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2007年11月22日更新

<食品製造>米粉製造業が挑戦を続けるワケ

商品開発力が生命線
米粉製造業が挑戦を続けるワケ

   
●株式会社波里(ナミサト)
日本の米の消費量が減っている、とはよくきくが、どのくらい減っているのか。農林水産省の食糧需給表によると、昭和37年には、1人1年あたりに120キログラム消費していたのが、平成18年には61キログラムと半分になっている。1日あたりに換算すると167グラム、1合強である。自分の食生活を振り返り、3度の食事で米を1合食べているだろうかと考えると、なるほど、と思う人も多いことだろう。
国策としての米粉普及
お菓子もパンも作れる米粉を開発


米の消費を促進するためには、米飯だけでなく、米粉を使った食品の利用が、国策として推進されるようになっている。ここでいう「米粉」とは、うるち米ともち米を原料として作る粉のこと。おもなものとしては、上新粉、もち粉、白玉粉などで、お団子や柏餅などの和菓子の原料として使われている。

取締役業務部担当兼企画室室長 藤波孝幸さん取締役業務部担当兼企画室室長 藤波孝幸さん。「原材料は畑の中まで確認しに行きます。先週はどんな豆ができているのか、長靴はいて畑に入ってました」





栃木県佐野市に本社をおく株式会社波里は、米粉を和菓子などの食品メーカー向けに製造している米穀粉メーカー。米穀粉製造業は、日本に200社ほどあるが、そのうち4割は従業員5名以下の企業なので、従業員62名、年間の上新粉製造可能量1万2千トンの同社は中堅どころである。
同社は、昭和22年に菓子製造、味甚粉製造業として創業し、昭和32年には、宮内庁の上新粉(柏餅)御用達となった。その後も品評会で特等賞、金賞などを受賞し、昭和48年には、上新粉が第18回全国菓子大博覧会で名誉総裁賞を受賞している。

同社でも、国策の米粉普及にのっとり、米粉の使用シーンを広げようと、うるち米100%を原料に微粉砕することで小麦粉並の細かさを実現した「ミラクルパウダー」を発売している。お菓子づくりはもちろん、小麦グルテンをくわえるとパンも簡単に作れる。このミラクルパウダーを衣にして天ぷらを揚げると、小麦粉より吸水しないため、かりっとあがり、時間をおいてもふにゃっとならない天ぷらができる。また、油を吸いにくいのでカロリーも抑えられる。
ケーキやパン類を作ることもできる。米粉で作ると、小麦粉で作ったときより、もちもち感が増す。利点の多い米粉だが、小麦粉よりコストがかさむため、これまで食品メーカーは敬遠していた。しかし、最近の小麦粉高騰により、米粉が入り込む余地もでてきたという。

社運をかけた胡麻ペースト発売

同社の主要商品はいまも米粉だが、これだけでは企業としての安定性に欠くと判断し、昭和63年から胡麻の製造をはじめている。そして、5年の年月をかけて特殊な製法(特許取得済み)を開発し、平成17年には、これまでは考えられなかったほど細かい粒子を実現した胡麻ペースト「ミクロペースト」を完成させている。昨年より販売し、すでに大手ドーナツ販売店や大手乳飲料メーカーで、製品化され好評を得ている。

収穫したばかりの胡麻10月19日の同社ブログより、収穫したばかりの胡麻、ここからはたいて実を落とし、乾燥させる




「ミクロペースト」は、現在同社が社運をかけて力をいれている商品である。一般に販売されている練りゴマは、少々胡麻のざらつき感が残っている。この練りゴマの粒が、40~50ミクロンである。同社が開発したミクロペーストはシングルミクロン、10ミクロン以下を実現している。現物を見ると、ミクロペーストは、溶かしたチョコレートのようになめらかで、とろりとした液体になっている。飲料に添加するには、この10ミクロンを切る粒子であることが条件になるといわれる。ミクロペーストは、これを世界ではじめて実現した。

胡麻を細かく砕き、なめらかさを追求する過程においては、油分との分離も大きな課題となった。胡麻はその半分が油なので、乳化剤などを混ぜないと分離してしまう。これを独自の製法で改善し、味はつけずに、胡麻の香ばしさをそのまま残したペーストが完成した。
胡麻は、和菓子や洋菓子にはもちろん、チョコレートにもよく合う。何にでも合わせやすく、健康志向にも合っているので、すでに製品化したメーカーのほかに、現在も大手製造メーカーからの引き合いが続いている。

商品開発力が一番の競争力

ほかにも同社の人気商品として、冷凍白玉もちがある。冷凍前に加熱処理してあるので、解凍するだけでおいしく食べることができる。冷蔵庫に入れておいても3日間は、柔らかさを保つため、レストランなどで好評を得ている。白玉粉の需要が減少するなか、利用シーンでの利便性を追求したことで、人気商品ができた例だ。

同社の営業は、通常、問屋経由と自社営業で行なっているが、食品メーカーが同社のような原料メーカーを切り換えることは、わりと頻繁にある。選ばれる原料メーカーであり続けるためには、安定供給や原料と製法への安心感はもちろんのこと、先方の要求してくる品質、素材、製法(粉のひきかた)に応じられる技術力をもつこと、それから、価格競争に陥らないように、つねに新商品を開発し続けることが重要である。

胡麻ペーストは、現在同社で5%程度のシェアを担っているが、藤波室長は、「いまは日本人における食の好みが過渡期を迎えていると思うんです。これまでの常識は通用しなくなってきました。一方、ここ数年は日本の胡麻輸入量は横ばいですが、微粒子ペーストであれば確実に用途が広がって、さまざまな食品に応用が可能だと思います。米粉は和菓子の原料になりますが、和菓子は洋菓子に比べてカロリーは低いし腹持ちはいい。動物性脂肪ではなく、植物性脂肪を使うから健康的でもあります。これまでは、和菓子を食べてみて『甘すぎる』『食感が重い』と敬遠した若い層にも、受け入れられる和菓子を提案していきたいと思っています」と次の挑戦への意欲をみせた。

会社概要
株式会社波里(ナミサト)
代表取締役:藤波一博
本社:〒327-0046 栃木県佐野市村上町903番地
設立:昭和48年11月
創業:昭和22年5月
従業員数:62名(平成19年3月現在)
URL: http://www.namisato.co.jp/



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