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2008年01月17日更新

<12月号特集>タイプ・新技術・新工法の開発・普及

観光や交通安全に寄与する
「音楽を奏でる道路」の普及へ


篠田興業(北海道標津町)

北海道標津町に音楽の「ト音記号」が記された珍しい標識の立つ道路がある。自動車で走ると、タイヤと路面の摩擦音が『知床旅情』のメロディとなって聞こえてくる。この「メロディロード」を開発したのは、地元建設会社の篠田興業だ。

和歌山県紀美野町のメロディロード和歌山県紀美野町のメロディロード。自動車で走ると『見上げてごらん夜の星を』の曲が聞こえてくる。ちなみに、時速50kmで最も快適な速さのメロディーとなる。



メロディロードには本来、タイヤのスリップ防止の技術であるグルービング技法を用いる。路面に深さ3.6mm、幅6.12mmの溝を掘り、溝と溝との間隔によって音域を、溝の幅によって音量を調整してメロディを奏でる仕組みを作り上げた。

篠田静男社長は「構想は30年前から持っていました。しかし、実際にそんなことができるとは思えず、口外することもありませんでした」と明かす。

だが、建設不況が篠田社長の気持ちを変えた。新事業の立ち上げに待ったなしがかかった99年、メロディロードの構想を北海道立工業試験場に持ち込むと、意外なことに担当者から前向きな言葉が返ってきたのだ。

開発は同試験場と共同で進め、コンピューターによるシミュレーションを繰り返した。03年に標津町から300mの農道を借りて実地試験を行なったところ、見事に成功。世界初の音楽を奏でる道路としてマスコミに取り上げられ、多くの観光客を集めるようになった。

新規事業を進めるにあたり、総括・検証責任者は篠田社長が務めた。開発と市場調査、施工技術にそれぞれ担当者を配置。各担当者は今のところ本業との兼任だ。実用新案や意 匠登録などはすでに取得済みで、現在、外部の特許流通アドバイザーと相談して特許を申請している。

路面に溝を掘り、溝と溝との間隔で音階や音域を調整し、溝の幅で音量の強弱をコントロールする。





メロディロードは標津町のほかに、和歌山県紀美野町と群馬県沼田市、愛知県豊田市でも採用された。篠田社長はこの技術を観光分野だけでなく、交通安全のためにも導入するよう関係機関に働きかけている。「高速道路の料金所にあるETC専用口付近など、交通事故の多い場所に施工すれば、運転者に安全運転を喚起できます。居眠り運転の防止にも使えるでしょう」(篠田社長)

事実、愛知県豊田市では地元警察や市などからの要請で交通安全目的、トンネル内での施工としては全国初となる「安全走行メロディートンネル」が完成。ドライバーに『どんぐりころころ』の音色を聞かせている。

開発費がかさんだこともあり、この事業はまだ利益を生み出してはいない。だが、金額には表れない効果がある。「ユニークな事業に取り組み、知的所有権を持つ会社として社会的な信用が増し、他社との差別化につながりました」(篠田社長)

篠田興業は今、メロディロードの音の発生状況や騒音調査、耐用年数など細かなデータの収集・解析を行なっている。「経営革新計画」の承認などで得られた助成金を活用して道路関係者や観光協会へのアンケート調査も進めている。メロディロードを普及させるためのパンフレットやDVDも用意した。交通事故抑止や新たな観光資源として地域に寄与することを、国や自治体、民間の道路関係者、観光事業者に向けて積極的にアピールしていく方針だ。


会社概要Company Data
篠田興業

【所在地】〒086-1652 北海道標津郡標津町南2条東1丁目
【創業】1972年2月26日
【TEL】0153-82-2179
【資本金】2670万円
【売上高】1億1000万円(うち新事業1000万円)(07年2月期)
【従業員】11人
【事業内容】土木建設業、砂利販売、公的スポーツ施設管理委託業などが主体
【URL】http://www1.ocn.ne.jp/.otomiti/index2.html

<12月号特集>タイプ・環境、リサイクル分野


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