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2008年01月31日更新

<上場ベンチャー 成長の秘密>エムビーエス

外壁が新築時と同じ色と輝きを取り戻す
リフォーム工法でニュービジネスを確立


社長 山本貴士氏社長 山本貴士(やまもとたかし)
1972年山口県生まれ。高校を中退後、輸入車ディーラーを経て、住宅建築現場の足場業を始める。97年有限会社エムビーエスを設立、4年後に株式会社に転換。02年には、中国地区ニュービジネス協議会会長賞、ビジネスジャパンオープン審査特別賞などを受賞。



エムビーエスの社名は、「M=メイク、B=ビジネス、S=スタイル」が由来だ。ビジネスを独自に創り出していくとの思いを込めて名づけられた。その名の通り、住宅の外壁塗装を塗り替えずに新築時の輝きを取り戻す工法を開発し、新たな需要を掘り起こした。戸建て住宅から始め、ビルやマンション、道路、鉄道へと活躍の場を広げている。

微細研磨技術で塗装表面の汚れを落としてコーティング

2001年夏、エムビーエスの山本貴士社長(35)は、地元・山口県宇部市の宇部全日空ホテルのパーティー会場を予約した。「5年後に上場記念パーティーを行ないたい」。この大胆な申し込みにホテルの担当者はのけぞった。

ホームメイキャップ工法ホームメイキャップ工法は、ビルやマンションなどの外壁補修へも需要を広げている。



当時のエムビーエスは、1500万円の出資を得て有限会社から株式会社に改組したばかりで、周囲から見ればまだ海のものとも山のものとも分からない無名の存在だ。住宅リフォームの工法で特許を取得し、著名な経営コンサルタント・大前研一氏が主催する起業家コンテストに入賞したとはいえ、将来が約束されたわけではない。山本社長が述懐する。

「何の確証もありませんでしたが、やれるという自信、そして何が何でもやらなければという意気込みだけはありました」

まさに死に物狂いで技術開発に取り組み営業に奔走した。そして05年4月。山口県の企業としては初めて福岡証券取引所Qボードに上場を果たす。山本社長は見事に有言実行を成し遂げ、記念パーティーには大前氏も参加し、大いに盛り上がった。

エムビーエスの主要事業は、住宅の外壁のリフォームである。特許を取得した「ホームメイキャップ工法」が躍進の原動力だ。従来の水や洗剤で壁を洗って汚れを落とし、上から塗料を塗る方法では、「新築時と微妙に色が違う」という苦情が出やすい。新築時にどんな塗料を使ったのかが分からず、同じような色を選ぶしかないためだ。山本社長は建築現場の足場を組む仕事をするなかで、そうした不満の多いことを実感し、新しい工法の開発に取り組み、リフォーム業に乗り出した。

新築時と同様に、外壁を美しくかつ強固に甦らせられた一戸建て住宅新築時と同様に、外壁を美しくかつ強固に甦らせられた一戸建て住宅。




ホームメイキャップ工法は、ミクロン(1000分の1ミリ)単位で汚れともども塗膜の表面を研磨し、外壁を傷めず新築時の色を甦よみがえらせ、透明のコーティング剤を塗って仕上げる。塗膜は通常の塗装の約5倍の厚みがある。ヒントとなったのは、「高級外車のボディー塗装を手直しする場合は汚れを削り取って修復する」ということ。かつて勤めていた輸入車ディーラーでこの方法を経験済みの山本社長は、住宅にも生かしたいと考えた。

汚れを削り取る工具は、回転運動をするドリルのようなもので、先端にバフという研磨剤が付いている。当初、市販品のバフを使ったが、思うような仕上がりにならない。そこで山本社長は、木材の表面研磨をする家具店や車の塗装会社など異業種の専門家を訪ねて教わり、およそ1年をかけて独自のバフを開発した。

現在では、外壁の汚れ具合や形状により4種類のバフを使い分け、作業手順や工具の回転数などはマニュアル化している。無色透明のコーティング剤は、酸性雨や紫外線による劣化の少ない、耐久性に優れた英国製品を採用している。

研磨とコーティングの一連の工法で、01年に特許を取得。新築時のたたずまいを再現できるとあって、注文が殺到した。03年5月期の売り上げは約1億3500万円で前年度に比べて倍増した。04年以降も前年度比50%増のペースで業績拡大を続けている。

鉄道の高架や高速道路のトンネルの補修工事にも採用される

「新築の家の壁が、なぜ3~4年でこんなにも変色するのか」エムビーエスのリフォーム事業は素朴な疑問が出発点となっている。「100年住宅」という言葉に象徴されるように、20~30年で建て替えたりせず、手入れをしながら長く住みたいという住宅ニーズが高まってきたことも追い風となった。「これからは間違いなく、既存の建造物を修繕・修復しながら大事に使う時代になっていきます」(山本社長)



ホームメイキャップ工法でイギリス製のコーティング剤を選んだのも、耐浸食性が高かったためだ。その特性を生かし、耐久性をより高めるため、塗装の上からグラスファイバー(ガラス繊維)のシートを張りつけ、さらに上から塗装するという工法も考案し、特許を申請した。張力の強いグラスファイバーを使うことで、コンクリートなどに生じる亀裂の進行を食い止める効果があるという。

実際に、徳山工業高等専門学校で強度テストを行なった結果、グラスファイバーを入れない場合に比べ、強度は約3割増しになることが実証された。

高い耐久性を示すホームメイキャップ工法の評判はクチコミで広まり、戸建て住宅のリフォームにとどまらず、ビルやマンションの外壁リフォームでも実績を上げている。さらに、強度の維持が求められる鉄道の高架や高速道路のトンネルなどの補修工事などにも事業領域を広げた。

安く泊まれて災害避難施設にもなる
「道の屋泊」で社会に貢献


エムビーエスは06年4月、不動産の分譲事業にも進出した。「マンションでも戸建てでもない“現代の長屋”とも呼べる新しい集合住宅」として、「セキュメゾン」を提案。この住宅は、ホームメイキャップ工法の耐久性、さらに防犯体制の高さを特徴としている。

山本社長が現在、力を入れているのが、人々に災害時に役立つ施設を提供したいとの思いから出発した「道の屋泊(やど)」プロジェクト。全国に点在する「道の駅」に、宿泊施設兼災害時避難施設として「道の屋泊」を隣接させる構想だ。平時は旅行者が安く泊まれる施設とし、緊急時は地域住民の避難場所とする。この壮大な計画の実現に向け、国土交通省などとの交渉も始めた。

「どんな事業も、国のため、地域の人のためにならなければ持続的な成長はない。道の屋泊プロジェクトは、まさに国と地域のためになる事業だと自負しています」。こう説明したうえで、山本社長は続ける。「道の屋泊といえばエムビーエス、と思ってもらえる会社にしたい」

会社データ
社 名 エムビーエス

所在地 山口県宇部市小串74‐3
電 話 0836-37-6585
設 立 1997年6月20日
資本金 1億1066万円
事業内容
住宅および諸建造物の外装リフォーム全般、リフォームに関するコンサルティング、機能性塗料の開発および販売など
社員数 33人
支 店 福岡、東京、HM研究所(宇部市)
売上高 8億3900万円(07年5月期)
URL http://www.homemakeup.co.jp/


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