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2008年04月03日更新

<税務Q&A>役員報酬と税金

役員報酬と税金

●渡辺ゆかり(わたなべ ゆかり) :
渡辺会計事務所所長。おもな著書に、「会社の数字早わかり」「連結決算を90分でおさらいする本」(いずれも共著、三笠書房・知的生きかた文庫シリーズ)がある。
URL:http://homepage2.nifty.com/ywatanabe/

個人事業で食品の卸売りをしていましたが、4月から法人を立ち上げることになりました。個人事業主のときは利益の中から生活費や交際費を使っていましたが、法人設立後は、社長として報酬を取ることになります。この報酬は、毎月定額にしなければいけないと聞きましたが、月によって収入金額が大きく異なるときもあります。それでも定額でなければいけないのでしょうか。役員の報酬について決まりがあるのでしたら、それを教えてください。
個人事業から法人を設立した場合、仕事の内容は今までと同じでも、税金の計算については、所得税法から法人税法へ変わります。法人税法では、役員へ支払う報酬を役員給与として一定の決まりを作っています。この決まり以外の方法で役員へお金を支払った場合、経費として認められないことになります。個人事業のころには事業主の給料は経費にならなかったわけですから、法人設立後は、役員給与の分は節税にもつながります。それだけに、役員給与の規定は厳密になっています。また、同族会社の場合には、特別の規定もありますので、注意してください。

1.役員給与の損金算入の範囲

法人がその役員に対して支給する給与のうち損金算入されるものの範囲は、次に掲げる給与とされています。
A)定期同額給与……支給時期が1月以下の一定の期間ごとであり、かつ、当該事業年度の各支給時期における支給額が同額である給与、その他これに準ずる給与
B)事前確定届け出給与……その役員の職務につき所定の時期に確定額を支給する旨の定めに基づいて支給する給与で、一定の要件を満たすもの
C)利益連動給与……同族会社に該当しない法人がその業務を執行する役員に対して支給する利益に関する指標を基礎として算定される給与で、一定の要件を満たすもの

したがって、上記以外の給与は損金に算入することができません。

(注)AからCまでに該当する役員給与であっても、不相当に高額な部分の金額については、損金の額に算入されません。また、退職給与等についても、不相当に高額な部分の金額および事実を隠ぺいまたは仮装して経理することにより支給するものは、損金の額に算入されません。

2.損金算入となる役員給与の詳細

上述の通り、損金算入となる役員給与には、「定期同額給与」「事前確定届け出給与」「利益連動給与」があります。

(1)定期同額給与
定期同額給与とは、役員に対して支給する給与で次に掲げるものをいいます。

a.その支給時期が1月以下の一定の期間ごとであり、かつ、その事業年度の各支給時期における支給額が同額である給与

b.その支給時期が1月以下の一定の期間ごとであるものの額につき、その事業年度開始の日の属する会計期間開始の日から3月を経過する日までにその改定がされた場合における次に掲げる定期給与
ア)その改定前の各支給時期における支給額が同額である定期給与
イ)その改定以後の各支給時期における支給額が同額である定期給与

c.定期給与の額につき、その法人の経営の状況が著しく悪化したこと、その他これに類する理由によりその改定がされた場合(減額した場合に限り、bに該当する場合を除きます)の当該事業年度のその改定前の各支給時期における支給額、およびその改定以後の各支給時期における支給額がそれぞれ同額である定期給与

d.継続的に供与される経済的な利益のうち、その供与される利益の額が毎月おおむね一定であるもの

したがって、役員に対して支給する定期給与の額について、事業年度の中途で改定した場合には、上記のbまたはcに該当するものであれば、定期同額給与に該当します。

(2)事前確定届け出給与
その役員の職務につき所定の時期に確定額を支給する旨の定めに基づいて支給する給与(定期同額給与および利益に関する指標を基礎として算定される給与を除きます)で、次のaまたはbのうちいずれか早い日(新設法人がその役員のその設立の時に開始する職務についてその定めをした場合には、その設立の日以後2カ月を経過する日)までに納税地の所轄税務署長にその定めの内容に関する届け出をしているもの

(注)ただし、同族会社以外の法人が定期給与を支給しない役員に対して支給する給与については、その届け出をする必要はありません。なお、同族会社に該当するかどうかの判定は、その法人が定期給与を支給しない役員の職務につき、その定めをした日(新設法人にあっては設立の日)の現況によります。

a.株主総会、社員総会またはこれらに準ずるもの(以下「株主総会等」といいます)の決議によりその定めをした場合におけるその決議をした日(その決議をした日が職務の執行を開始する日後である場合には、その開始する日)から1カ月を経過する日

b.その会計期間開始の日から4カ月を経過する日

(注)臨時改定事由により定めをした場合は、次に掲げる日のうちいずれか遅い日が届け出期限となります。

ア)上記aまたはbのうちいずれか早い日(新設法人にあっては、その設立の日以後2月を経過する日)
イ)臨時改定事由が生じた日から1月を経過する日

また、すでに届け出をしている法人が、その届け出に係る定めの内容を変更する場合において、その変更が次に掲げる事由に基因するものであるときは、その変更後の定めの内容に関する届け出はその事由の区分に応じて次に掲げる日までに行わなければなりません。
・臨時改定事由
その事由が生じた日から1カ月を経過する日
・業績悪化改定事由
その事由によりその定めの内容の変更に関する株主総会等の決議をした日から1カ月を経過する日(変更前の直前の届け出に係る定めに基づく給与の支給の日が1カ月を経過する日前にある場合には、その支給の日の前日)

(3)利益連動給与
同族会社以外の法人が業務を執行する役員に対して支給する次のaからcまでのすべての要件を満たす給与(他の業務を執行する役員のすべてに対して次のアからウまでのすべての要件を満たす利益連動給与を支給する場合に限られます)。

a.その算定方法が、有価証券報告書に記載されるその事業年度の利益に関する指標を基礎とした客観的なもので、次の要件を満たすものであること。
ア)確定額を限度としているものであり、かつ、他の業務を執行する役員に対して支給する利益連動給与に係る算定方法と同様のものであること。
イ)その事業年度開始の日の属する会計期間開始の日から3カ月を経過する日までに一定の報酬委員会が決定していること、その他これに準ずる一定の適正な手続きを経ていること。
ウ)その内容が上記ロの決定又は手続き終了の日以後遅滞なく有価証券報告書に記載されていること、その他一定の方法により開示されていること。

b.有価証券報告書に記載されるその事業年度の利益に関する指標の数値が確定した後1カ月以内に支払われ、または支払われる見込みであること。

c.損金経理をしていること。
上記のように、役員に対して報酬を支払う場合には細かな規定があります。個人事業主との一番大きな違いが役員給与です。さらに、同族会社のうち一定の会社のついては、社長への報酬の一部が経費にならない場合があります。

3.特殊支配同族会社の場合

同族会社のうち、一定の要件に該当する場合には、社長の報酬のうち一部が経費に算入されません。

a.対象となる法人
対象となる法人は「特殊支配同族会社」であり、次の2つを同時に満たす法人です。
ア)同族関係者が90%以上の株を所有している
イ)常務に従事する役員の過半数が同族関係者

b.損金不算入とされる金額
損金不算入とされる金額は、社長の給与(業務主宰役員給与)のうち、次の表で計算した金額です。
業務主宰役員給与額
損金不算入となる金額
~ 650,000円 業務主宰役員給与額の全額
650,001円~ 1,800,000円業務主宰役員給与額×0.4 (65万円未満の場合は65万円)
1,800,001円~ 3,600,000円 業務主宰役員給与額×0.3+180,000円
3,600,001円~ 6,600,000円 業務主宰役員給与額×0.2+540,000円
6,600,001円~10,000,000円 業務主宰役員給与額×0.1+1,200,000円
10,000,001円~ 業務主宰役員給与額×0.05+1,700,000円

c.適用除外
特殊支配同族会社に該当しても次の場合は適用が除外されます。
ア) その同族会社の所得金額とオーナー社長の報酬の合計額の直前3年以内(基準期間といいます)の平均額(基準所得金額といいます)が年1600万円以下の場合
イ) その基準所得金額が年1600万円超3000万円以下で、基準期間における業務主宰役員の平均給与が、基準所得金額の50%以下の場合

設立第1期目などで、基準期間がない場合には、その事業年度の所得およびその事業年度の業務主宰役員の給与で判定し、1年に満たない場合には月数で按分します。



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