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2008年03月19日更新

<シニアベンチャー>情報セキュリティ会社設立

会社の方針変更を機に退職
情報セキュリティ会社設立


●エス・アイ・エス株式会社 代表取締役 高木実
<たかき・みのる>昭和31年生まれ。システムエンジニア。専門学校卒業後、2社でシステム開発や営業、管理職等を経験した後、2004年7月、48歳で長男を含む仲間4人と同社を設立。情報セキュリティ関連事業を基盤に、ビジネスソリューション、システムソリューション、テクニカルソリューションの3事業部門を展開。「社員に投資するために会社がある」がポリシー。
http://www.sis-g.co.jp

文・写真:川井眞理(ピーエーピー・ジャパン

自分らしい仕事をしたいと考え、起業したシニアにエールを送るコーナーです。
サラリーマンになった時から「昇りつめるか自分で会社を興す」と思い続けていた高木さん。会社の方針が変わったのを機に退職、長年の夢を実現すべく起業しました。

情報セキュリティに新分野構築

――事業内容を教えてください。
情報セキュリティポリシーの策定支援を基盤に、システム運用に特化した運用プロダクトソリューション事業、運用管理サービス事業を展開し、運用ワンストップサービスの構築を目指しています。例えば、企業方針や業務ルール、システム運用におけるITIL理論(Information Technology Infrastructure Library:管理手法)、セキュリティ概念の3つを融合させた運用ソリューションを提供します。

約180坪ある大阪オフィス。全社員の席がズラリ並ぶ。オフィスはセキュリティの関係からワンフロア1社制


――現場で現状の不備に気づいたことが新分野をつくり出す原点になり、他社との差別化につながったそうですね。
大手企業からデータ整理などを受注するためには、受け皿の会社はきちんとしたルールを作って発注企業に安心してもらう必要があります。いわゆるセキュリティ管理ですが、電算システムで大量のアウトソーシングが始まったばかりの2000年当時、そんなルール作りの専門家はどこにもいない。それで「これはビジネスになるんじゃないか」と思ったんです。

――その事業の基盤となっている情報セキュリティの策定支援とは、どのようなことなのでしょうか。
企業には個別のマニュアル文書はありますが、それをどう使うかという管理プロセス――どうやって誰がチェックするか等――を書いた文書は少なく、人から口移しで教わるのがこれまでの日本企業の慣習でした。しかしグローバル化の中、誰が見てもわかるようルールをきちんと文書化した欧米なみの管理が求められるようになってきたということです。

10期目の上場を目指す

――高木さんが起業された経緯を教えてください。
当初は漠然とソフトハウスの起業を考えていました。そこへ、たまたま前職で携わったIT統制というニッチ分野に手応えを感じ、一方で会社の方針が変わって、仕事の内容が自分がやりたかったこととかけ離れだしたのです。あてにしていた退職金が日本版401kに移行して65歳までもらえなくなったこともあり、起業するなら「ラストチャンスだな」と……。

応接室に貼られた企業理念や社訓など




――起業するにあたって準備されたことは。
現在はブラッシュアップして48項目になっていますが、最初に72項目から成る管理項目のテンプレートを作りました。この雛形作りが一番大変でしたね。情報システムの運用業務をすべて網羅しているか、また、部署ごとに作るのがいいのか、人ごとに作るのがいいのかといった体系作りでも悩みました。創業直前に完成し、これを作ったお陰で、創業からわずか3年で社員をどんどん増やして、ここまで成長することができました。

――顧客はどのようにして見つけられたのですか。
設立メンバーは私を含めて5人ですが、1期目は大変でした。ターゲットを絞って担当3人がガンガン営業をかけました。1年ぐらい結果が出ませんでしたが、幸い私には仕事を離れてからも付合っている前職の取引先だった知人がたくさんいて、彼らが仕事をくれました。現在は金融機関がおもな取引先ですが、大手流通やその他の業界へもどんどん拡がりつつあります。もちろん情報システムの運用管理以外に、技術者の開発支援なども行なっています。

――収益はどのような状況ですか。
月商ベースで1期目約1000万円、2期目2000万円、3期目4000万円というところです。今期の年商は恐らく5億円を超すだろうとみていますが、事業計画は9億6千万円なので、創業時のロマンからいうとまだ半分(笑)。これだけお客様があったということは事業が時流に乗っていることもありますが、スタッフのレベルの高さによるところが大きいですね。

――人材に関して独自の哲学をお持ちだそうですね。
会社が大きくなると社員も豊かにならないといけない。お客様を無視するという意味じゃなくて、経営者がお客様のことばかり見ていると社員は働きがいをなくします。やっぱり社員が一番大事です。社員を豊かにするためには教育もしなければいけないということで、私は社員にお金を投資するために会社が存在すると思っているんです。

――最後に今後の目標を教えてください。
10期目の上場を目指しています。資金を得ることだけが目的ではなく、従業員の持株会制度の導入により、従業員の中長期的な財産形成に対する助成、従業員の意識の向上が図れると思っています。優秀な人材に多く集まってもらうことで、さらに大きなビジネスの展開を実現できるものと考えたのです。また、社長としての連帯保証が事業継承に大きな壁となっていることもあり、この面からも株式公開の意義はあるといえます。個人的にはいつか孫かひ孫に、「あの会社はおじいちゃんが作ったんやで。あんなに大きくなってるけど、最初はとんでもなかったんやで」と言ってみたいですね(笑)。


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