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2007年11月15日更新

<美容健康業界>新規再来率を高める2つの方法

次回予約とDMコミュニケーション
新規再来率を高める2つの方法


●SPCN理事 松本望太郎

「再来率がよくない」と悩んでいる美容室オーナーが多いようだ。再来率が好調でなければ、客数減少、売上減少へと事態は悪化する。とくに重要なのは新規再来率で、これが上がればリピーターが増えていく。2つの美容室の取り組み事例を紹介しよう。
再来率が確実にアップする3つのレター作戦

まず再来力の基礎を学びましょう。普通の美容室が頭を抱えていることは何でしょうか。多くのオーナーとお話していて感じることは、「再来率がよくない」ということです。とくに新規再来率。30~40%というお店が多いかと思います。すると、どうしても失客のほうが多くなってしまうためリピート客数が増えていきません。それが客数減少、そして売り上げの減少につながってしまっています。

写真:SPCN理事・松本望太郎氏SPCN理事・松本望太郎。1971年8月生まれ。住宅メーカーの現場監督、バイクメーカーの販売促進などを経て、2001年に株式会社ベンチャー・リンク入社。BLP(ビジネス・リンク・パートナー)担当として3年間勤務ののち、美容室コンサルティング事業のSPCNに携わる。07年10月までに1400店舗の美容室コンサルティングを手がける。



だから再来力が注目をされるのです。再来力をアップするとは、再来率を上げること。とくに新規再来率。この数値を引き上げられるとリピーターが増えるお店になります。そしてこれからご紹介する具体的なやり方に取り組めば、どの店でも確実に新規再来率が上がります。

(1)お客さまが感動する店づくり
つねにお客さまの期待を超えるお店にすることが最初の一歩となります。期待はずれのお店に何度も足を運ぶお客さまはいませんよね。そのためにお客さまアンケートをもとに具体的に接客・技術を見直し、よりよくしていきます。

(2)次回ご来店のお約束をする(次回予約獲得)
アフターカウンセリングから会計でのアプローチによる次回予約を獲得しましょう。次回予約をとっていない店が多いことと思います。ところが70%のお客さまから次回予約を取っている店もあるのです。しっかりとしたアプローチをすればかならず実現できることです。それに「ここまでわたしのことを考えてくれているの」とお客さまも喜んでくださいます。

(3)次回来店までのコミュニケーション
再来しない理由をお客さまに聞いてみると、1位は「なんとなく」(80%)でした。不満があるからお店に再来しないと思いがちですが、じつは意外な結果なのです。これといった理由もないのに再来しないのですから、仲よくなるようにコミュニケーションをとったり、きちんとお誘いをすればぐっと再来率は上がるものです。次回ご来店まで適度にコミュニケーションをとってみましょう。そのために、次のことを実践してください。

・サンキューレター
ご来店されてから2~3日後に届くように、手書きの心のこもった手紙を出しましょう。

・ホームカウンセリングレター
カットしてから3~4週間もたつとスタイリングが決まりません。でも美容室にいくにはまだちょっと早い。そんなときにスタイリングやヘアケアのアドバイスレターを届けてあげましょう。

・そろそろレター
次回予約が近づいてきたら、「そろそろ来てくださいね」とお声がけをしましょう。実際に誘われるから来てくださるものです。

これら具体的なアクションを実行することで、ぜひ新規再来率60%を実現してください。これを継続できれば店の売り上げは20%アップします。では、実際の店舗の取り組み事例をみてみましょう。モーリ美容室とビーインプレスの2店をご紹介します。

<ケース1>モーリ美容室「次回予約率の高め方」

新規再来率は平均80%。リピート再来率は90%

埼玉県春日部市のモーリ美容室では次回予約率が70%を超えています。4月、5月、6月と3カ月連続で70%を超えたあと、7月は69.9%、8月は95.1%でした。同店はよくあるようにお客さまの要望どおり「はい。かしこまりました」と施術に入る美容室ではありません。

カレンダーはお客様の予定を確保するのに必須のツールカレンダーはお客様の予定を確保するのに必須のツール







たとえばパーマ・カラーで来店したお客さまでも、髪の状態をみて「今日はカラーだけにしておきませんか」と、ときには要望とは違う提案と施術をしてお客さまを帰すこともあるといいます。お客さまの本来の目的をかなえるためには、美容師はお客さまの要望どおりにすることが、かならずしも正しいとは限らないと考えているからです。美容師がお客さま本位になりきったなら、やるべきではない施術もときにはある。逆にお客さまの要望に応えるためのプロとして提案すべきアドバイスもあります。

お客さまが来店したその日、そのときの要望だけで判断するのではなく、お客さまが理想とする姿を実現するために中期的な視点でスタイル提案することが大切だと考えての結果です。

一見、大胆不敵にもとられかねない勇気のあるスタンス。「プロとして勇気も必要」とオーナーの森田喜代美さんはいいます。それにも関わらず高い満足度を誇ります。実際、新規再来率は平均80%。リピート再来率は90%にもなります。そして70%以上のお客さまがスタイル提案にしたがって、次回予約をして帰っていくのです。

カウンセリングの時点で「次、いつにする?」

中期的なスタイル提案をするうえで、同店がカウンセリングにおいて大事にしている5つの視点があります。(1)ヘアスタイルの希望を聞く、(2)ライフワークでの要望を理解する、(3)今後のヘアスタイルの方向性を知る、(4)滞在できる時間の要望を把握する、(5)予算を知る。

どうやら次回予約、お客さまと次回来店の約束をするうえで、この5つの視点を押さえることがまず重要であるようです。では実際に同店では、どんなアプローチをしているのでしょうか。どのようにして次回予約を獲得しているのか、みていきましょう。

次回予約につなげる仕組みとして同店は〈カウンセリング〉〈施術〉〈仕上り〉〈会計〉〈見送り〉、そして〈DM〉までの流れのなかで、3回は次回予約のおすすめをするそうです。3度もおすすめをして嫌がられないかと心配になるところですが、「しつこいのはだめ。相手を思って自然に。お客さま本位を貫けば素直に聞いてもらえるもの」と森田さんは語ります。

たとえば会計までいくと、もはや次回予約を取るタイミングは残されていないようにも思いがちですが、「まだ予約していないけど、どう?」「仮予約だけでもしておこうか?」「家に帰ったら予定を確認して電話してくれる?」といって同店では予約を取ってしまいます。

さらに驚くのはカウンセリングの段階で、もう「次、いつにする?」といった会話がなされることです。お客さまとの信頼関係がなければ、即失客でしょう。2カ月先のサロンの予約を優先すべき予定として入れてもらえるほどの強い信頼関係が成り立っているということでもあります。

モーリ美容室がこれだけ熱心に次回予約にこだわるのは、「プロとして最高のコンディションで最高の仕事をしたいから」との思いがあるからです。「1人ひとりにしっかりと施術したい。しっかりと向き合える時間を確保したい。だから予約をいただけるとありがたい」(森田さん)と考えています。

一方、森田さんは「1回来たお客さまは絶対逃さない!」「かならず固定客にする!」とも言い切ります。土地柄、一元客は少ないことから、必死さも違うのです。

とはいえ、70%以上を誇る高い次回予約率もわずか数カ月前までは3~4%に過ぎませんでした。2名いるスタイリストのひとりが出産休暇に入るという出来事があり、従来どおりの営業をしていれば来店が集中したときにお客さまに迷惑をかけてしまうことは明らかでした。お客さまをお待たせすることなく、かつ100%の体制でお迎えするには予約をいただくしかなかったという事情もありました。

森田さんはいいます。「お客さまにとってベストの状態を常日頃から言い聞かせていれば、予約することが当たり前になる。『○○したほうがよいかしら』『じゃあ、次いつ来ればいいの?』とお客さまから聞いてくれますね」。

<ケース2>ビーインプレス「お帰りの後もコミュニケーション」

リピート再来率95%、新規客は紹介だけに絞る

新規再来率60%を維持し、着実にリピート客を積み上げているのが横浜・元町のビーインプレスです。アップダウンは当然あるものの、新規再来率は5割を確実に超えているサロンです。リピート再来率ともなれば95%を誇ります。今年になって新規客は紹介だけに絞っているそうですが、約2年前と比べお得意さまの数は1.5倍以上増えました。

同店は「きちっとお誘いをすれば再来率は上がる」を実証している好事例でもあります。お客さまが帰ったあと、次回来店までのコミュニケーションをしっかりと適度にとる手本といえるでしょう。

同店では新規客が来店すると、その人に宛てた3通りのDMを「その日のうちに」「一気につくっちゃう」といいます。3通りとは(1)サンキューレター、(2)お伺いレター、(3)そろそろレターです。

(1)はお礼状です。ご来店に対するお礼をその日のうちに書いてしまうものです。(2)は「どんな感じですか?」とヘアスタイルのコンディションをお伺いするためのDMです。施術後、2週から3週目でヘアの状態がどうなのか担当したスタイリストとしては気になるところです。手入れがしにくくなっていないかなどをお伺いします。

「お客さまが帰られてから普段どういう思いで過ごされているかを知りたいし、それを受け止めたい。美容室にいるときを幸せにできても、帰られたあとも幸せでいてほしいから。帰るときにキレイなのは当たり前。日々、それにいかに近い状態でいてもらえるかがスタイリストの仕事」(三浦哲也オーナー)と美容師の使命を位置づけているからこそ、(2)が重要視されています。

(3)そろそろDMは文字どおり、「そろそろいかがですか? 髪は大丈夫ですか?」と端的に来店を促すためのDMです。新規客の場合は来店周期がわかりません。ロングかショートか。担当した美容師が来店周期を予測し、予想来店日のタイミングで「お待ちしています」と500円チケットを添えて送っています。常連さまに送るのは(3)の「そろそろDM」だけです。常連さまに対してはメールや電話でお誘いすることもあるそうです。

同店に限らず、(1)~(3)を実践されているサロンは多いことでしょう。しかし忘れずに、確実に出すことが肝要。適切なタイミングで確実に届けられていることがリピート率を高めるうえでその効果を左右します。

つまり「どうやって効果的なDMを、しかも忘れずに発送できるか」、その仕組みが店にできていることが大切といえるでしょう。「いつもできている」理想の状態を実現するマネジメントがものをいうのです。はビーインプレスではどうのように管理されているのでしょうか。

リピート率を高めるうえでDMはもっとも有力な手段

「一気に書いちゃう」が何といってもポイントのようです。タイミングと内容を誤らないように同店では毎日、営業終了後に「来店者リスト」を作成しています。「忘れちゃうので、チェックだけはその日中にかならず」と三浦さんはいいます。来店者リストにはすでに予約をいただいたお客さまやバースデーDMを用意している人もいます。

これらの「出さない」対象者を選び出しリストから除外。リストに残った新規のお客さまがDM発送の対象となります。そして用意してある3種類のDMにまず住所を記入。さらに切手を貼る位置に3つの日付を入れます。〈来店日〉〈DMを発送する日〉〈500円チケットの有効期限日〉。

「このDMはいつ投函するべきものか」を確定させ、はがきを保管する箱に収納します。お礼DMはもちろんその日のうちに書き終え、翌日に投函。(2)と(3)は来店周期に従って振り分けられ、投函日ごとに分類して保管されます。ここまでが「一気に書いちゃう」作業となります。

あとは少しでも手が空けば文面を練り、DMを完成させるだけ。「空き時間ができれば、みんなDM書きですよ」と三浦さんは笑います。大型台風が関東地方を縦断した日は「ラッキー!」といわんばかりにDM作成に熱中したそうです。そして発送日がくればポストに投函する。これで「確実にアプローチできる」ようになるわけです。

三浦さんはいいます。
「リピート率を高めるうえでDMはもっとも有力な手段。DMの効果は大きい。以前はタイミングが確立されていなかったし、いつ、どういうDMを出すかシステムができていなかった。しかし顧客管理を徹底することにより、『まあ、よかったね』程度のお客さまをもつかめるようになった。『こんなに気にかけてくれているんだ~』と記憶に残る仕組みです」

【関連サイト】
●SPCNコンサルティングサイト
 http://www.spcn.jp/

月刊サロンオーナーズマガジン『SPCN』
(株式会社リンク・イノベーション発行)2007年11月号より転載。

写真・本郷剛


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