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2008年03月06日更新

<2月号特集>本格化する日本企業の進出



ベトナムへ進出する日本企業が急増している。これまでの主だった進出企業は、およそ800社。07年は11月末の時点で144の案件が認可された。ベトナムで日本企業が成功するキーワードは、「輸出加工業」「工業団地に進出」「日本資本100%」の3つだ。

中国へのリスク管理の一環でベトナムへの投資がブームに

「日本企業の中国への進出が一段落したうえ、政治動向によって経済政策が急変する可能性のある中国へのリスク管理の一環として、他国にもう1つ工場を確保する『中国プラスワン』の動きが顕著になっています。その“プラスワン”の進出先として有力なのがベトナムです」。

2005年以降、日本企業のベトナム投資が急増している理由について、日本アセアンセンター投資部の中西宏太・上席プロジェクト担当官はこう説明する。06年の日本企業のベトナム投資額は約13億米ドル(認可ベース)。また、06年の日本のベトナムへの投資の新規認可額は約10億6000万米ドルに達し、アジア通貨危機以前の95年に記録した約11億米ドルに次いで高く、「第2次ベトナム投資ブーム」が到来したと言われている。



進出企業は輸出加工業が中心

現在、およそ800社の日系企業が、商都ホーチミンのある南部と首都ハノイを擁する北部を中心に進出している。だが、そのすべてが成長しているわけではない。「経営に成功する企業の多くは、3つの条件を備えている」と中西担当官は分析する。

成功条件の1つ目は輸出加工業であることだ。ベトナムが投資先として選ばれている大きな理由に中国よりもさらに安い人件費が挙げられる。だが、働き手は豊富にいても、部品や素材などを製造する裾野産業がまだ育っていない。そのため、部品を中国などの他国から輸入して調達する必要がある。

また、ベトナムで組み立て加工した後は国外に製品を出荷するのが基本となる。ベトナムには大きな市場がないからだ。そのため、一部の業種・業態を除き、輸出加工業でなければ運営が厳しいのが現状である。2つ目は工業団地を利用していること。工業団地以外の土地は産業基盤が整っていないからだ。

「整地や電気、水道といったハード面だけでなく、ソフト面でも工業団地は有利。進出のために必要な申請書類の作成や従業員の募集といった本業以外で手間のかかる部分を管理する担当者がいるからです。関税局の出先機関も団地内にあり、利便性が高いといえます」(中西担当官)

ベトナム政府としても外資系の工場は集約した方が管理しやすいため、団地内の企業には法人税などで優遇措置を講じている。「ただし、実際に日系企業の入居条件を満たす団地は、30カ所くらいでしょうか」と中西担当官は注意を促す。

レンタル工場を利用する手も

ベトナムには日系企業が運営もしくは資本参加している工業団地も5カ所ある。産業基盤がしっかりと整備されているのは魅力だが、その半面、土地代が高く、1平方メートルで80米ドルの団地もある。ほかの外資系企業の工業団地が1平方メートルで30~40米ドルなのに比べると割高だ。しかも空きスペースが少なくなってきている。

他方、ベトナム資本の工業団地は1平方メートルで20米ドル前後と割安だが、産業基盤に不安があったり、地方に立地しているため物流コストが高くついたりすることもある。とはいえ、最近はベトナム資本の工業団地もかなり質がよくなってきた。安価なため、日本の中小企業も積極的に進出しているようだ。選択方法の1つとしては「すでに日系企業が進出している工業団地を選ぶのが無難」(中西担当官)という。

進出に伴う初期経費が十分にない企業は、レンタル工場を借りるのも一案だ。とりあえず進出して現地の様子を見たいという企業にとっては便利だろう。ただし、「3年ぐらい続けるならば工場を建設した方が安い」(中西担当官)という見方もあるので注意したい。

成功条件の3つ目は、日本資本100%であること。ベトナム企業との合弁会社にすると、重要案件がベトナム側との調整に手間取る恐れがあるからだ。そもそも合弁企業の利点が生きるのは、ベトナム市場に進出する場合だけ。

例えばオートバイメーカーや加工食品メーカーといった企業がそれにあたる。ベトナム国民の購買力が高まり、市場として魅力を増しつつあるもの事実であり、ASEAN(東南アジア諸国連合)のなかでもタイやシンガポールといった国々に比べてまだまだ成長余地がある分、チャンスが多い国と言えるだろう。

ベトナム進出の相談窓口(日本語対応)
中小企業基盤整備機構 経営基盤支援部 
経営相談課 国際化支援担当

03-5470-1522
http://www.smrj.go.jp/keiei/kokusai/index.html
中小企業の海外展開に関する相談を受け付ける。豊富な実務経験とノウハウを持った専門家が経営支援の視点に立ったアドバイスを提供している。

海外職業訓練協会(OVTA)東京事務所
03-551 2-8601
http://www.ovta.or.jp
外国人に仕事を教える人材を養成するための研修講座や海外に赴任、出張予定者向けのキャリア形成支援、海外進出に伴う諸問題に対する相談援助などを行なう。

国際機関日本アセアンセンター 投資部
03-3546-2031
http://www.asean.or.jp
投資奨励政策などに関する相談を受け付ける。投資関連資料の作成・配布や工業団地資料の収集(ニュースクリッピング、資料購入など)、投資関連公的機関の紹介なども行なう。

国際協力銀行 中堅・中小企業支援室
03-5218-3579
http://www.jbic.go.jp/japanese/
ベトナム進出時の融資相談を受け付けている。

東京都中小企業振興公社 総合支援部 国際化支援室
03-3438-2027
http://www.tokyo-trade-center.or.jp
基本的に東京都下の企業を対象に、ベトナムへの投資、貿易、委託加工などの相談全般を受け付けている。

会川アジアビジネス研究所
03-5520-5310
http://www.aabc.biz
ベトナム進出の事前調査やベトナム政府・地方政府との折衝、各種形態による法人設立に関するコンサルティング、支店・駐在員事務所設立に関するコンサルティングなどを行なう。

文・百瀬崇


特集 ベトナムの魅力(下)こちら


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