2007年12月27日更新
<法務>ネット通販とPL法の適用
自社ブランド商品のネット通販とPL法の適用
●速水法律事務所主宰・弁護士・M.B.A. 速水幹由
関心分野:ビジネス事件 (知的財産権、インターネット、製造物責任、損害賠償等)
E-mail:hayami@m.email.ne.jp
URL:http://www.asahi-net.or.jp/~nf5m-hym/
(「私のビジネス法務戦略論」「インターネット法学案内」共著、「裁判実務体系30製造物責任関係訴訟法」ほか著作多数)
関心分野:ビジネス事件 (知的財産権、インターネット、製造物責任、損害賠償等)
E-mail:hayami@m.email.ne.jp
URL:http://www.asahi-net.or.jp/~nf5m-hym/
(「私のビジネス法務戦略論」「インターネット法学案内」共著、「裁判実務体系30製造物責任関係訴訟法」ほか著作多数)
外部に委託して製造させ自社ブランドを付けた商品(自社ブランド商品)をインターネット上で通信販売をすることを考えていますが、自社ブランド商品を販売する場合にも、PL法(製造物責任法)が適用されることがありますか?
自ら製造、加工または輸入を行なっていなくても、自社ブランド商品の販売によって、いわゆる表示製造業者や誤認表示製造業者あるいは実質的表示製造業者に該当する場合は、PL法が適用されます。1.PL法が適用される「製造業者等」の意味
PL法は、同法上の責任を負う者を「製造業者等」と規定しており(3条)、製造物を業として製造、加工または輸入した者(以下、単に「製造業者」という)だけでなく、自らその製造物の製造業者として製造物にその氏名、商号、商標その他の表示をした者(2条3項2号前段。いわゆる表示製造業者)、または製造物にその製造業者と誤認させるような氏名等の表示をした者(2条3項2号後段。いわゆる誤認表示製造業者)、あるいは、製造物の製造、加工、輸入または販売の形態その他の事情からみて、その製造物にその実質的な製造業者と認めることができる氏名等の表示をした者(2条3項3号。いわゆる実質的表示製造業者)についても、同法の適用対象に含めている。
要するに、製造物にその製造業者として表示をした者、またはその製造業者と誤認させるような表示をした者の場合、あるいは、その実質的な製造業者と認めることができる表示をした者の場合は、自ら製造、加工もしくは輸入を行っていなくても、そのような表示を通じてユーザーに製造業者としての信頼を抱かせており、ユーザーに与えた製造業者としての信頼を保護するため、PL法上の責任を負わせるべきだとしたわけだ。
その結果、販売業者であっても、「製造元○○」「輸入元○○」等の肩書で自己の氏名・ブランド等を表示した場合は、いわゆる表示製造業者に当たる。また、特に肩書を付けないで自己の氏名・ブランド等を表示した場合でも、社会通念に照らし客観的に判断して製造業者と誤認させるような表示と認められれば、同様にPL法の適用対象になる。
さらに、販売業者が「発売元○○」「販売元○○」「販売者○○」等の肩書で自己の氏名等を表示した場合でも、その表示者がその製造物の製造業者として社会的に認知されていたり、その製造物を一手販売している等、ユーザーがその販売業者を実質的な製造業者と信じてしまうようなときは、いわゆる実質的表示製造業者としてPL法が適用される。
もっとも、市場への供給に関与していることを示すような表示を製造物に付けていても、その製造物の製造業者または輸入業者が別に存在し、その表示者が製造または輸入にまったく関与していないことが、社会通念上、明らかに認められるときは、実質的表示製造業者に該当しないと解されている。
2.自社ブランド商品販売のリスク
自社ブランド商品の販売業者が製造物に製造業者として、その氏名、商号、商標その他の表示をした場合(2条3項2号前段)だけでなく、製造業者を明示せず全体的にみて販売業者が製造業者であるかのような表示(誤認表示)を製品に付けた場合(2条3項2号後段)もPL法の適用対象になるし、また、製造業者を明示せず自己を販売元とだけ表示した場合や、さらに製造業者をも明示した場合に、販売業者が設計や製造に関与し大きな影響力を及ぼしているような印象を与え、その販売業者を実質的な製造業者と消費者が信じてしまうような表示(実質表示)をしたときは、実質的表示製造業者(2条3項3号)としてPL法が適用されると解されている。
このように、自社ブランド商品の販売業者は、表示製造業者・誤認表示製造業者(2号)ないしは実質的表示製造業者(3号)に該当して製造物責任の責任主体となる可能性がある。
とりわけ販売業者が自ら企画した商品を製造業者に委託して製造させ、製造業者を明示しないで自社ブランドを付けて一手販売する形態(プライベート・ブランド)を採用する場合には、少なくとも実質的表示製造業者にあたる可能性が高いといえそうだ。
ちなみに、「実質的な製造業者と認めることができる」表示であるか否かは、個別事案における被害者等の主観ではなく、その製造物の製造、加工、輸入または販売の形態、その他の諸般の事情を総合的に考慮し、社会通念に照らして客観的に判断される。
3.真の製造業者との関係
上述した観点に基づき、自社ブランド商品の販売という形態をとる場合には、製造物責任を負担するリスクの高いビジネスモデルを選択していることを認識しておくべきだろう(ただし、それによって他社との差別化を図っているわけだから、その選択自体が不合理だというわけではない)。
ちなみに、販売業者が表示製造業者や誤認表示製造業者あるいは実質的表示製造業者として製造物責任を負担する場合には、真の製造業者も製造物責任を負担し(2条3項1号)、両者はユーザーに対し連帯して責任(不真正連帯債務)を負うことになる。
そこで、製品の安全性、さらには真の製造業者も連帯してユーザーに対する製造物責任を負担するという面からして、技術的・経済的に信頼性の高いメーカーに製造を委託することがリスクヘッジになるが、半面、有力メーカーへ発注すると、コスト的に高くなりがちだし、両者間の力関係によって内部求償関係(責任負担割合等)につき予め制限を設ける等、厳しい内容の契約を結ばされることもある。
これらの制約の下、どのへんで折り合いを付けるかが、経営判断として問われることになるだろう。
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