2007年10月25日更新
<8月号特集>ヴイストン 大阪市此花区
技術で感動を与える企業理念で世界一の2足歩行ロボットを開発
日々進化を続けるロボット業界で注目を浴びるヴイストン。教育、研究開発、趣味と幅広い分野で画期的なロボットを生み出すメーカーだ。「技術を使って感動を与えること」を企業理念に、世界大会で優勝するほどの技術力で同社製品がロボット業界をけん引する。
顧客の声を吸い上げ技術に磨きをかける
教育や研究開発、趣味の分野でロボットの存在感が日増しに高まっている。そんななか、群を抜く技術力で注目を集めているロボットメーカーがヴイストン(大阪市此花区)だ。
社内には「ロボカップ」に参加した歴代のヴィジオンと、記念のメダルやトロフィーが飾られている。
同社の2足歩行ロボット「ヴィジオン」は、自律型ロボットがサッカーで競う「ロボカップ」世界大会で2004年から3連覇を達成。世界中から集まったロボット技術者が競い合うなかで、トップの座を守り続けている。
同社製品の魅力をよく知る「ツクモロボット王国」の荒井貞博店長は、「関節の動きにしても効果音や音声にしても独創的ですね。値段も手頃で、お客様から好評です」と語る。東京・秋葉原で日本初のロボット専門店として開業した同店では、ヴイストンの開発スタッフが店頭でロボット操作を実演することもある。顧客から要望を直に吸い上げ、商品開発に生かしているのだ。
「ロボカップ」では04年の初優勝後、3連覇を果たす。国内のものと合わせると7大会連続で優勝中だ。
ヴィジオンの大きな特徴のひとつは、円筒形の頭部に搭載された「全方位センサ」。その名の通り360度の検出範囲を持つ。円錐形の鏡に周囲の風景を反射させ、カメラで撮影して周囲の状況を認識する仕組みだ。その利点を大和信夫社長が解説する。「通常のカメラに比べて圧倒的に視野が広いうえ、画像にある物体の位置関係から、角度の情報を直接引き出してロボットの動きに反映させることができます」。
サッカー競技を行なうには、瞬時に周囲を見渡してボールやキーパーを認識し、それぞれの動きを把握して対応することが必要とされる。いちいちカメラを動かしていては機敏な動作は望めない。ロボットの性能は動作制御ソフトやモーター出力など様々な要素が影響するが、水平方向には死角がない「全方位センサ」が、ヴィジオンの強さの一端をになっていることは間違いない。
すべての面で高いレベルが求められる「ロボカップ」では、ヴイストンの高い技術力が顕著に表われる。
また、大和社長は、2足歩行の人型ロボットに強いこだわりを持つ。2足歩行には高度な技術が必要だ。それでも2足歩行ロボットの技術革新に挑戦し続けるのはなぜか。「利用者がどれだけ興味を抱くかを大きく左右するのが、ロボットの形態。2足歩行の人型は興味を引きやすく、特に教育の分野ではその効果が大きいのです」(大和社長)
他社との連携により最先端の技術を吸収
ヴイストンは、全方位センサ技術を事業化するため、00年8月に大和社長が創業した。当時は、まだロボットの市場がなく、防犯カメラとして販売していた。転機が訪れたのは03年3月。大阪市とメーカー、研究機関による共同のロボット開発プロジェクトを知り、すぐさま参入した。同年10月には研究開発用プラットホームロボ「Robovie-R」と、2足歩行ロボットの組み立てキット「Robovie-M」を発売。経営の比重を徐々にロボットに移し、現在は売り上げのほぼ100%を占める。03年度に約1億円だった売り上げも、06年度には2億8000万円と約3倍に増加した。
自らも技術者である創業者の大和社長。絶妙な舵取りでヴイストンを牽引する。
産官学連携プロジェクトに参加し、ロボット関連の多方面の技術者や企業と技術交流を行なってきたことが、同社の大きな強みとなっている。電気通信をはじめ様々な分野の研究を手がける株式会社国際電気通信基礎技術研究所や、知覚情報基盤を研究する大阪大学大学院工学研究科の石黒浩教授など、おもな交流先には関西のロボット研究の最先端をいく技術陣が揃う。
社内の開発スタッフにも多様な知識と豊富な経験を持つ技術者を集めており、ロボットのハード、ソフト両面に強い。「モーターやセンサーを専門に作る会社はありますが、それだけではいいロボットはできません。様々な要素を組み合わせ、全体としてレベルの高いシステムを構築する必要があるからです」(大和社長)ロボット製造に関する総合的な技術力の高さが、他社にはないヴイストンの持ち味だ。
事業の核は、技術によって顧客に感動を与えること
変化の激しいロボット業界のなかで大和社長が大切にしているのは、事業を前進させる意欲を保つこと。そして、商品開発を続けるうえで重要な指標としているのが「ロボカップ」である。自社の技術を世界の舞台で立証すると同時に、人材育成の意味合いもある。参加した社員は、限られた時間のなかで楽しみながら研究開発を重ねて成長してきた。
ロボット用全方位センサ「VS-C450U-300-TK」は、強度、重量、コストのすべての面で高品質を実現。
ロボット業界で確かな地位を築いたヴイストンは今後、技術をどのように磨いていくのか。大和社長が答える。「21世紀の経営とは何かと考えた時、ポイントとなるのは〝感動.です。『はじめにロボットありき』ではなく、技術を使って顧客に感動を与えることができるならば、他分野の製品も開発したいと考えています」
ロボット業界で他社も一目置く技術と実績をもちながら、ロボットだけに固執せず、さまざまな製品を通して自社の技術を社会に還元することが最も重要だと考える大和社長。今後もより感動を与えられる製品を世に送り出すことに注力する。

左/全方位センサがとらえた画像。ロボットはこれを基に周囲の状況を把握している。右/パソコンを介して、人間が見やすいノーマル展開画像に変換することもできる。
ヴイストン
【所在地】〒554-0024 大阪市此花区島屋4-4-11
【TEL】06-6467-6601
【設立】2000年8月
【資本金】1億5395万円
【売上高】2億8000万円(06年度)
【従業員数】12人(常勤)
【事業内容】ロボット関連製品・全方位センサ関連製品・センサーネットワーク関連製品の開発・製造・販売、ロボット関連イベントの企画・実施
【URL】http://www.vstone.co.jp/
文・上地智
教育や研究開発、趣味の分野でロボットの存在感が日増しに高まっている。そんななか、群を抜く技術力で注目を集めているロボットメーカーがヴイストン(大阪市此花区)だ。
社内には「ロボカップ」に参加した歴代のヴィジオンと、記念のメダルやトロフィーが飾られている。同社の2足歩行ロボット「ヴィジオン」は、自律型ロボットがサッカーで競う「ロボカップ」世界大会で2004年から3連覇を達成。世界中から集まったロボット技術者が競い合うなかで、トップの座を守り続けている。
同社製品の魅力をよく知る「ツクモロボット王国」の荒井貞博店長は、「関節の動きにしても効果音や音声にしても独創的ですね。値段も手頃で、お客様から好評です」と語る。東京・秋葉原で日本初のロボット専門店として開業した同店では、ヴイストンの開発スタッフが店頭でロボット操作を実演することもある。顧客から要望を直に吸い上げ、商品開発に生かしているのだ。
「ロボカップ」では04年の初優勝後、3連覇を果たす。国内のものと合わせると7大会連続で優勝中だ。ヴィジオンの大きな特徴のひとつは、円筒形の頭部に搭載された「全方位センサ」。その名の通り360度の検出範囲を持つ。円錐形の鏡に周囲の風景を反射させ、カメラで撮影して周囲の状況を認識する仕組みだ。その利点を大和信夫社長が解説する。「通常のカメラに比べて圧倒的に視野が広いうえ、画像にある物体の位置関係から、角度の情報を直接引き出してロボットの動きに反映させることができます」。
サッカー競技を行なうには、瞬時に周囲を見渡してボールやキーパーを認識し、それぞれの動きを把握して対応することが必要とされる。いちいちカメラを動かしていては機敏な動作は望めない。ロボットの性能は動作制御ソフトやモーター出力など様々な要素が影響するが、水平方向には死角がない「全方位センサ」が、ヴィジオンの強さの一端をになっていることは間違いない。
すべての面で高いレベルが求められる「ロボカップ」では、ヴイストンの高い技術力が顕著に表われる。また、大和社長は、2足歩行の人型ロボットに強いこだわりを持つ。2足歩行には高度な技術が必要だ。それでも2足歩行ロボットの技術革新に挑戦し続けるのはなぜか。「利用者がどれだけ興味を抱くかを大きく左右するのが、ロボットの形態。2足歩行の人型は興味を引きやすく、特に教育の分野ではその効果が大きいのです」(大和社長)
他社との連携により最先端の技術を吸収
ヴイストンは、全方位センサ技術を事業化するため、00年8月に大和社長が創業した。当時は、まだロボットの市場がなく、防犯カメラとして販売していた。転機が訪れたのは03年3月。大阪市とメーカー、研究機関による共同のロボット開発プロジェクトを知り、すぐさま参入した。同年10月には研究開発用プラットホームロボ「Robovie-R」と、2足歩行ロボットの組み立てキット「Robovie-M」を発売。経営の比重を徐々にロボットに移し、現在は売り上げのほぼ100%を占める。03年度に約1億円だった売り上げも、06年度には2億8000万円と約3倍に増加した。
自らも技術者である創業者の大和社長。絶妙な舵取りでヴイストンを牽引する。産官学連携プロジェクトに参加し、ロボット関連の多方面の技術者や企業と技術交流を行なってきたことが、同社の大きな強みとなっている。電気通信をはじめ様々な分野の研究を手がける株式会社国際電気通信基礎技術研究所や、知覚情報基盤を研究する大阪大学大学院工学研究科の石黒浩教授など、おもな交流先には関西のロボット研究の最先端をいく技術陣が揃う。
社内の開発スタッフにも多様な知識と豊富な経験を持つ技術者を集めており、ロボットのハード、ソフト両面に強い。「モーターやセンサーを専門に作る会社はありますが、それだけではいいロボットはできません。様々な要素を組み合わせ、全体としてレベルの高いシステムを構築する必要があるからです」(大和社長)ロボット製造に関する総合的な技術力の高さが、他社にはないヴイストンの持ち味だ。
事業の核は、技術によって顧客に感動を与えること
変化の激しいロボット業界のなかで大和社長が大切にしているのは、事業を前進させる意欲を保つこと。そして、商品開発を続けるうえで重要な指標としているのが「ロボカップ」である。自社の技術を世界の舞台で立証すると同時に、人材育成の意味合いもある。参加した社員は、限られた時間のなかで楽しみながら研究開発を重ねて成長してきた。
ロボット用全方位センサ「VS-C450U-300-TK」は、強度、重量、コストのすべての面で高品質を実現。ロボット業界で確かな地位を築いたヴイストンは今後、技術をどのように磨いていくのか。大和社長が答える。「21世紀の経営とは何かと考えた時、ポイントとなるのは〝感動.です。『はじめにロボットありき』ではなく、技術を使って顧客に感動を与えることができるならば、他分野の製品も開発したいと考えています」
ロボット業界で他社も一目置く技術と実績をもちながら、ロボットだけに固執せず、さまざまな製品を通して自社の技術を社会に還元することが最も重要だと考える大和社長。今後もより感動を与えられる製品を世に送り出すことに注力する。

左/全方位センサがとらえた画像。ロボットはこれを基に周囲の状況を把握している。右/パソコンを介して、人間が見やすいノーマル展開画像に変換することもできる。
ヴイストン
【所在地】〒554-0024 大阪市此花区島屋4-4-11
【TEL】06-6467-6601
【設立】2000年8月
【資本金】1億5395万円
【売上高】2億8000万円(06年度)
【従業員数】12人(常勤)
【事業内容】ロボット関連製品・全方位センサ関連製品・センサーネットワーク関連製品の開発・製造・販売、ロボット関連イベントの企画・実施
【URL】http://www.vstone.co.jp/
文・上地智



