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2007年12月13日更新

<11月号特集>事例1 アルモニコス

求人活動や職場環境作りに資金投入を惜しまない

三次元形状処理技術を駆使して製品デザインやシステム開発などを手がけるアルモニコス。採用から職場環境など、人材に対して惜しみなく資金を投入し、高学歴で優秀なエンジニアがあこがれを抱く企業となっている。

年間売上高の5%を求人費用に充てる

現在、大学生の就職希望者は引く手あまたで、大企業が早くから青田買いをしてしまい、中小企業は人材集めに苦戦しているのが実情だ。そのため、初任給が大企業よりも高いケースも多くあり、また、人材確保のための求人費用も惜しまない傾向にある。

秋山雅弘社長秋山雅弘社長。1984年、自宅をオフィスにアルモニコスを創業。ソフト開発促進のための資金調達手段として、早期の株式公開を目指している。





創業23年を経たアルモニコス(静岡県浜松市)は、エンジニアに年俸制を採用、入社初年度で448万円~512万円というケースもある。エンジニア職の一般的な給与からすればかなりの高給といえるが、同社では各エンジニアをレベルに応じてきちんと評価し、収入面などで厚待遇している証しだ。

アルモニコスは、自動車のボディーデザインなどの三次元形状処理技術やシステム開発などを主力事業とする。従業員数52人(うちエンジニア約73%)の規模ながらも非常に高い技術力を備え、ものづくりで大企業からも頼りにされている。

高度な能力で困難な技術課題を解決する。このビジネスモデルを確立していくには、何よりも優秀なエンジニアがいなくては始まらない。
「当社の理念はグッドピープル・カンパニー。『いい会社を作ればいい人材もやってくる』という意味です。当然、人材の発掘や職場環境には特に気をつかっています」と秋山雅弘社長は話す。年間売上高の5%を求人費用に充てることもあり、営業活動よりも採用活動のほうに重点を置いているという。

会社を認知させるにはお金をかけるしかない

優秀な人材を獲得するために、まず工夫したのは募集方法だった。「どれだけいい会社でも認知されていなければ、雲の中で光っている星と同じと知り合いから言われたんです。その輝きを知ってもらわなければ人材は集まらない。そして雲から脱する方法は、お金をかけることしかないことを知らされたのです」(秋山社長)

オフィス写真浜松本社は、最高層ビルの上層部にある。駅から徒歩5分の好立地で、オフィスからは浜松市内や太平洋を一望できる。



募集範囲を地元地域から全国へと拡大。インターネット経由での応募受付も早期から実施、有名大学の卒業生へのDM活動や募集広告活動も積極的に展開し、企業の認知度を高めていった。企業説明会も今では年間15回を数え、さらに会場は東京と大阪などで実施。入社試験も同様に東西で行なう。これは就職活動で忙しい学生に対する配慮だ。

その半面、入社試験は厳しい。例えば、大学院レベルの能力が求められる数学問題を出題。問題があまりにも難しいことで、アルモニコスの名が知られるようになったくらいだ。
「基礎知識だけでなく、パズルを解くようなひらめき、柔軟な思考能力が必要な問題を出しています」(同)

同社の難関試験を突破できる学生は、高度な技術課題を解決できる優秀なエンジニアの素質がある。また、難解であることを知りながらも試験を受けにくる学生は、生来の研究意欲も高い。

エンジニア用ブース各エンジニアには、約2.4m×2.4m(5.76㎡)のブース、および最新仕様のコンピューターを2台提供。自分のペースで集中して仕事ができる。写真は、東京大学大学院情報理工学系研究科システム情報学専攻修士課程を修了して入社したアンチェリー・デービス氏。


“民間の大学院”と呼ぶ自由で集中できる職場環境

募集方法という「外側」だけでなく、職場環境という「内側」の魅力創出にも費用をかけている。例えば、1人に2台の最新コンピューターを提供。さらに、仕事に集中できるように、好みの作業環境を作れる個別スペース(約5.76㎡)を全員に与えている。労働時間は裁量労働制として、時間の制約を極力なくした。この職場環境を同社では“民間の大学院”と呼んでいる。服装が自由なこともあり、確かに社内は大学院の研究室のような雰囲気で、エンジニアの自主性を最大限に尊重している。

3次元CADデータ変換ソフト「SPGate」3次元CADデータ変換ソフト「SPGate」を使った画面。車の設計・デザインなど様々な分野で使用されている。



なぜアルモニコスは、社員の処遇がここまで手厚いのか。それは、自身もエンジニアである秋山社長には「日本の技術者の評価は高くない」という想いがあったからだ。
「各企業の経営陣を見ても理系は少ない。出世の早さも待遇面でも、エンジニアは報われてないという意識がありました。エンジニアにとってやりがいを見出せる会社にしたかったのです」(同)

同社では非常に高度な能力を要求されることは事実だが、高い資質と旺盛な研究意欲を持つエンジニアにとっては、これ以上ない企業だ。アルモニコスの名は年々知れわたるようになり、今でも高学歴の入社希望者が絶えない。入社7年目の斉藤友行氏は、立教大学大学院理学研究科に在籍中、就職情報サイトでアルモニコスの存在を知ったという。

GPRプロジェクトマネージャーの斉藤友行氏GPRプロジェクトマネージャーの斉藤友行氏。3次元CADデータ変換ソフト「spGate」開発に携わる。同ソフトを世界標準に育てたいと意気込む。




志望動機をこう語る。「大学院での研究で培った知識を使って世の中の役に立つ仕事をしたいと考え、この会社なら自分の力が生かせると思ったのです」こう言って笑顔を浮かべる斉藤氏は、世界の大企業を相手に最先端事業に携わり、課題を乗り越えることによって、自己成長と達成感を感じていると強調する。このような優秀な人材が多く集まるからこそ、社員に高給を支払ってもアルモニコスの収益力はますます高まっている。

【会社クレジット】
アルモニコス

【所在地】〒430-7721
静岡県浜松市中区板屋町111-2 浜松アクトタワー21F
【TEL】053-459-1000(代)
【創業】1984年
【資本金】2000万円
【従業員】52名
【事業内容】3次元形状処理、CADフレームワーク、プロダクトモデル型専用システムの3つの技術をベースとした、CAD/CAMシステムのコンサルティング及び受託研究・開発
【URL】http://www.armonicos.co.jp/

文・横山博之

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