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2008年03月06日更新

<2月号特集>駐日ベトナム公使 グエン・ミン・ハ氏

未発達な裾野産業を担う中小企業を歓迎します



アジア全域から見れば、ベトナムはほぼヘソに位置する。世界への生産・輸出拠点としては、むしろ中国よりも地理的に優位だ。投資環境の現状と魅力、そして日系中小企業進出のポイントをグエン・ミン・ハ駐日ベトナム公使に聞いた。

ベトナムは中国に次ぐ有力投資先であることから「チャイナ・プラス・ワン」として世界の注目を集めています。日系企業も、今が投資に最適の時期ではないでしょうか。
その理由は大きく2つ考えられます。1つ目が、生産拠点としての条件がそろっていること。政治不安がなく治安が安定しており、勤勉な国民性で良質な労働力として確保できます。さらに食料およびエネルギーの自給が可能で、鉄鋼などの原材料の産出国です。食料、エネルギー、原材料の確保は、経済開発において不可欠の要素で、ベトナムはアジアのなかでも優位に立つと考えられます。
2つ目が良好な日越関係。国交を回復して34年、今ほど友好な状況はないといえます。長期的にパートナーシップを構築できる環境が整ってきています。

投資環境が整い中小メーカーに追い風

多くの企業がベトナムに進出していますが、その中心は製造業です。日系企業でも自動車や家電のメーカーなどを中心に大企業の進出が見られます。大手中心と思われがちですが、実は、中小企業にとっても今こそチャンスです。というのも、ベトナムでは部品や材料加工などの裾野産業が未発達のため、大手メーカーが進出してきても部品・部材の調達は輸入に頼らざるをえないという現状があるからです。

だからこそ、部品・部材の供給を担う中小メーカーが進出できる素地が十分にあります。さらに、進出しやすい環境が整ってきたことも追い風です。その象徴といえるのが日本からの投資環境の改善を図る「日越共同イニシアチブ」が進展していること。2008年からは改善策の検討も第3期に入り、ベトナムでの投資環境、ビジネス環境が飛躍的に整ってきています。

さらに日本とベトナムは経済連携協定(EPA)の交渉に入っており、近く締結されるでしょう。関税撤廃といった通商上の障壁を取り除くだけでなく、サービスや投資など様々な分野での連携、取り引きの円滑化が進みます。中小企業のベトナムへの進出が、よりスムーズになるのは明らかです。日本とベトナムが強力な連携をとっている今こそ、進出への機が熟しているといえるでしょう。

日本とベトナムのビジネス環境の整備に加え、ベトナム国内の開発が飛躍的に進んでいることも投資に拍車をかけています。以前はホーチミン周辺の南部開発が進んでいましたが、近年、中部のダナン、北部のハノイ周辺も開発され、全土に工業団地、経済特区が設けられています。北部ではハノイ、ハイフォン、クァンニンを中心としたトンキンデルタの開発に力を入れており、外資系の投資誘致策もこの地域に集中しています。

01年頃からは日系企業も北部に拠点を構え始めました。中部のダナンも重点開発地域の1つ。現在、国内初の石油精製所を建設中で、これが完成すれば今まで輸入に頼っていた石油を国内でまかなうことが可能になります。

交通網に目を向けると、タイ北部からラオス、ダナンをつなぐ自動車道の東西回廊が完成したことは、ベトナム国内に限らず、タイに進出している日系企業にとっても大きなメリットです。タイからハノイへは海上輸送が行なわれていましたが、陸路になると500kmと大幅に距離が縮むからです。ダナンは、将来的に物流拠点として、さらにエネルギー供給基地として重要な役割を担うことになるでしょう。

このように全土で開発が進むことで、人材の偏りがなくなってきています。日系メーカーにとっては技術者確保が第一になると思いますが、大学や専門学校で技術系の人材育成にも力を入れています。




ベトナムは世界戦略への足がかりになる

ベトナムに進出している日系企業は国内でも高い評価を受けています。投資額を見ると、認可額は韓国、香港、台湾に次いで4位ですが、実行額は1位。認可ベースで約73億ドルのうち、50億ドルが実行されていますから、ベトナム政府としても日系企業にはぜひ来ていただきたいと期待しています。日系企業で働く社員からも、「不当な扱いをせず、約束を守る。人材を育てるという意識があるので技術が身につく」という声が聞かれます。

他国の企業に比べてもおおむね評判のいい日系企業ですが、よりよい経済活動をするために私があえて提案したいのは、広い視野を持って現地進出していただきたいということです。せっかくベトナムに拠点を構えるのですから、日本とベトナムの市場だけを見ていたのではもったいない。単なる生産工場として安価な労働力のみを求めるだけではなく、アジア戦略、世界戦略を見据えてベトナムに来ていただきたい。私たちはそういった視野を持った日系中小企業を歓迎します(談)。

日越共同イニシアチブ
ベトナムの投資環境改善を目的として03年4月、小泉純一郎首相(当時)とベトナムのファン・ヴァン・カイ首相(当時)の会談で話が持ち上がった。同年12月には、44項目に及ぶ改善課題をまとめ、そのうち42項目について合意。ベトナムへの要望として、外資系企業向けの法人税優遇措置といった税制をはじめ、行政手続きの簡素化、外資系商社への市場開放など規制の軽減、緩和、撤廃などが盛り込まれた。05年末までを第1期として実施し、07年末で第2期が終了している。

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