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2007年12月06日更新

<ヒットのツボ>「ミミダス」

らせん状のやわらかな先端部で
耳あかをやさしくすっきり取る


代表取締役 清水邦夫(しみず・くにお)
1949年生まれ。建築設計事務所を経営するかたわら、趣味で家具や日用品などのデザインを行なう。99年にミミダスの製造販売を手がけるアクアクロスを設立、同年グッドデザイン賞受賞。現在は日本、アメリカ、ドイツ、中国、韓国、台湾で意匠登録を取得し海外でも販売中



「21世紀の耳かき」。これが「ミミダス」のキャッチコピーだ。99年に売り出され、その斬新なデザインから耳かきでは初のグッドデザイン賞を受賞。一見しただけでは何の道具かさえ分からないが、高い機能性とデザイン性を兼ね備え、店頭では指名買いされるほどの人気商品だ。販売開始後も改良に改良を重ね、累計80万本を販売した。

弾性に富む「らせん構造」が耳あかをこそげ取る

「耳かき」と聞いて思い浮かぶのは、先が小さなスプーン状になった1本数百円の製品だろう。5~6年前までは買い手も売り手も、形状や価格におそらく何の疑問も不便も感じなかったはずだ。


見た目も美しい「ミミダス」

その既成概念を打ち破った商品がアクアクロスの耳かき「ミミダス」。先端部は、耳あかをこそげ取るスプーン状ではない。代わりに棒の先に付いているのは、らせん状のワイヤーだ。その“らせんヘッド”は、柔軟で、微妙なカーブにもピタリと合い、耳あかを効率的に取ることができる。価格は1本1344円。決して安くないが、99年の発売以来、累計約80万本を販売するヒット商品となった。

現在、東急ハンズやロフト、大手百貨店、薬局薬店のほか、コンビニエンスストアなどでも販売されている。テレビや雑誌に取り上げられることも多く、その直後には一店舗あたり月に数百本が売れることもある。99年にはグッドデザイン賞を受賞した。

細部に隠れた工夫の数々商品改良は常に続く

らせん状の構造を思いついたのは、もともと建築設計を本業としていたアクアクロス社長の清水邦夫氏に力学の知識があったからだ。
「耳かきを構造的に考えると、弾性のあるスパイラル(らせん)のほうが効率よく耳あかをかきだせるはず。しかも指先の力を吸収・分散してくれるので安全でもあります。何よりも、自分がそういう耳かきを欲しいと思ったことが開発のきっかけです」(清水社長)

先端には、弾性のあるらせん状のワイヤーが付いており、耳あかを効率よくかきだすことができる。





ミミダスの構成部品は8つ。その製造は各部品に適した国内5カ所の工場に委託している。部品の組み立ては社内の作業場。手作業による完全分業制だ。10人前後のスタッフによる手作業のため、製造が注文に追いつかないこともあるが、それでも手作業を貫く。
「人体に触れる繊細な道具ですから、人の手で1つひとつていねいに組み立てた方がいい」という清水社長の信念があるからだ。

先端部のらせんヘッドは取りはずし可能。使用していないときは先端部を逆向きにして本体に収納できる。本体に付属しているキャップには、ヘッドの掃除に使えるブラシが付いている。収納時の見た目をすっきりさせると同時に、ブラシを露出させないことで衛生的かつコンパクトになるように設計されている。

先端部とブラシ部分を本体に収納すれば、ペン立てに入れてもまったく違和感がない。
今、店頭に並んでいるミミダスは、8代目のモデルだ。顧客に気づかれないほどの細かな改良を何度も加えてきた。

例えば、先端のらせん部分。初代モデルはワイヤーが一重だったが、現行品は、より強くしなやかにするために二重になっている。他にも、キャップの色を多様化したり、本体とヘッド部分の結合部に強度を加えたり。機能性やデザイン性もさることながら、売れてもなお改良を加える同社の姿勢が80万本もの販売につながったのだ。




人の好みは千差万別色やサイズで多様化

「製造原価を考えると、本当は1本1580円で売りたかった」と清水社長は明かす。ところが、ミミダスを最初に売り込みに行った売り場担当者に「そんなに高くては売れるものも絶対に売れない」と跳ねつけられ、1344円に値段を下げての販売スタートとなった。

最初は店頭に30個。「置いてもらえさえすれば必ず売れるという自信がありました」。清水社長がそう確信したのは、商品化するまでに複数の理髪店で試用してもらい、「抜群の取れ具合い」「客が痛がらない」という反響を得ていたからだ。

ミミダスの売れ行きがよくなるとともに、顧客からさまざまな声が上がってくるようになった。例えば、「もっと小さいサイズを出してほしい」など。従来のらせんヘッドの直径は4.2mmだが、06年4月からはヘッドの直径が3.8mmの「Sサイズ/ピンク」を同価格で販売している。女性向けに作ったものだが、耳穴の小さい人にも重宝されているという。

また、デザイン性を高めた高級タイプ「ミミダス・テクニシャン」の販売も始めている。シルバー加工を施したもので、価格は2100円。贈り物にもいいと評判は上々だ。

現在清水社長が有力市場として注目しているのが、08年の北京オリンピックを控えた中国。清水社長は、すでに世界市場を見据えている。他から新商品が続々発売されるなど、ミミダスのヒットに触発されて活性化している耳かき市場だが、「需要はまだまだあるはずです。いいものは高くても売れるんですよ。改良と開発を重ねてミミダスを売り続けます。今後は、はしや茶碗のように自分専用、すなわち1人1本を目指して作っていきたいですね」と清水社長は意気込む。

【会社概要】アクアクロス
【本社】〒333-0811 埼玉県川口市戸塚2-25-10 コモンズビル2F
【創業】1997年
【資本金】1000万円
【売上高】1億5000万円
【従業員】13人
【事業内容】ミミダスの製造・販売
【URL】http://www.mimidas.com


文・近野ひろ美



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