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2008年02月07日更新

<1月号特集>北海道ツアーに欠かせない観光スポット

1年を通じて全国から入園者が殺到する旭山動物園は、地域経済のみならず、北海道外の企業にもプラス効果をもたらした。その好例が、航空会社と旅行会社だ。旭山動物園の集客効果を見据えた各社の取り組みは白熱化している。
安定した集客につながるリピーターの多さが魅力

旭山動物園が地域に及ぼす経済効果は周知の通りだが、近年は、航空会社や旅行会社の業績にも「旭山効果」がはっきりと見て取れる。旭山動物園まで車で20分ほどの位置にある旭川空港(上川郡東神楽町)の利用状況(定期便のみ)を見ると、06年度の乗降客数は122万1576人で前年比9.2%増と大きく伸びている。

ターミナルと航空機を結ぶブリッジにも旭山動物園のモチーフが描かれている(旭川空港)。




際立つのは東京線の計97万8938人だが、伊丹/関西線と名古屋線も、それぞれ同8.9%増、同7.7%増と好調だ。06年6月に就航した旭川―韓国・ソウル線も初年度から3万3107人と幸先いいスタートを切った。これらの動きは、07年度(07年4月~08年3月)も引き続き堅調に推移するとの見方が強い。

国内旅行会社も、旭山動物園をキーワードにした商品企画に、熱がこもる。北海道関連のツアーでは、商品名に「旭山動物園」があるか否かが、売れ行きを大きく左右するというから、各社の力の入れようもうなずける。

ANAセールス(東京都港区)が06年4月から企画・実施している「ANAスカイホリデー」では、旭山動物園を北海道関連の“主力商品”と位置づける。

07年は、ファミリー客が集中する夏季(5月7日~9月26日)に向けて、園内でのイベント開催や全国への情報発信などを手がけるNPO法人「旭山動物園くらぶ」(旭川市)と連携し、園内を熟知したガイドがきめ細かく案内する旅行プランを販売した。同社広報は「期待通りに、大きな反響がありました」と確かな手ごたえを実感している。

「北海道から沖縄県までを網羅した合計112プランのうち、早くもベスト3に入る人気ツアーになりました。特に7~8月にかけてはファミリーのお客様からご好評をいただいています」(同社広報)

従来の東京発のツアーを見ると夏季は沖縄関連ツアーの人気が高く、北海道関連は伸び悩む傾向が否めなかったという。しかし、旭山ブームを境に大きな変化が生じた。「旭山動物園は夏、冬と各シーズンを通じて、お客様に楽しんでいただきたいというサービス精神がとても強いのです。動物園でありながらも、他園とは違うワンランク上のテーマパークですね」(同社広報)

最近の北海道関連の商品企画では、世界遺産に指定された知床のツアーが人気を集めたが、当初の盛り上がりに比べると一段落している。一方で旭山動物園は、継続的な収益向上のために欠かせないリピーター(2回以上の利用客)が確保できる重要な観光スポットであり、国内ツアーの大きな柱として定着しつつある。同社では08年度に前年同期比30%増を見込み、さらなる集客向上に期待を高めている。



冬のスキー客も動物園に国内旅行の底上げに寄与

日本航空の国内ホールセラー(卸売)であるJALツアーズ(東京都品川区)も、旭山動物園関連ツアーで大きな実績を上げている。同社マーケティング部の渡部照子氏は、「旭山動物園の入園者数が初めて300万人を突破した06年度は、旭山動物園関連ツアー客が下期に前年同期比35%増を記録しました。

続く07年上期は、同70%増を達成しています。北海道全体の旅行需要が伸び悩むなか、旭山動物園関連ツアーは依然として盛況です」と語る。同社の北海道関連の様々な旅行プランには「旭山動物園」の文字が躍る。オリジナルのバスツアーやタクシーツアーへの組み込み、またフリープランやレンタカープランで、同動物園に旅行客を送り込む。

さらに日本航空は、「JAL北海道ウィンターキャンペーン2008」の一環として、旭山動物園の元飼育係で絵本作家のあべ弘士氏が描いた、ペンギンや北極グマのイラストが車体に描かれた無料送迎バスを現地で運行する。札幌市内のホテルと旭山動物園間の交通利便性を高めて、冬季も北海道ツアーの集客を安定化させるのが狙いだ。



日本航空は07年冬から札幌市内のホテルと旭山動物園を無料(要予約)でつなぐ送迎バスを運行、北海道への集客を強化する(画像はイメージ)。

近年、各旅行会社では冬のスキー客が減少傾向にある。各社が強化する旭山動物園関連ツアーは、冬の主力商品であるスキープランの活性化にも役立ち、年間を通じての集客の安定化に寄与している。

03年と、早い時期から個人向けのプランで旭山動物園関連ツアーを販売してきた近畿日本ツーリスト(東京都千代田区)の遠西一義氏もこう語る。「東京発の北海道ツアーでは、約40コースのうち、30コース以上で旭山動物園の見物を取り入れています。

05年から集客数の増加が顕著になり、2年連続で前年同期比20%以上増と伸びてきました。北海道旅行では旭山動物園を見たいというお客様の需要が高まっている証しです」



今や、ほとんどの北海道ツアー関連商品に「旭山動物園」の文字が躍る。そのブランド力は絶大だ。

国土交通省によると、07年8月の国内旅行取扱額(主要旅行業者63社の取扱額の合計)は前年同月比6.6%増。夏場の需要を取り込み、特に北海道、沖縄、九州、四国方面が好調だったという。

日本旅行業協会の市場調査では、北海道方面は7~9月期のDI(景気動向指数)で3カ月前(4~6月)に比べて30ポイント近くも上昇。一番人気の奄美・沖縄方面と、ほぼ肩を並べている。斬新なアイデアで最上級の顧客サービスを提供する旭山動物園は、地域経済だけではなく、国内旅行業界の振興に欠かせないコンテンツとしても大きな役割を果たしているようだ。

文・橋口義彦(ハリーフッド)


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