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2007年11月01日更新

「法務Q&A」ネット通販と特定商取引法の規制

●速水法律事務所主宰・弁護士・M.B.A. 速水幹由
関心分野:ビジネス事件 (知的財産権、インターネット、製造物責任、損害賠償等)
E-mail:hayami@m.email.ne.jp
URL:http://www.asahi-net.or.jp/~nf5m-hym/
(「私のビジネス法務戦略論」「インターネット法学案内」共著、「裁判実務体系30製造物責任関係訴訟法」ほか著作多数)
インターネット上で通信販売をする場合、特定商取引法の規制を受けると聞いたのですが、どのような内容ですか?

特定商取引法の規制対象とされる「通信販売」に該当する場合には、(1)広告表示事項、(2)誇大広告等の禁止、(3)前払い式通信販売での承諾等の通知、(4)意に反する契約申し込みをさせようとする行為の禁止等の規制を受けることになります。

特定商取引法の規制対象

特定商取引法は旧称訪問販売法が改正、改称されたものであり、訪問販売、電話勧誘販売、連鎖販売取引(マルチ商法)、特定継続的役務提供、業務提供誘引販売取引とならんで、通信販売についても規制の対象にしている(1条)。

ここでいう「通信販売」とは、販売業者または役務提供事業者が郵便その他の経済産業省令で定める方法により売買契約または役務提供契約の申し込みを受けて行なう指定商品もしくは指定権利の販売または指定役務の提供であって電話勧誘販売に該当しないものをいうと規定されていて(2条2項)、インターネット上で申し込みを受ける取引(通常のインターネット通販、インターネットオークション等)もこれに該当する。

ただ、政令で指定された商品等(指定商品・指定権利・指定役務)に関する取引だけが対象となるのであり、その内容は経産省のサイトで公開されている。

ちなみに、通信販売を開始するために特に許認可等を受ける必要はないが、店舗販売の場合と同様、取扱商品(例えば、アルコール類)等によっては、各種許認可等が必要になる。

特定商取引法による規制の概要

1.広告表示事項
原則として、通信販売に関する広告の中で、
(1) 販売価格・対価(販売価格に送料が含まれない場合には、販売価格および送料)
(2) 代金・対価の支払い時期および方法
(3) 商品引き渡しや権利移転、役務提供の時期
(4) 商品引き渡し等の後における引き取り・返還についての特約(いわゆる返品特約)に関する事項(特約がない場合には、その旨)
(5) 事業者の氏名(名称)、住所、電話番号
(6) 事業者が法人であって、電子情報処理組織(ウェブサイト、電子メール等を使用する方法により広告をする場合には、代表者または通信販売に関する業務の責任者の氏名
(7) 申し込みの有効期限があるときは、その期限
(8) 販売価格・対価、送料以外に購入者等が負担すべき金銭があるときは、その内容および額
(9) 商品に隠れた瑕疵がある場合の販売業者の責任(瑕疵担保責任)について特約があるときは、その内容
(10) ソフトウェアを記録した物を販売したり、ダウンロードサービスを提供する場合には、そのソフトウェアを利用するための動作環境(OSの種類、CPUの種類、メモリの容量、ハードディスクの空き容量等)
(11) 販売数量の制限その他の特別な販売条件・役務提供条件があるときは、その内容
(12) 広告表示事項の一部を表示せず、請求によって別途交付する記載書面につき金銭を負担させるときは、その額
(13) 電子メールによって広告を送る場合には、事業者の電子メールアドレス
(14) 相手方の請求に基づかないで、かつ、その承諾を得ないで電子メールによる広告を送る場合には、そのメールの件名欄の冒頭に「未承諾広告※」を、表示することが要求されている(11条1項)。また、電子メールにより広告を送る場合(相手方の求めに応じて広告をするとき等を除く)は、その広告に、相手方が電子メールによる広告の受取を希望しない旨の意思を表示するための方法を表示しなければならないとされている(11条2項)。

なお、(6)(13)(14)は、従来型の通信販売に対する規制のほかに電子広告を行なう場合について追加されたものだ。
そして、電子メールによる広告の提供を受けることを希望しない旨の意思の表示を受けたときは、その者に対して再度広告メールを送信することが禁止される(12条の3)。

2.誇大広告等の禁止
返品特約等上記(1)の表示事項の他、商品の性能、権利・役務の内容等について、「著しく事実に相違する表示」や「実際のものよりも著しく優良であり、もしくは有利であると人を誤認させるような表示」をすることが禁止されている(12条)。

3.前払い式通信販売での承諾等の通知
商品の引き渡し等に先立ち代金・対価の全部または一部を受領する前払い式通信販売の場合、事業者は、契約申し込みを受け、かつ、代金・対価を受け取った後、遅滞なく(通常1週間程度といわれている)商品の送付等をしないときは、一定の事項
(1) 申し込みの諾否(承諾しないときは、受領している金銭をただちに返還する旨と、その方法を記載)
(2) 代金・対価の受領前に申し込みの諾否を通知しているときは、その旨
(3) 事業者の氏名(名称)、住所、電話番号
(4) 受領した金銭の額(それ以前にも金銭を受け取っているときは、その合計額)
(5) その金銭を受領した年月日
(6) 申し込みを受けた商品名・数量または権利・役務の種類
(7) 申し込みを承諾するときは、商品の引き渡し時期・権利の移転時期・役務の提供時期(期間または期限をもって表示)

を、書面によって通知しなければならない(13条1項)。ただし、その申し込みをした者の承諾を得て、その通知すべき事項を一定の電磁的方法(電子メール、サイトからのダウンロード等)により提供することができるとされている(13条2項)。

4.意に反する契約申し込みをさせようとする行為の禁止
(1) 電子計算機の操作(ボタンのクリック等)が電子契約の申し込みとなることを、顧客がその操作を行なう際に容易に認識できるように表示しなければならない。
(2) 顧客が電子計算機の操作を行なう際に申し込みの内容を容易に確認し、かつ、訂正できるようにしていない等、顧客の意に反して契約の申し込みをさせようとする行為が禁止されている(14条)。


5.行政処分、罰則
なお、これらの規制に違反した事業者は、業務改善指示(14条)、業務停止命令(15条)などの行政処分を受けるほか、罰則の対象となる。

適用除外

同法は消費者を保護するための法律なので、売買契約または役務提供契約で、申し込み者または購入者もしくは役務の提供を受ける者が、営業のために、もしくは営業として締結する契約に関するものには適用されない(26条1項1号)。

また、割賦販売等で通信販売に該当するものについては、同じ規制の重複を避けるため、広告規制の規定(11条1項)および前払い式通信販売での通知義務の規定(13条)の適用が除外されている(26条5項)。
ちなみに、通信販売にはクーリング・オフに関する規定はない。


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