2007年12月20日更新
<11月号特集>事例5 ラブリークィーン/婦人服製造・販売
自分の能力を伸ばしたいと願う素直な心を持つ人を呼び込む
早朝勉強会、毎朝の掃除、各種のカード活用……。
これらは、高級婦人服メーカーのラブリークィーンが、社員力を高めるために行なっていることだ。社員が粒ぞろいの会社と評判で、自分を伸ばそうとする意欲ある人材の確保につながっている。
これらは、高級婦人服メーカーのラブリークィーンが、社員力を高めるために行なっていることだ。社員が粒ぞろいの会社と評判で、自分を伸ばそうとする意欲ある人材の確保につながっている。
元気にあいさつする声が会議室に響きわたる
「中小企業は、社長の指導の下で一致団結しなければなりません。そのためには、素直な性格の人材が必要です」。ラブリークィーンの井上武社長は、2000年の改革以来、高い水準で業績を維持できている理由をきっぱり言い切る。
早朝勉強会で「当社はファッションを扱う会社。清潔感ある服装を心がけよう」と清潔の大切さを力説。
朝7時45分。同社の会議室には、「おはようございます」と元気にあいさつする声が響きわたる。この日は早朝勉強会で、約30人の社員が集まった。室内正面のスクリーンには経営理念や基本方針が写し出されている。それを社員全員で唱和する。
この日のテーマは「全社の品位・品格を高める」。井上社長が、顧客重視や5S(整理・整頓・清潔・清掃・躾)の重要性について話す。約1時間の勉強会の終盤、社長は社員1人ひとりと会話を交わす。内容は、仕事と関係ない天候の話もあれば、多少は仕事と関係あるビジネス書の感想など様々だが、どの声も元気いっぱいだ。
「早朝勉強会は、会社の方針を全社員に徹底する貴重な時間です。そして、表情や元気さから、どんな気持ちで社員が仕事に取り組んでいるかを知ることができる時間でもあります。これが社長である私にとって一番のメリット」(井上社長)
「改革の精神は、よい習慣になり、今ではラブリークィーンの文化になっています」という井上武社長。
ラブリークィーンは早朝勉強会を02年から始めた。本社の各部署、東京本部、大阪・札幌・福岡の各オフィスと関連会社別に、月1回ずつ行なうため、開催回数は月8回にも及ぶ。1カ月の3分の1を費やすことになるが井上社長はいとわず、北へ南へと足を運ぶ。なぜなら、変化を恐れず歓迎しようという社風を徹底するためだ。
「改革とは自らを変えていくこと。自らを変えていけるのは素直な人だけ。素直な人材は、他人の指摘を素直に言われた通りに受け止める。善意のアドバイスがあれば、どんどん成長できるのです」(同)
もちろん、人材選考で重視しているのも、性格の素直さだ。同社の新卒社員募集のための会社説明会は、毎年300人程度が集まる。そのうち、最終社長面接を受けるのは、60~70人。面接では、様々な質問を投げかけ、また見方によっては意地悪とも取れる方法で、素直かどうかを見極める。そして、最終的に10人程度を選ぶ。内定者は、単位を取得し終わった大学生に関しては9月からアルバイトとして出社してもらう。早朝勉強会にも参加させ、早期から“ラブリークィーン流”の徹底に努めている。

左/朝礼では、「ベスト挨拶賞」などの各種の社内制度や、社外の研修参加実績などを表彰し、社員の意欲の増進に努めている。右/「ベスト挨拶賞」などの表彰制度もあり、結果は廊下に掲示。制度の「見える化」でもある。
同僚や上司の評価をカードに書いて投票
井上社長は、「早朝勉強会などを通じて、いい人材が育っていけば、会社の評判がよくなり、さらにいい人材が確保できる好循環が生まれる」と言う。この好循環の始まりは、00年の改革にある。この年、業績の悪化を契機に思い切った改革を実行した。
1つは百貨店・量販店の積極的な自社コーナーの設置による販売改革。2つ目は、生産の思い切った中国シフトによる生産改革である。これによって業績は一気にV字回復した。この際、井上社長が誓ったのが「改革の継続」である。
その一環として始めたのが、武蔵野(東京都小金井市)の小山昇社長の教えを受けて始めた早朝勉強会であり、毎朝の掃除である。掃除はチームごとに行ない、リーダーが指揮する。相互チェックによって、掃除の出来栄えを競う。評価の良し悪しは第三者によって評価され、リーダーの責任も問われるため、どのリーダーも必死だ。これにより社員は、効率のよい役割分担やリーダーシップの重要性を学んでいる。
また、各種のカードを活用した取り組みもある。「いいじゃんカード」は同僚のいいところを発見したら書き込んで投票する。「ダメじゃんカード」はその逆で、同僚に改めてほしい点を記入する。同僚ばかりでなく、経営陣に対する辛口の意見が寄せられることもある。このカードは社員の意思疎通にも役立つという。
改革が始まって5年以上が経ち、社員に自らを変えていこう、高めていこうという積極性が生まれてきた。「元気」が特徴の“ラブリークィーン流”がすっかり身についた入社4年目の浅野友梨さんはこう話す。
「採用面接のとき、努めて笑顔にしていたらアルバイトが楽しくなったという経験談を話すと、非常に好感を持たれました。会社と自分の考えは似ていると感じたのが入社を決めた理由です」
左/「食事代を惜しんでも洋服を買う」と、ファッションへの情熱を語ってくれた夏目敏和氏。右/「業界では少ない女性営業職が活躍しているのもこの会社の魅力」と浅野友梨さん。
入社3年目の夏目敏和氏は、理工学部出身でありながら、アパレル産業を志した。
「私のことを色眼鏡で見ず、純粋に“服好き”と評価してくれました。ラブリークィーンは素直な会社なのだと思います」生き生きとした表情から、満足していることが見てとれる。
「思えば、改革の1つひとつは、素直な人材が伸びるための土壌作りでした。ラブリークィーンという土壌で、自らの能力を積極的に伸ばして欲しい」(井上社長)
このように社員に期待を込める井上社長。その改革は、今後も途絶えることなく続く。
【会社クレジット】
ラブリークィーン
【所在地】〒500-8535 岐阜県岐阜市嘉納寿町2丁目5番地
【TEL】058-272-5611(代)
【資本金】2億4812万5000円
【売上高】128億円(07年5月期)
【従業員】225人(ファッションアドバイザー社員1070人)※各拠点合計、アルバイト・パート含む
【事業内容】高級婦人服の企画・製造・販売
文・中村好伯
特集TOPへもどる
「中小企業は、社長の指導の下で一致団結しなければなりません。そのためには、素直な性格の人材が必要です」。ラブリークィーンの井上武社長は、2000年の改革以来、高い水準で業績を維持できている理由をきっぱり言い切る。
早朝勉強会で「当社はファッションを扱う会社。清潔感ある服装を心がけよう」と清潔の大切さを力説。朝7時45分。同社の会議室には、「おはようございます」と元気にあいさつする声が響きわたる。この日は早朝勉強会で、約30人の社員が集まった。室内正面のスクリーンには経営理念や基本方針が写し出されている。それを社員全員で唱和する。
この日のテーマは「全社の品位・品格を高める」。井上社長が、顧客重視や5S(整理・整頓・清潔・清掃・躾)の重要性について話す。約1時間の勉強会の終盤、社長は社員1人ひとりと会話を交わす。内容は、仕事と関係ない天候の話もあれば、多少は仕事と関係あるビジネス書の感想など様々だが、どの声も元気いっぱいだ。
「早朝勉強会は、会社の方針を全社員に徹底する貴重な時間です。そして、表情や元気さから、どんな気持ちで社員が仕事に取り組んでいるかを知ることができる時間でもあります。これが社長である私にとって一番のメリット」(井上社長)
「改革の精神は、よい習慣になり、今ではラブリークィーンの文化になっています」という井上武社長。ラブリークィーンは早朝勉強会を02年から始めた。本社の各部署、東京本部、大阪・札幌・福岡の各オフィスと関連会社別に、月1回ずつ行なうため、開催回数は月8回にも及ぶ。1カ月の3分の1を費やすことになるが井上社長はいとわず、北へ南へと足を運ぶ。なぜなら、変化を恐れず歓迎しようという社風を徹底するためだ。
「改革とは自らを変えていくこと。自らを変えていけるのは素直な人だけ。素直な人材は、他人の指摘を素直に言われた通りに受け止める。善意のアドバイスがあれば、どんどん成長できるのです」(同)
もちろん、人材選考で重視しているのも、性格の素直さだ。同社の新卒社員募集のための会社説明会は、毎年300人程度が集まる。そのうち、最終社長面接を受けるのは、60~70人。面接では、様々な質問を投げかけ、また見方によっては意地悪とも取れる方法で、素直かどうかを見極める。そして、最終的に10人程度を選ぶ。内定者は、単位を取得し終わった大学生に関しては9月からアルバイトとして出社してもらう。早朝勉強会にも参加させ、早期から“ラブリークィーン流”の徹底に努めている。

左/朝礼では、「ベスト挨拶賞」などの各種の社内制度や、社外の研修参加実績などを表彰し、社員の意欲の増進に努めている。右/「ベスト挨拶賞」などの表彰制度もあり、結果は廊下に掲示。制度の「見える化」でもある。
同僚や上司の評価をカードに書いて投票
井上社長は、「早朝勉強会などを通じて、いい人材が育っていけば、会社の評判がよくなり、さらにいい人材が確保できる好循環が生まれる」と言う。この好循環の始まりは、00年の改革にある。この年、業績の悪化を契機に思い切った改革を実行した。
1つは百貨店・量販店の積極的な自社コーナーの設置による販売改革。2つ目は、生産の思い切った中国シフトによる生産改革である。これによって業績は一気にV字回復した。この際、井上社長が誓ったのが「改革の継続」である。
その一環として始めたのが、武蔵野(東京都小金井市)の小山昇社長の教えを受けて始めた早朝勉強会であり、毎朝の掃除である。掃除はチームごとに行ない、リーダーが指揮する。相互チェックによって、掃除の出来栄えを競う。評価の良し悪しは第三者によって評価され、リーダーの責任も問われるため、どのリーダーも必死だ。これにより社員は、効率のよい役割分担やリーダーシップの重要性を学んでいる。
また、各種のカードを活用した取り組みもある。「いいじゃんカード」は同僚のいいところを発見したら書き込んで投票する。「ダメじゃんカード」はその逆で、同僚に改めてほしい点を記入する。同僚ばかりでなく、経営陣に対する辛口の意見が寄せられることもある。このカードは社員の意思疎通にも役立つという。
改革が始まって5年以上が経ち、社員に自らを変えていこう、高めていこうという積極性が生まれてきた。「元気」が特徴の“ラブリークィーン流”がすっかり身についた入社4年目の浅野友梨さんはこう話す。
「採用面接のとき、努めて笑顔にしていたらアルバイトが楽しくなったという経験談を話すと、非常に好感を持たれました。会社と自分の考えは似ていると感じたのが入社を決めた理由です」
左/「食事代を惜しんでも洋服を買う」と、ファッションへの情熱を語ってくれた夏目敏和氏。右/「業界では少ない女性営業職が活躍しているのもこの会社の魅力」と浅野友梨さん。入社3年目の夏目敏和氏は、理工学部出身でありながら、アパレル産業を志した。
「私のことを色眼鏡で見ず、純粋に“服好き”と評価してくれました。ラブリークィーンは素直な会社なのだと思います」生き生きとした表情から、満足していることが見てとれる。
「思えば、改革の1つひとつは、素直な人材が伸びるための土壌作りでした。ラブリークィーンという土壌で、自らの能力を積極的に伸ばして欲しい」(井上社長)
このように社員に期待を込める井上社長。その改革は、今後も途絶えることなく続く。
【会社クレジット】
ラブリークィーン
【所在地】〒500-8535 岐阜県岐阜市嘉納寿町2丁目5番地
【TEL】058-272-5611(代)
【資本金】2億4812万5000円
【売上高】128億円(07年5月期)
【従業員】225人(ファッションアドバイザー社員1070人)※各拠点合計、アルバイト・パート含む
【事業内容】高級婦人服の企画・製造・販売
文・中村好伯
特集TOPへもどる



