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2008年01月10日更新

<ヒットのツボ>「TRUE」/ミックマック

毎分4000回の振動と磁力で
髪をサラサラにする電動ヘアブラシ


代表取締役 稲葉恵三氏代表取締役 稲葉恵三(いなば・けいぞう)
1956年福島県生まれ。神奈川大学卒業後、外資系商社などに勤務。液状の薬品を包むカプセルのメーカーに勤めている時、入浴剤を包んだカプセルを企画・販売し、ヒットを飛ばす。86年に脱サラしてミックマックを設立。




とかすだけなのに、ブローしたように髪がサラサラになる」。こんな評判で、今、若い性の間で人気なのが電動ヘアブラシ「TRUE(トゥルー)」だ。小刻みな振動で髪を整えるという斬新なアイデアと1本2940円の手頃な価格で大ヒット。今年末には累計販売200万本の突破が確実視されている。
発売2年半で200万本顧客層の裾野も広がる

見た目は普通のヘアブラシだが、電源を入れると小刻みに振動する。それが、ミックマック(埼玉県川越市)が販売する電動ヘアブラシ「TRUE(トゥルー)」だ。
既存のヘアブラシの概念を超えた振動機能が、従業員20人の中小企業に全国的な大ヒットをもたらした。普通のヘアブラシなら1万本も売れればヒットと言われるなか、2005年7月の発売からわずか1年間で100万本を販売。06年7月には折りたたみ式の携帯用も市場に投入し、「07年中には累計販売が200万本を超えそうです」とミックマックの稲葉恵三社長(51)はにっこり笑う。



わずか1年で100万本を売り上げた「TRUE」。内蔵モーターは、マブチモーター(千葉県松戸市)のものを採用。
スチールのピンは、職人が1本1本手作業でしっかりと取りつけている。生産は、台湾の協力工場で行なっている。


おもな購買層は、20~40代の女性。10代女性に人気のキャラクター付きの商品も売り出し、オシャレに関心を持ち始める若年にも着実に客層を広げている。業績も急拡大。07年8月期は10億円を売り上げた。

購入者の評判もいい。硬い髪に悩んでいる22歳女性は、「とかしただけで、弱りかけのパーマの髪がまとまった」と語る。26歳の女性は、「面倒なことがいやでブローは苦手。でもTRUEはとかすだけで髪がストレートになるので助かります」と言う。育児に追われてオシャレになかなか時間をとれない若い母親たちにも、便利さが支持されている。

昨年は、流行情報誌『日経トレンディ』(日経ホーム出版)12月号の「ヒット商品ベスト30」で14位に入った。三井住友銀行系の調査機関であるSMBCコンサルティングの06年ヒット商品番付でも上位に名を連ねている。

頭皮マッサージ器の試作品がTRUEの開発のきっかけに

TRUEの本体内には、小型モーターが内蔵され、マナーモード時の携帯電話機のように、ブルブルと小刻みに振動する。1分間に4000回もの振動が頭皮や髪に振動がしっかり伝わるようにと、ブラシのピンの部分は、柔らかい樹脂ではなく、先を丸めたスチール(鉄)を採用。1本1本のピンにクロムメッキを施し、表面を滑らかにして、くし通りをよくしている。

約70ミリステラの磁石を内蔵本体の中には、約70ミリステラの磁石を内蔵し、強力な磁力をもっている。







また、本体内部には磁石を埋め込み、ピンに磁力を持たせているのも大きな特徴である。ミックマックは、そもそも健康器具や美容器具のメーカーで、これまで100種類以上の商品を開発してきた。稲葉社長は、頭皮をマッサージする小型振動器具を開発する過程で、TRUEが偶然のように誕生したことを明かす。

「頭皮マッサージ器の試作品を、多くの人に試してもらったところ、『髪の毛をすくとサラサラになる』という声が寄せられました。これはいけると、すぐに頭皮マッサージ器から電動ヘアブラシへと切り替えました」決断するや否や商品化に乗り出した。
ピンの土台となるラバー(ゴム)部の硬さを調節したり、ブラシが水に濡れてもモーターがさびないように構造を工夫したりと、完成までに100個以上の試作品を作った。第3者機関によるモニターテストで、じつに94%の人が使用直後の髪に変化を感じ満足したという結果も得た。

パッケージに売れる仕掛け、ネットのクチコミ情報も活用

顧客の気をひくため、キャッチコピー(宣伝文句)にも工夫を凝らした。通常のヘアブラシと外観が似ているだけに、売り場に並んだ際に他社製品と混同されないようにと、縦26cm、横9cm、厚さ5.5cmの大きめの商品パッケージには「えーっ、ウソ、本当」と大きな文字が躍る。「商品には自信がありますから、とにかく消費者に、『何だろう』と興味をもってもらうことが大事だと考えたのです。価格は、衝動買いできる範囲内として2940円に設定しました」(稲葉社長)

絶対の自信を持つ稲葉社長が、話題性を広げるため主戦場に選んだのが、商品の売り上げ順位が表示される「ネットプライス」というインターネットの通信販売サイトだ。いざ販売を始めたところ、1週間で4000本が売れ、週間売り上げ点数で1位に輝いた。
狙い通り、話題が話題を呼び、ネット上のクチコミサイトなどでまたたく間に評判が広まっていった。



右/折りたたみタイプは、いまや女子高生の必需品。ブラシ部分は取り外して水洗い可能。柄の部分の内側は、鏡を取りつけている。左/7色そろえた「レインボーTRUE」。中央下/サンリオと提携した「天使・小悪魔」。

ネットと並行して、美容院での販売も展開。やはり、髪の毛がサラサラになると実感した客が、クチコミで評判を広げてくれた。現在は東急ハンズ、イトーヨーカードー、イオンなどの量販店にも販路が広がっている。ネットに書き込まれた使用者の生の評判を見て、大手企業の量販店の購買責任者も意思決定しやすかったというわけだ。

利用者の要請を受けて開発した携帯用は、7色を用意した。売り場の棚を7商品分確保し、売り場占有率を高めるためである。その後、黒と白を発売するに当たっては、販売戦略にあわせたタレントを稲葉社長自ら選び、交渉してイメージキャラクターに起用した。
また、サンリオ(東京都品川区)から望まれてライセンス契約を交わし、人気のキャラクター『ハローキティ』のイラストが付いたTRUEも07年6月に発売し、若年層から支持を得ている。

まさに破竹の勢いだが、稲葉社長の関心は、今秋に発売した健康維持を目的とした美容器具「スカイプロ」へと向いている。これまでに数多くのヒット商品を世に送り出してきたアイデアマンの稲葉社長は、次なるヒットを狙って気をゆるめない。

会社概要
ミックマック

【本社】〒350-0856 埼玉県川越市問屋町8-4
【設立】1986年12月
【資本金】4000万円
【売上高】10億円(07年8月期)
【従業員】20人
【事業内容】美容用品の企画・製造・販売、インターネット情報配信サービスの企画・販売・配信
【URL】http://www.micmac.co.jp/

文・中村好伯


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