2007年12月20日更新
<11月号特集>事例4 シイエム・シイ/マーケティング業
素早く計画的に行動し挑戦者精神あふれる人を集める
マーケティングによる業務課題の解決を手がけ、2000年から06年までに、売上高が1.8倍に。躍進の原動力となったのは、優秀な社員だ。「人こそが企業の財産」と言い切る龍山真澄社長は、多くの時間とコストをかけて潜在能力の高い学生の獲得に力を入れている。
会社の業績アップには優秀な社員が不可欠
名古屋市に本社のあるシイエム・シイは、マーケティングを主な事業とする、社員436人の中堅企業だ。企業相手の事業を主力とするため、一般の人々からのなじみは薄い。だが、今年は東京と大阪、名古屋で行なった会社説明会で合計1500人以上の学生を集め、北海道大学、神戸大学、筑波大学などを含む32人の新卒採用に成功した。
龍山真澄社長。各本部で行なっていた採用活動を社長就任後、全社統一採用に切り替えた。
雇用回復を受けて新卒採用が空前の売り手市場にあるなか、大手企業にも引く手あまたの優秀な学生を獲得できた背景には、同社独自の努力と工夫があった。まず、これほど多くの人数を集められるのは、素早い動きと多くの採用費用をかけたことにある。
06年夏。シイエム・シイは、すでに08年度の新卒採用プロジェクトをスタートさせた。プロジェクトのメンバーは、龍山真澄社長を筆頭に十数人。全社的な視点で採用活動を展開できるように、部門や職種、勤務地の異なる社員がメンバーに選ばれた。
採用にあたっては、プロフェッショナルコースとゼネラリストコースの2つを用意。具的な仕事内容は、前者が自動車の取扱説明書や修理書を執筆するテクニカルライターで、後者が営業、企画、制作ディレクターだ。
プロジェクトメンバーの1人で、テクニカルライターとして働く渡邉一樹氏は、「仕事内容をしっかり分けているため、各部署が必要とする人材適性を考慮したうえで採用活動を展開できます。例えば、テクニカルライターの場合はメカニックなことに抵抗がないかどうかなどを事前に確認しています」と話す。

左/どのような戦略で臨むか、若い社員だけで話し合うことも多い。右/明るく快適なオフィス空間。
成長の見込みが高い新卒社員を重点採用
人こそが企業の財産と考える龍山社長は、人材を「人財」と表現する。採用に力を入れ、そのための予算を大幅に見直した。従来は年間に700万円だったのを3000万円にまで増やしたのだ。
採用プロジェクトを運営するにあたり、龍山社長を始めとするプロジェクトのメンバーは、何度もミーティングを重ねた。自社の発展に寄与する人材を採用するのに最適な手段はなにか――。吟味のうえで活動内容を決めていった。
06年12月には会社説明会に先立ち、オープン参加の「マーケティングカレッジ」を開催。学生たちにマーケティングビジネスを体験させて、意欲的に取り組む学生やリーダーシップを発揮する学生の発掘を主目的としている。
07年4月には、企業ブランドを高める手段として本社屋上に広告塔を設置。龍山社長は「企業を顧客とする事業を手がけているため、一般の方へのアピールはそれほど必要ありません。看板を掲げたのは、学生やそのご家族への認知度を少しでも高めたいからです」と説明する。
シイエム・シイが、新卒採用に力を入れるようになったのは、5年前に龍山氏が社長に就任してからだ。龍山社長が新卒採用に力を入れるのには理由がある。中途採用の社員に比べ、新卒採用の社員は社会人経験がない分、仕事への固定観念がなくて吸収力に優れ、自社の価値観を共有する人材に育て上げやすいからだ。
学生から見たシイエム・シイの魅力は、社内教育制度など人材育成にお金をかけていること。内定者研修から始まり、新入社員研修、新入社員フォローアップ研修、また、中堅社員のためには面接スキル研修や案件進捗研修、戦略的プレゼンテーションスキル研修などがある。英会話学校から講師を招いて行なう英語クラスも用意している。
「昨年度は教育プログラムのために2400万円を投じた」(龍山社長)という力の入れようだ。
入社前に、新卒採用プロジェクトメンバーのような社員と数多く接する機会が設定されていることも学生に選ばれる理由の1つだ。入社4年目の古谷さんは、「入社前から先輩社員とじかに話をする機会が多く与えられ、入社後の具体的なイメージが湧いたのが入社の決め手でした」と振り返る。
右/第2技術情報企画部教育企画室の渡邉一樹氏。左/マーケティング本部制作部第1ディレクション室の古谷綾子さん。
入社の口説き文句は君の力で20年後も進化を
新卒採用の選考基準は3つ。課題解決能力を備えていること、チャレンジ精神を持っていること、自分の目標を語れることだ。シイエム・シイの取引先には、トヨタ自動車やINAXなど大手企業が名を連ねる。「大手企業の社員のほとんどは名門大学の出身者で、能力の高い人が多くいます。その人たちの期待を上回る企画を提案するためには、論理的思考や戦略的思考といった課題解決能力を備えた人財が必要になります。また、目標に向かって難題に挑戦する精神も大事です」(龍山社長)
創業40年以上のシイエム・シイは、図面や文書のマイクロフィルム化事業から印刷業、マーケティング業へと変革、進化してきた会社だ。これぞと思った学生に入社の意志を固めさせる時の殺し文句は「10年後、20年後もこれまでのように進化を続け、成長する企業にしたい。君の力でそれを実現してほしい」。
新卒採用に人・モノ・金を投入し、優秀な人材を獲得するシイエム・シイ。だが、新卒採用の成功はそれだけが理由ではない。時代の変化に対応して挑戦的な改革を行なってきた企業だからこそ、チャレンジ精神旺盛な「人財」が集まってくるのだ。
【会社クレジット】
シイエム・シイ
【所在地】〒460-0021 愛知県名古屋市中区平和1-1-19
【TEL】052-322-3355
【創業】1962年
【資本金】3億889万円
【売上高】126億4122万円
(06年9月期)
【従業員数】436人(07年9月末)
【事業内容】マーケティングソリューション
【URL】http://www.cmc.co.jp/
文・百瀬崇
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名古屋市に本社のあるシイエム・シイは、マーケティングを主な事業とする、社員436人の中堅企業だ。企業相手の事業を主力とするため、一般の人々からのなじみは薄い。だが、今年は東京と大阪、名古屋で行なった会社説明会で合計1500人以上の学生を集め、北海道大学、神戸大学、筑波大学などを含む32人の新卒採用に成功した。
龍山真澄社長。各本部で行なっていた採用活動を社長就任後、全社統一採用に切り替えた。雇用回復を受けて新卒採用が空前の売り手市場にあるなか、大手企業にも引く手あまたの優秀な学生を獲得できた背景には、同社独自の努力と工夫があった。まず、これほど多くの人数を集められるのは、素早い動きと多くの採用費用をかけたことにある。
06年夏。シイエム・シイは、すでに08年度の新卒採用プロジェクトをスタートさせた。プロジェクトのメンバーは、龍山真澄社長を筆頭に十数人。全社的な視点で採用活動を展開できるように、部門や職種、勤務地の異なる社員がメンバーに選ばれた。
採用にあたっては、プロフェッショナルコースとゼネラリストコースの2つを用意。具的な仕事内容は、前者が自動車の取扱説明書や修理書を執筆するテクニカルライターで、後者が営業、企画、制作ディレクターだ。
プロジェクトメンバーの1人で、テクニカルライターとして働く渡邉一樹氏は、「仕事内容をしっかり分けているため、各部署が必要とする人材適性を考慮したうえで採用活動を展開できます。例えば、テクニカルライターの場合はメカニックなことに抵抗がないかどうかなどを事前に確認しています」と話す。

左/どのような戦略で臨むか、若い社員だけで話し合うことも多い。右/明るく快適なオフィス空間。
成長の見込みが高い新卒社員を重点採用
人こそが企業の財産と考える龍山社長は、人材を「人財」と表現する。採用に力を入れ、そのための予算を大幅に見直した。従来は年間に700万円だったのを3000万円にまで増やしたのだ。
採用プロジェクトを運営するにあたり、龍山社長を始めとするプロジェクトのメンバーは、何度もミーティングを重ねた。自社の発展に寄与する人材を採用するのに最適な手段はなにか――。吟味のうえで活動内容を決めていった。
06年12月には会社説明会に先立ち、オープン参加の「マーケティングカレッジ」を開催。学生たちにマーケティングビジネスを体験させて、意欲的に取り組む学生やリーダーシップを発揮する学生の発掘を主目的としている。
07年4月には、企業ブランドを高める手段として本社屋上に広告塔を設置。龍山社長は「企業を顧客とする事業を手がけているため、一般の方へのアピールはそれほど必要ありません。看板を掲げたのは、学生やそのご家族への認知度を少しでも高めたいからです」と説明する。
シイエム・シイが、新卒採用に力を入れるようになったのは、5年前に龍山氏が社長に就任してからだ。龍山社長が新卒採用に力を入れるのには理由がある。中途採用の社員に比べ、新卒採用の社員は社会人経験がない分、仕事への固定観念がなくて吸収力に優れ、自社の価値観を共有する人材に育て上げやすいからだ。
学生から見たシイエム・シイの魅力は、社内教育制度など人材育成にお金をかけていること。内定者研修から始まり、新入社員研修、新入社員フォローアップ研修、また、中堅社員のためには面接スキル研修や案件進捗研修、戦略的プレゼンテーションスキル研修などがある。英会話学校から講師を招いて行なう英語クラスも用意している。
「昨年度は教育プログラムのために2400万円を投じた」(龍山社長)という力の入れようだ。
入社前に、新卒採用プロジェクトメンバーのような社員と数多く接する機会が設定されていることも学生に選ばれる理由の1つだ。入社4年目の古谷さんは、「入社前から先輩社員とじかに話をする機会が多く与えられ、入社後の具体的なイメージが湧いたのが入社の決め手でした」と振り返る。
右/第2技術情報企画部教育企画室の渡邉一樹氏。左/マーケティング本部制作部第1ディレクション室の古谷綾子さん。入社の口説き文句は君の力で20年後も進化を
新卒採用の選考基準は3つ。課題解決能力を備えていること、チャレンジ精神を持っていること、自分の目標を語れることだ。シイエム・シイの取引先には、トヨタ自動車やINAXなど大手企業が名を連ねる。「大手企業の社員のほとんどは名門大学の出身者で、能力の高い人が多くいます。その人たちの期待を上回る企画を提案するためには、論理的思考や戦略的思考といった課題解決能力を備えた人財が必要になります。また、目標に向かって難題に挑戦する精神も大事です」(龍山社長)
創業40年以上のシイエム・シイは、図面や文書のマイクロフィルム化事業から印刷業、マーケティング業へと変革、進化してきた会社だ。これぞと思った学生に入社の意志を固めさせる時の殺し文句は「10年後、20年後もこれまでのように進化を続け、成長する企業にしたい。君の力でそれを実現してほしい」。
新卒採用に人・モノ・金を投入し、優秀な人材を獲得するシイエム・シイ。だが、新卒採用の成功はそれだけが理由ではない。時代の変化に対応して挑戦的な改革を行なってきた企業だからこそ、チャレンジ精神旺盛な「人財」が集まってくるのだ。
【会社クレジット】
シイエム・シイ
【所在地】〒460-0021 愛知県名古屋市中区平和1-1-19
【TEL】052-322-3355
【創業】1962年
【資本金】3億889万円
【売上高】126億4122万円
(06年9月期)
【従業員数】436人(07年9月末)
【事業内容】マーケティングソリューション
【URL】http://www.cmc.co.jp/
文・百瀬崇
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