半田市八軒町128
■TEL 0569-23-2871(代)
■FAX 0569-23-2872
■URL http://www.kanemiy.co.jp
■資本金 2500万円
■売上高 6億円
■従業員数 30人
■事業内容 包装自動分別処理機ブンブン、ビニール袋自動分別洗浄処理機ブンセンの開発・設計・製造・販売など



