2007年12月20日更新
<小さな巨人>福岡県うきは市発 筑水キャニコム
ビデオカメラで作業現場を撮影し独自製品を開発
農林土木用小型車両のトップメーカー
【プロフィール】
代表取締役社長
包行均(かねゆき・ひとし)氏
1949年福岡県生まれ。第一経済大学卒。73年筑水キャニコム入社。75年取締役就任。常務、専務を経て05年より現職。趣味はゴルフ、ボウリング
農林土木用小型車両のトップメーカー
【プロフィール】代表取締役社長
包行均(かねゆき・ひとし)氏
1949年福岡県生まれ。第一経済大学卒。73年筑水キャニコム入社。75年取締役就任。常務、専務を経て05年より現職。趣味はゴルフ、ボウリング
ありそうでなかった発電機搭載の運搬車
農業をはじめ林業や土木工事の現場で使われる小型運搬車の製造を手がける筑水キャニコムは、独自の戦略で業界シェア約5割と、トップを維持している。
「当社は売り上げ至上主義ではありません。使用する方にとってかゆい所に手が届く製品、びっくりするような製品の開発を第一に考えています」と包行(かねゆき)均社長が語る。
同社の営業スタッフはビデオカメラを片手に製品購入者のもとを回り、農業など現場の様子をつぶさに録画する。その映像を貴重な資料として、ユーザーが何を求めているかを検討し、新製品のヒントを開発スタッフに伝えて形にしていく。包行社長自身も、時間を見つけては現場を見て歩く。製品の使用者と話し、自社製品がどう使われているかを実際に見ることで、製品戦略の参考とするのだ。
そんな独自の取り組みから生まれた新製品の1つが、2006年7月発売の発電機を搭載した運搬車「伝導よしみ」だ。駆動用のエンジンで発電もできるという、これまでありそうでなかった製品である。収穫した農作物を段ボール詰めするカートンシーラーをはじめ、コンプレッサーや各種電動工具など、屋外作業現場では移動型電源を必要とすることが多い。
通常は発電機を作業現場に持ち込んで電源を確保する。その光景を見た包行社長は、運搬機能と発電機能を一体化した製品の開発を思いついた。駆動と発電の2役をこなす新型エンジンの開発をエンジンメーカーに持ちかけ、10年以上の歳月をかけて製品化にこぎつけた。
購入した農家からは、「発電機を別に持ち込む必要がなくなり作業が楽になった」と高い評価を得ている。しかも、この製品は地震や台風などの災害時には物資の運搬とライフラインの1つである電気を供給できるとあって、自治体からも注目されるなど、これまでとは異なる分野の市場開拓にもつながった。
包行社長は、製品開発の際には性能はもちろん、デザインと製品名も販売の重要ポイントになると考えている。
「我々の製品を買ってくださるのは、農業や林業のプロの方々。プロは使う道具にこだわり、愛着をもって使うものです。だからこそ、デザインもおろそかにはできません」(包行社長)。
実際に同社のデザインに対する評価は高い。01年に開発した乗用型草刈機がグッドデザイン賞、他の製品でも福岡県の産業デザイン賞などを受賞した。製品名も業界内外から注目を集めており、前出の「伝導よしみ」や「草刈機MASAO」、「ブッシュ・カッター・ジョージ(雑草刈車)」などユニークなものばかりだ。
07年には「伝導よしみ」が新聞のネーミング大賞を受賞した。この製品名は、「モノ作りには遊び心も大切」という包行社長が自ら考案した。「我々は社名よりも製品名を売ることが売り上げにつながるのです」(包行社長)

左/「ゴーカートのような草刈機だったら草刈も楽しい」という包行社長の発想から生まれた乗用型草刈機「草刈機MASAO」。右/業界初の発電機搭載運搬車「伝導よしみ」。電動工具や投光機なども使えるので、農業だけでなく災害時にも役立つ。
アフターサービスを徹底、海外進出も今後の柱に
筑水キャニコムが業界トップシェアを維持しているもう1つの要因は、アフターサービスにある。とりわけ、交換部品の迅速な供給に自信をもつ。「以前は、予定通りに部品が届かない、違う部品が届いたといったクレームも多く、何度も悔しい思いをしました。そこで必要な部品
を確実にお客さまに届けるというアフターサービスの基本を徹底したのです」(包行社長)
背景にあるのは、70年代後半に包行社長が販売拠点の設置を進めていた頃の経験だ。行く先々でアフターサービスの重要性を身をもって痛感し、体制作りを進めてきた。今では全国7拠点のほか、東日本と西日本に1つずつ部品センターを設け、部品供給についてはほぼ100%が翌日に届く体制を築いている。
本社工場では大手メーカーのOEM(相手先ブランド)生産も行なう。00年には品質管理の国際規格ISO9001の認証を取得。
07年3月期の売上高は42億円。月に約1000台の車両を製造販売する。その25%を占めるのが海外販売だ。海外進出を果たしたのは20年前。欧米をはじめとする海外市場では古くから車輪式の運搬車が一般的で、筑水キャニコムが得意とするクローラ(キャタピラー)式の運搬車は普及率が低かった。需要は高いとの予想が的中し、近年は悪路走破性や小回りに優れたクローラ式の運搬車が販売台数を伸ばし始めている。
ヨーロッパにおいては、すでに20年以上前から各国の有力な代理店と契約、シェア拡大の途上にある。北米市場でも独自拠点を設け、市場を開拓中だ。「世界の各地域、各国のニュースには、常に注意を払っています。世界の情勢や産業の動向に注目し、ここと思った国にはすぐに飛んで行って市場調査を行ないます。調査結果がよければ、すぐに販売網の構築に取りかかります」(包行社長)。今後は、売り上げの海外比率を全体の5割にまで引き上げるつもりだ。
「我々は多くのお客さまに支えられて成長してきました。使用する方々にとって使いやすい便利な製品を開発し、行き届いたアフターサービスを提供することが、育てていただいたことへの恩返しだと考えています」と包行社長は信念を語り、今後も使用者のかゆい所に手が届く製品を作り続けていきたいと意欲を燃やしている。
本社に掲げられた企業理念。モノ作りを演歌になぞらえたユニークなキャッチフレーズは、遊び心を大切にする包行社長が考案した。
【会社クレジット】
筑水キャニコム
【所在地】〒839-1396 福岡県うきは市吉井町福益90-1
【TEL】0943-75-2195
【設立】1948年1月
【資本金】3億4740万円
【売上高】42億円(07年3月期)
【従業員数】191人
【事業内容】農業用・土木建設用・林業用運搬車、
草地及び産業用機械の製造・販売
【URL】http://www.canycom.co.jp
文・山川泰仁
農業をはじめ林業や土木工事の現場で使われる小型運搬車の製造を手がける筑水キャニコムは、独自の戦略で業界シェア約5割と、トップを維持している。
「当社は売り上げ至上主義ではありません。使用する方にとってかゆい所に手が届く製品、びっくりするような製品の開発を第一に考えています」と包行(かねゆき)均社長が語る。
同社の営業スタッフはビデオカメラを片手に製品購入者のもとを回り、農業など現場の様子をつぶさに録画する。その映像を貴重な資料として、ユーザーが何を求めているかを検討し、新製品のヒントを開発スタッフに伝えて形にしていく。包行社長自身も、時間を見つけては現場を見て歩く。製品の使用者と話し、自社製品がどう使われているかを実際に見ることで、製品戦略の参考とするのだ。
そんな独自の取り組みから生まれた新製品の1つが、2006年7月発売の発電機を搭載した運搬車「伝導よしみ」だ。駆動用のエンジンで発電もできるという、これまでありそうでなかった製品である。収穫した農作物を段ボール詰めするカートンシーラーをはじめ、コンプレッサーや各種電動工具など、屋外作業現場では移動型電源を必要とすることが多い。
通常は発電機を作業現場に持ち込んで電源を確保する。その光景を見た包行社長は、運搬機能と発電機能を一体化した製品の開発を思いついた。駆動と発電の2役をこなす新型エンジンの開発をエンジンメーカーに持ちかけ、10年以上の歳月をかけて製品化にこぎつけた。
購入した農家からは、「発電機を別に持ち込む必要がなくなり作業が楽になった」と高い評価を得ている。しかも、この製品は地震や台風などの災害時には物資の運搬とライフラインの1つである電気を供給できるとあって、自治体からも注目されるなど、これまでとは異なる分野の市場開拓にもつながった。
包行社長は、製品開発の際には性能はもちろん、デザインと製品名も販売の重要ポイントになると考えている。
「我々の製品を買ってくださるのは、農業や林業のプロの方々。プロは使う道具にこだわり、愛着をもって使うものです。だからこそ、デザインもおろそかにはできません」(包行社長)。
実際に同社のデザインに対する評価は高い。01年に開発した乗用型草刈機がグッドデザイン賞、他の製品でも福岡県の産業デザイン賞などを受賞した。製品名も業界内外から注目を集めており、前出の「伝導よしみ」や「草刈機MASAO」、「ブッシュ・カッター・ジョージ(雑草刈車)」などユニークなものばかりだ。
07年には「伝導よしみ」が新聞のネーミング大賞を受賞した。この製品名は、「モノ作りには遊び心も大切」という包行社長が自ら考案した。「我々は社名よりも製品名を売ることが売り上げにつながるのです」(包行社長)

左/「ゴーカートのような草刈機だったら草刈も楽しい」という包行社長の発想から生まれた乗用型草刈機「草刈機MASAO」。右/業界初の発電機搭載運搬車「伝導よしみ」。電動工具や投光機なども使えるので、農業だけでなく災害時にも役立つ。
アフターサービスを徹底、海外進出も今後の柱に
筑水キャニコムが業界トップシェアを維持しているもう1つの要因は、アフターサービスにある。とりわけ、交換部品の迅速な供給に自信をもつ。「以前は、予定通りに部品が届かない、違う部品が届いたといったクレームも多く、何度も悔しい思いをしました。そこで必要な部品
を確実にお客さまに届けるというアフターサービスの基本を徹底したのです」(包行社長)
背景にあるのは、70年代後半に包行社長が販売拠点の設置を進めていた頃の経験だ。行く先々でアフターサービスの重要性を身をもって痛感し、体制作りを進めてきた。今では全国7拠点のほか、東日本と西日本に1つずつ部品センターを設け、部品供給についてはほぼ100%が翌日に届く体制を築いている。
本社工場では大手メーカーのOEM(相手先ブランド)生産も行なう。00年には品質管理の国際規格ISO9001の認証を取得。07年3月期の売上高は42億円。月に約1000台の車両を製造販売する。その25%を占めるのが海外販売だ。海外進出を果たしたのは20年前。欧米をはじめとする海外市場では古くから車輪式の運搬車が一般的で、筑水キャニコムが得意とするクローラ(キャタピラー)式の運搬車は普及率が低かった。需要は高いとの予想が的中し、近年は悪路走破性や小回りに優れたクローラ式の運搬車が販売台数を伸ばし始めている。
ヨーロッパにおいては、すでに20年以上前から各国の有力な代理店と契約、シェア拡大の途上にある。北米市場でも独自拠点を設け、市場を開拓中だ。「世界の各地域、各国のニュースには、常に注意を払っています。世界の情勢や産業の動向に注目し、ここと思った国にはすぐに飛んで行って市場調査を行ないます。調査結果がよければ、すぐに販売網の構築に取りかかります」(包行社長)。今後は、売り上げの海外比率を全体の5割にまで引き上げるつもりだ。
「我々は多くのお客さまに支えられて成長してきました。使用する方々にとって使いやすい便利な製品を開発し、行き届いたアフターサービスを提供することが、育てていただいたことへの恩返しだと考えています」と包行社長は信念を語り、今後も使用者のかゆい所に手が届く製品を作り続けていきたいと意欲を燃やしている。
本社に掲げられた企業理念。モノ作りを演歌になぞらえたユニークなキャッチフレーズは、遊び心を大切にする包行社長が考案した。【会社クレジット】
筑水キャニコム
【所在地】〒839-1396 福岡県うきは市吉井町福益90-1
【TEL】0943-75-2195
【設立】1948年1月
【資本金】3億4740万円
【売上高】42億円(07年3月期)
【従業員数】191人
【事業内容】農業用・土木建設用・林業用運搬車、
草地及び産業用機械の製造・販売
【URL】http://www.canycom.co.jp
文・山川泰仁



