2008年02月07日更新
<1月号特集>旭山ブームで全国の動物園も人気回復の兆し
レジャーの多様化、少子化の進展などにより、動物園の入園者数はここのところ下がり続けてきた。しかし、旭山動物園がブームの火付け役となり、全国の動物園にも行動展示が広がって人気も回復の兆しが見えてきた。
2007年11月初め、あるニュースが飛び込んできた。上野動物園(東京都台東区)が、この冬、冬眠しているクマの様子を来園者に生の姿で見せるというのだ。
06年に新たに作られた「クマたちの丘」の中に設置された冬眠ブースで、入園者はのぞき窓(約3×10cm)から、クマが冬眠している様子をひとりずつ順番に観察できるようにした。
クマを冬眠させるには低温であることが不可欠。そのためブースの温度を零下5℃くらいまで冷やして冬眠させる。冬眠をするクマが見られる動物園は、世界的にもとても珍しい。
見せる工夫が全国の動物園に広がっている
バブル崩壊後、国内の動物園入園者数は減少の一途をたどっている。年平均3.1%の下降率で減り続け、91年には約6500万人だった年間入園者数は、03年には約3800万人にまで落ち込んだ。最近は、旭山動物園の人気に後押しされる形で全国の動物園入園者数はやや盛り返しているものの、旭山以外の動物園は依然として苦境に立たされているのが現状だ。
そこで、旭山動物園の大成功に刺激を受け、他の動物園でも行動展示が目立つようになってきた。上野動物園もそのひとつ。「クマたちの丘」もクマの生態がよく分かる行動展示として、人気を集めている。その中にあるクマ棚は、野生のクマがえさを食べたり、休憩したりする場所を再現したもので、クマたちのほのぼのとした様子を建物の2階からのぞくことができる。また、野生では半樹上生活をしているカナダヤマアラシのために、ケヤキの木を使って登り下りできる施設を05年に新築。木に登る姿が間近に見え、入園者からも好評だ。
開園70周年を迎え、展示動物の種類が日本一を誇る東山動植物園(名古屋市千種区)でも行動展示に乗り出した。07年の3月に改修したライオン舎の「ワ~オチューブ」は、えさ場に橋をかけ、透明パネル越しにライオンの姿がのぞける。また、毎日行なわれるえさやりのイベントを充実し、カバ、キリン、アシカなどの食事タイムが見られるようにした。なかでもアシカ舎は、観客が投げたえさの魚を取り合うアシカの姿がおもしろいと人気の的だ。
東山動植物園の入園者数は、91年の303万人をピークに昨年は約202万人まで減少し、苦戦を強いられている。開園以来、ずっと全国2位(1位は上野動物園)の入園者を誇っていたが、昨年には旭山動物園に抜かれ、初めて3位に転落。そのため、名古屋市では、10年計画で行なう「東山動植物園再生プラン基本計画」を作成、07年から実行に移している。この事業にかかる予算は約400億~500億円が見込まれる。
同計画に基づき新たな施設が続々と登場する予定だ。例えば、インド北東部の水辺の景観を再現した「アジアの水辺」。その地方に住んでいるアジアゾウやインドサイを展示し、森の中から現れて水浴びをする姿などを見せる。
北極と南極に生息する鳥やほ乳類をガラス越しに見られるのが「北極から南極の海」。ペンギンプールの中には「ジャブジャブ池」があり、子供たちはペンギンと一緒に泳いでいる気分を味わえる。今までにない斬新なアイデアに期待を寄せる人も多い。

1)クマたちの生態を上手に再現した「クマたちの丘」(上野動物園)。2)透明パネル越しにライオンの姿がのぞける「ワ~オチューブ」(東山動植物園)。3)えさに向かって飛び上がるライオン(大森山動物園)。
行動展示の新施設で入園者を呼び込む
大森山動物園(秋田市)の名物が、ライオンの飼育員によるえさやり「まんまタイム」。ライオンが大きくジャンプをしてえさを取る姿には、みんな驚きの声を上げる。ふだんは見られないライオンのお腹がのぞけるチャンスもある。
いしかわ動物園(石川県能美市)では、地下トンネルの上の丸窓からスリカータ(地中に巣穴を掘るマングースの仲間)の姿をのぞけたり、旭山動物園と同様にオランウータンの空中散歩も見られる。天王寺動物園(大阪市天王寺区)では、肉食動物のライオンと草食動物のキリンやシマウマを、1つの風景の中で楽しめるサバンナ・ゾーンが人気だ。
また、東山動植物園と同様に多くの動物園で新しい行動展示の施設を計画している。多摩動物園(東京都日野市)では「アジアの沼地」が08年3月までに完成予定。
20年計画で再生事業を推進している福岡市動植物園(福岡市中央区)は「アジア熱帯の渓谷エリア」「アフリカの草原エリア」をオープンさせる。そのほかの動物園も行動展示を中心にした新規施設を計画している。衰退気味だった日本の動物園は、旭山動物園の大成功をテコに再生の道を突き進んでいるようだ。

4)樹上で生活をするカナダヤマアラシ(上野動物園)。5)カプセルからスリカータのかわいい姿がのぞける(いしかわ動物園)。6)客が自らがアシカにえさをあげられる(東山動植物園)。

7)「北極から南極の海」の想像図(東山動植物園)。8)「アジアの水辺」の想像図(東山動植物園)。
06年に新たに作られた「クマたちの丘」の中に設置された冬眠ブースで、入園者はのぞき窓(約3×10cm)から、クマが冬眠している様子をひとりずつ順番に観察できるようにした。
クマを冬眠させるには低温であることが不可欠。そのためブースの温度を零下5℃くらいまで冷やして冬眠させる。冬眠をするクマが見られる動物園は、世界的にもとても珍しい。
見せる工夫が全国の動物園に広がっている
バブル崩壊後、国内の動物園入園者数は減少の一途をたどっている。年平均3.1%の下降率で減り続け、91年には約6500万人だった年間入園者数は、03年には約3800万人にまで落ち込んだ。最近は、旭山動物園の人気に後押しされる形で全国の動物園入園者数はやや盛り返しているものの、旭山以外の動物園は依然として苦境に立たされているのが現状だ。
そこで、旭山動物園の大成功に刺激を受け、他の動物園でも行動展示が目立つようになってきた。上野動物園もそのひとつ。「クマたちの丘」もクマの生態がよく分かる行動展示として、人気を集めている。その中にあるクマ棚は、野生のクマがえさを食べたり、休憩したりする場所を再現したもので、クマたちのほのぼのとした様子を建物の2階からのぞくことができる。また、野生では半樹上生活をしているカナダヤマアラシのために、ケヤキの木を使って登り下りできる施設を05年に新築。木に登る姿が間近に見え、入園者からも好評だ。
開園70周年を迎え、展示動物の種類が日本一を誇る東山動植物園(名古屋市千種区)でも行動展示に乗り出した。07年の3月に改修したライオン舎の「ワ~オチューブ」は、えさ場に橋をかけ、透明パネル越しにライオンの姿がのぞける。また、毎日行なわれるえさやりのイベントを充実し、カバ、キリン、アシカなどの食事タイムが見られるようにした。なかでもアシカ舎は、観客が投げたえさの魚を取り合うアシカの姿がおもしろいと人気の的だ。
東山動植物園の入園者数は、91年の303万人をピークに昨年は約202万人まで減少し、苦戦を強いられている。開園以来、ずっと全国2位(1位は上野動物園)の入園者を誇っていたが、昨年には旭山動物園に抜かれ、初めて3位に転落。そのため、名古屋市では、10年計画で行なう「東山動植物園再生プラン基本計画」を作成、07年から実行に移している。この事業にかかる予算は約400億~500億円が見込まれる。
同計画に基づき新たな施設が続々と登場する予定だ。例えば、インド北東部の水辺の景観を再現した「アジアの水辺」。その地方に住んでいるアジアゾウやインドサイを展示し、森の中から現れて水浴びをする姿などを見せる。
北極と南極に生息する鳥やほ乳類をガラス越しに見られるのが「北極から南極の海」。ペンギンプールの中には「ジャブジャブ池」があり、子供たちはペンギンと一緒に泳いでいる気分を味わえる。今までにない斬新なアイデアに期待を寄せる人も多い。

1)クマたちの生態を上手に再現した「クマたちの丘」(上野動物園)。2)透明パネル越しにライオンの姿がのぞける「ワ~オチューブ」(東山動植物園)。3)えさに向かって飛び上がるライオン(大森山動物園)。
行動展示の新施設で入園者を呼び込む
大森山動物園(秋田市)の名物が、ライオンの飼育員によるえさやり「まんまタイム」。ライオンが大きくジャンプをしてえさを取る姿には、みんな驚きの声を上げる。ふだんは見られないライオンのお腹がのぞけるチャンスもある。
いしかわ動物園(石川県能美市)では、地下トンネルの上の丸窓からスリカータ(地中に巣穴を掘るマングースの仲間)の姿をのぞけたり、旭山動物園と同様にオランウータンの空中散歩も見られる。天王寺動物園(大阪市天王寺区)では、肉食動物のライオンと草食動物のキリンやシマウマを、1つの風景の中で楽しめるサバンナ・ゾーンが人気だ。
また、東山動植物園と同様に多くの動物園で新しい行動展示の施設を計画している。多摩動物園(東京都日野市)では「アジアの沼地」が08年3月までに完成予定。
20年計画で再生事業を推進している福岡市動植物園(福岡市中央区)は「アジア熱帯の渓谷エリア」「アフリカの草原エリア」をオープンさせる。そのほかの動物園も行動展示を中心にした新規施設を計画している。衰退気味だった日本の動物園は、旭山動物園の大成功をテコに再生の道を突き進んでいるようだ。

4)樹上で生活をするカナダヤマアラシ(上野動物園)。5)カプセルからスリカータのかわいい姿がのぞける(いしかわ動物園)。6)客が自らがアシカにえさをあげられる(東山動植物園)。

7)「北極から南極の海」の想像図(東山動植物園)。8)「アジアの水辺」の想像図(東山動植物園)。



